『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』よりホブスとデッカードによるバディの魅力を紹介

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』だからできた!
ハリウッド最強の肉体派コンビが見せるSFレベルの超絶アクション

2021/12/20 公開

ドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサム。現在のハリウッドで「最強のアクションスター」ランキングを出すとしたら、間違いなくトップ圏内に入る。人気の面でも、フィジカルな強さにおいても、だ。そして「両雄並び立たず」という言葉があるが、この2人にはこの2人でしかあり得ない珠玉のバディ映画が存在する。それが『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)である。

この両名の共通点は、ともに元アスリートであること。ドウェインはアメフト選手から祖父や父親と同じプロレスラーの道に転向し、「ザ・ロック」のリングネームで圧倒的な人気を得た。ステイサムは英国代表チームに所属したこともある元水泳選手で、危険なスタントを軽々とこなす常人離れした身体能力の持ち主だ。

ホブスとデッカードを演じるのは、ハリウッド随一の肉体派、ドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサム

敵同士だったホブスとデッカードが名コンビを結成するまで

その2人が映画の中で初めて顔を合わせたのが、ユニバーサル・ピクチャーズのドル箱シリーズ第7作『ワイルド・スピードSKY MISSION』(2015年)でのこと。ドウェインは、5作目の『ワイルド・スピードMEGA MAX』(2011年)からホブス捜査官役でレギュラー入り。当初は主人公で犯罪者のドミニク(ヴィン・ディーゼル)一味を追いかける役どころで、その後はドミニク一味と協力して悪党をやっつける仲間になった。

一方ステイサムは、ドミニク一家やホブス捜査官に恨みを抱く敵デッカード・ショウとして6作目の『ワイルド・スピードEURO MISSION』(2013年)で初登場。続く『SKY MISSION』で、ホブスを襲撃したのである。

この時のホブスVSデッカード戦はまさにドリームマッチ。ドウェインはアクションスターになる以前からアメリカンプロレスにおけるトップスターであり、ステイサムは主演作を連発する現在最もアクティヴなアクションスターの1人。巨漢系の肉体派とスピード系の肉体派が、同じスクリーンで初めて激突したのである。

対戦結果は映画で観ていただくとして、ドウェインはステイサムに、レスラー時代の得意技「ロックボトム」まで炸裂させる大サービス。対するステイサムも俊敏さを活かしてドウェインを翻弄。シリーズの顔ヴィン・ディーゼルのお株を奪う最高のバトルだった。

元プロレスラーのドウェイン・ジョンソンと元水泳選手のジェイソン・ステイサム

続く第8作の『ワイルド・スピードICE BREAK』では、宿敵同士だったホブスとデッカードの関係に変化が生じる。何者かの罠にハメられたホブスは、デッカードと同じ刑務所に入れられてしまう。そして自分に着せられた汚名を晴らすために、デッカードと一時的にタッグを組んで脱獄を図るのだ。

「ワイスピ」の製作陣はこの撮影中に、ホブスとデッカード、いや、ドウェインとステイサムの間に、特別なものが生まれていることに気づいたという。刑務所で再会したホブスとデッカードは、お互いの牢獄から罵り合いを始める。どちらもが減らず口の達人であり、口喧嘩の応酬がやたらと可笑しくて、「これは名コンビの誕生では!」と予感したのだ。

『ICE BREAK』でぜひ観てほしいのが、やむなく共闘することになった2人が「後で決着を付けよう」と話すシーン。ホブスはデッカードにこう言う。「はばかりながら言わせてもらうが、すべてが終わったら、俺たちはふさわしい場所を見つける。そしてボコって歯をノドの奥まで押し込んでやるから、お前はケツから歯ブラシ差し込んで歯磨きするようになるぜ」

ナンセンス極まりないこのセリフは、ドウェインのアドリブと言われている。実際ドウェインは、レスラー時代からマイクパフォーマンスが大得意で、マシンガンのようにナンセンスな言葉を繰り出す天才だった。そしてこれを聞いたステイサムが、演技中に思わず笑ってしまっているのである。敵同士だったホブスとデッカードは、ドウェインのテキトートークでなんとなく雪解けになってしまったのだ。

いつも口論が絶えないがそれが最高におもしろい!

ワイスピ本編では見られない!凸凹コンビの人間離れしたスーパーアクション!

このコンビに、スタッフとドウェイン&ステイサムが手応えを感じたことから生まれたのが、シリーズ初のスピンオフ作品『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』だ。ワイスピ本編とは別に、ホブスとデッカードが再び凸凹コンビを組んで悪の組織と戦うアクションコメディで、犬猿の仲であることはそのままに、わちゃわちゃとお互いを罵りながら協力する姿が実に微笑ましい。

不死身キャラを逆手に取った超絶連携プレイは必見!

さらに2人が本領を発揮するのが、ワイスピ本編では絶対に許されないであろう掟破りのクライマックスバトル。ドウェインとステイサムにはもともと人間離れした不死身感があるが、『スーパーコンボ』ではその不死身キャラを逆手に取った超絶連携プレイを見せてくるのだ。イドリス・エルバ演じる改造人間を相手に、「肉を切らせて骨を断つ」という言葉をSFのレベルに引き上げたとんでもない戦法は、もう爆笑しながら見守るしかない。

このコンビの魅力を最大限に引き出すことは、ワイスピ本編では不可能だったのかも知れない。人間という枠に収まらない異次元のリアリティラインを持った2人が、得意のアクションとユーモアを存分に発揮できた逸品として、『スーパーコンボ』はただのシリーズのスピンオフである以上のオリジナルな魅力を放っているのである。

文=村山章

村山章●1971年生まれ。ライター。映像編集経て、雑誌、新聞、WEB等で映画関連の記事を執筆。ライター業の傍ら、ハル・ハートリー作品など海外のインディペンデント系作品の配給宣伝を手がけることも。しりあがり寿が主宰する「さるハゲロックフェスティバル」では、2009年開催の第一回より出演と運営を続けている。

<放送情報>
ワイルド・スピード/スーパーコンボ
放送日時:2022年1月2日(日)21:00~、19日(水)18:30~

(吹)ワイルド・スピード/スーパーコンボ
放送日時:2022年1月2日(日)13:00~

チャンネル:ザ・シネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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