日本映画史上に輝く名バディ、タカ&ユージ「あぶない刑事」劇場版シリーズの魅力に迫る

日本映画史上に輝く名バディ、タカ&ユージ「あぶない刑事」劇場版シリーズの魅力に迫る

第1作『あぶない刑事』は1987年のクリスマスシーズンに公開。翌88年の日本映画配収4位に輝いた

  • 日本映画史上最高のバディ

日本映画史上に輝く名バディ、タカ&ユージ
「あぶない刑事」劇場版シリーズの魅力に迫る

2022/05/23 公開

同一キャストで通算30年、「あぶない刑事」が打ち立てた金字塔

日本中を熱狂させた伝説のバディが帰ってくる。港町・横浜を舞台に刑事コンビ「タカ&ユージ」こと鷹山敏樹(舘ひろし)と大下勇次(柴田恭兵)の活躍を描き、「あぶデカ」の愛称で熱い支持を得たドラマ「あぶない刑事」。6月はその劇場版7作のうち、第1作『あぶない刑事』(1987年)、第2作『またまたあぶない刑事』(1988年)、第3作『もっともあぶない刑事』(1989年)、第6作『まだまだあぶない刑事』(2005年)、そして完結編となる第7作『さらば あぶない刑事』(2016年)が特集放送される。

「あぶない刑事」は、テレビシリーズの「あぶない刑事」(1986~87年)と続編「もっとあぶない刑事」(1988~89年)が高視聴率を獲得。反響を受けて、製作陣は『もっともあぶない刑事』までの劇場版3作をテレビシリーズとほぼ同時期に公開、人気はさらに高まった。その後、シリーズは断続的ながら劇場版を軸に継続し、『さらばあぶない刑事』まで30年におよぶ歴史を築き上げた。

ルポライターの女性(宮崎美子)と共に非合法ビジネスで暗躍する若手実業家(伊武雅刀)を追跡する第2作『またまたあぶない刑事』

「バディ刑事もの」としては、誕生は『リーサル・ウェポン』(1987年)よりも半年早く、その先見性がうかがえる。また、2000年にスタートした長寿シリーズ「相棒」でも今年で22年目。インターバルはありつつも、主演の2人が変わることなく続いたバディは他に例がない。ゆえに「あぶない刑事」シリーズは、「日本映画史に残るバディ刑事もの」と言っても過言ではない。

年月を経て味わいを増すタカ&ユージの掛け合い

「あぶない刑事」の人気の要となったのは、もちろん「ダンディ鷹山&セクシー大下」ことタカ&ユージの存在だ。それまでにないサングラスとスーツできめたスタイリッシュで、クールでいてユーモアにも富み、捜査の合間も常に軽妙な掛け合いで見る者を魅了する。そんな2人の掛け合いについて、もともと舘はアドリブが得意ではなく「コミカルな演技ができるようになったのは、恭サマのおかげ」と柴田をリスペクト。一方の柴田は「すごく器用な人と僕がコンビを組んでいたら、あのリアクションの妙は生まれなかった」と明かしており、この2人だからこそ生まれたバディの妙であったと言える。

テレビシリーズからの因縁の暴力団・銀星会との激突を描き、シリーズを一旦締めくくった『もっともあぶない刑事』

劇場版を見ていくと、2人の関係が30年という時間の中で味わいを増していく様子がうかがえる。例えば、『あぶない刑事』で有名なのが、手錠でつながれたタカとユージがバラをくわえて警察署内でダンスするシーン。2人のキャラを生かしたコントのような爆笑必至の名(迷)シーンだ。

そんなやり取りは『さらば あぶない刑事』になると、次のようにナチュラルな笑いに変わる。タカが菜々緒扮する恋人とレストランでデートしていると、そこに現れたユージがその恋人に「こう見えてね、料理が得意。タカのうどんは絶品なんだから」と紹介。続けて「綿棒で伸ばして。仕上げは3.2ミリカット。どうぞ」と合図すると、すかさずタカが片手で麺を切る仕草をしてみせる。その息の合ったやり取りに、思わず笑いが漏れる。コントのような演技からナチュラルなやり取りへ。その変化にはシリーズを重ねるごとに深まっていった舘と柴田の信頼関係が垣間見える。

年齢を重ねても衰えないキレのあるアクション

軽妙な掛け合いが2人揃った時の魅力ならば、舘と柴田それぞれの持ち味が生きるのが、個々に披露するキレのあるアクションだ。

レギュラーメンバーの人事異動、シリーズ初の海外ロケなどで新たな魅力を開拓した『まだまだあぶない刑事』

ガンアクションからカーアクションまでふんだんに盛り込んだシリーズの中で、舘のお約束の見せ場が「西部警察」などで培ったスキルを活かしたバイクアクション。ここぞという場面で、大型のハーレーにまたがり、颯爽と現れたタカが手放しで銃をぶっ放すカッコよさは、思わず「待ってました!」と声を掛けたくなるほど。ほかにも、走行中のバイクからダンプカーに飛び移るスタント(『あぶない刑事』)や、犯罪組織の幹部役の吉川晃司とのバイク対決(『さらば あぶない刑事』)など、そのスキルは最後まで衰えない。

一方の柴田の見せ場は、自身が歌う挿入歌「RUNNING SHOT」をバックにした全力疾走。息切れすることなく、逃走者(時にはクルマだったり、ボートだったり)を追って数百メートルを軽快に駆け抜ける姿には、ただただ圧倒されるばかり。50代で出演した『まだまだあぶない刑事』には、衰えたユージが佐藤隆太演じる若手刑事に全力疾走で追い抜かれるシーンがあるが、撮影では当時20代の佐藤が柴田を追い抜くのに苦労したという逸話も残っている。

『さらば あぶない刑事』は、定年退職直前の2人が最後のバイクアクション&全力疾走で魅せる。

劇場版を通して見ると、年齢を重ねても衰えない2人の身体能力の高さに驚くと同時に、それが他の誰も真似できないオンリーワンのものであることに改めて気づかされる。スタイリッシュ&クールなキャラクターをベースに、2人の掛け合いと、いつまでも衰えないキレのあるアクション。映画史に残る名バディの30年を記録した劇場版は「タカ&ユージのクロニクル」と呼ぶに相応しい。今回の放送は、長年のファンにとってはその魅力を再発見するまたとないチャンスだ。シリーズ未見の人もまずは一度、チャンネルを合わせてみてほしい。気がつけばきっと、2人の虜になっているはずだ。

文=井上健一

井上健一●埼玉県出身、会社員を経て、映画を中心に執筆・取材を行うライターに。主な執筆媒体は「月刊SCREEN」、「キネマ旬報」、「FLIX」など。書籍に「現代映画用語事典」(共著・キネマ旬報社)がある。

<放送情報>
あぶない刑事
放送日時:2022年6月7日(火)21:00~

またまたあぶない刑事
放送日時:2022年6月14日(火)21:00~

もっともあぶない刑事
放送日時:2022年6月21日(火)21:00~

まだまだあぶない刑事
放送日時:2022年6月28日(火)19:00~

さらば あぶない刑事
放送日時:2022年6月28日(火)21:00~

チャンネル:チャンネルNECO

※放送スケジュールは変更になる場合があります