テロリストや大災害に挑み、巨大ゴリラとも共闘「荒唐無稽」をねじ伏せるドウェイン・ジョンソンの存在感

テロリストや大災害に挑み、巨大ゴリラとも共闘「荒唐無稽」をねじ伏せるドウェイン・ジョンソンの存在感

現代を代表するアクションスター、ドウェイン・ジョンソンの軌跡をプレイバック!(『スカイスクレイパー』)

  • ヒーロー大図鑑

テロリストや大災害に挑み、巨大ゴリラとも共闘
「荒唐無稽」をねじ伏せるドウェイン・ジョンソンの存在感

2021/05/24 公開

名前と顔と体だけで入場料を払いたくなる、それがスターというものだと思う。アクションにおいては特にそうだ。映画の内容はどうあれ、この人が出ているなら2000円弱、今すぐ持っていってくれ!と言いたくなるような。ドウェイン・ジョンソンはそういうアクションスターの筆頭ではなかろうか。

プロレスラーからアクションスターへ転身したドウェイン・ジョンソン

プロレスラーから俳優に転向したばかりのジョンソンにインタビューをしたことがある。主演作品『スコーピオン・キング』(2002年)のために来日していた、今から20年ほど前のことだ。会場は帝国ホテルのスイートルーム。現場に着いて最上階行きのエレベーターに乗った。そこにドウェイン・ジョンソンがいた。

たまたま地下から上がってきたところで出くわしたのだ。当時、日がな一日CS放送で見ていたプロレスのスーパースター、ロック様がそこにいた。思わず土下座しそうになった。ランチでも済ませてきたのだろうか、黒いTシャツとジャージのズボン姿で完全にリラックスしていたが、身長196cmの大男はエレベーターの奥で輝くようなカリスマを放っていた。

そのあと半ば放心状態でインタビューに臨んだが、あの時の自分が何を聞いたのかはいっさい憶えていない。記憶にあるのは15分ほど話したあとでポーンと肩を叩かれ、頑張れよ!と言われたことだけだ。ものすごい笑顔も見せてくれた。こ、これがスターか…と思った。そう、ドウェイン・ジョンソンは映画初主演のその時から、すでに全米プロレス界の大スターだったのだ。

元FBI人質救出部隊のリーダー、ウィルを演じるジョンソン(『スカイスクレイパー』)

1995年にマイアミ大学を卒業後、アメリカン・フットボールの道に進んでプロ選手になるがうまくいかず、プロレスリングに転向。早くも1996年にはWWF(現WWE)の契約を勝ち取った、その背景には祖父も父もプロレスのスター選手であったという血筋もあっただろう。しかし、その肉体と身体能力を何より買われていたことを、のちのキャリアが証明している。

祖父ピーター・メイヴィア、父ロッキー・ジョンソンからそれぞれ名前をもらったロッキー・メイヴィアとしてデビューしてから2年ほどは試行錯誤が続いたが、1998年に自分自身を「ザ・ロック」(日本では「ロック様」と訳された)と呼び、誰にも媚びない傲岸不遜なキャラクターを確立するや人気が爆発。世界最大のエンターテインメント団体と呼ばれたWWEを牽引する大スターとなった。

マイクを握れば立て板に水でしゃべりまくって対戦相手や団体、そして観客を手玉に取り、試合が始まれば見事な体格とケレン味に溢れた動きで魅了した。ストーンコールド・スティーヴ・オースティン(この人ものちに俳優転向した)ら、名だたるスーパースターとともに団体の黄金時代を築いた後、ゼロ年代に入るとジョンソンは俳優業に進出する。

『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』(2001年)に悪役で出演した翌年、そのスピンオフ作品『スコーピオン・キング』で主演デビューを飾った。以降は『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン』(2003年)、『ワイルド・タウン/英雄伝説』(2004年)とアクション作品で主演を続ける。

前者にはアーノルド・シュワルツェネッガーが特別出演し、ジョンソンとすれ違いざまにその肩をポンと叩いて去るという場面があった。当時のシュワルツェネッガーは俳優を引退してカリフォルニア州知事になるという時期であったから、これはつまり新旧アクション・アイコンの代替わりの儀式だった。観ているこちらとしても、当然ロック様ならシュワルツェネッガーの跡目としてまったく文句はなかった。

高校生たちがゲームの世界を冒険する『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』

ところがその後、『DOOM ドゥーム』(2005年)など少数の例外を除けば、ロック様が殴って走って撃って、という肉体派アクション作品はしばらく鳴りを潜めてしまう。2010年代半ばまでは散発的にではあれ、プロレスラーと二足の草鞋を履いていたからやむを得ないことだったのかもしれない。

不良少年をまとめ上げるフットボールのコーチに扮した『ギャングスターズ 明日へのタッチダウン』(2006年、日本では劇場未公開)などでは、シリアスなドラマもいけるところを見せつけ、かつ純コメディの『ゲーム・プラン』(2007年、こちらも日本未公開)を全米で大ヒットさせたりもした。こうしたことをさらりとやってのけるあたり、先人たちよりも明らかに器用で、また変化に富んだキャリアを築く戦略性もあった。やはり只者ではなかった。だが、次世代アクションスターとしてあれだけ期待を持たせておいて…という、ちょっとしたモヤモヤがあったこともまた事実だ。

『スカイスクレイパー』では主人公と妻や子どもたちとのドラマも見どころ

自らプロデュースも務める作品で大迫力のアクションを惜しげもなく披露!

そんな鬱憤を、ロック様は2011年の『ワイルド・スピード MEGA MAX』あたりから一気に晴らしてくれることとなる。レスラーとしてWWEのリングに上がる頻度が下がるにつれ、映画のドウェイン・ジョンソンはその体を活かしきった大アクションを、これでもかと叩きつけてくるようになっていった。

ジェイソン・ステイサムとの2枚看板でスピンオフ作品『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)が作られるに至る『ワイルド・スピード』シリーズは言うに及ばず、大地震に見舞われた都市で縦横無尽の活躍を見せる『カリフォルニア・ダウン』(2015年)、または巨大ゴリラとタッグを組んで大暴れする『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018年)などなど、様々な意味で途方もない映画で有無を言わせぬ存在感と説得力を見せつけている(馬鹿でかいゴリラと共闘して無理を感じさせない俳優が、いったい今どれだけ存在するだろうか?)。

ジェイソン・ステイサムとの凸凹コンビぶりが熱い『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』

ジョンソンはWWE時代から、ザ・ロックとしてマイクを握っては全米を沸かせてきた。巨大スタジアムを支配し、満場の観客の心をつかむ。そのために不可欠な間の取り方を熟知していた。その技術が、たとえばコメディを演じるにおいても活きている。『セントラル・インテリジェンス』(2016年)に『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017年)とその続編『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(2019年)。そしてマイケル・ベイの最高傑作というべき『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』(2013年)。どえらい肉体を持った男が実にバカな姿を晒して笑わせるが、そこにぎこちなさというものがない。自分の体の使い方、表情の作り方を熟知しているからいっさい無理を感じさせないのだ。恐ろしく器用な男である。

前作の大ヒットを受け製作された続編『ジュマンジ/ネクスト・レベル』

近年では主演作のほとんどで、自らプロデューサーも務めているジョンソン。2018年の『スカイスクレイパー』も自身が製作に乗り出した1作だ。ここではFBI上がりのセキュリティ・コンサルタントを演じて、香港の超高層ビルを占拠したテロリストに単身戦いを挑む。

ああ、21世紀版『ダイ・ハード』ね…と高をくくってはいけない。今度のビルは地上1000mを超え、その中には愛する家族が囚われており、かつ本作の主人公は過去に遭遇した事故によって片脚を失い、義足を装着しているのだ。

カリフォルニア大地震を向こうに回して生き残ったジョンソンも、さすがに今度という今度はちょっと分が悪いのではないかと思わざるを得ないけれども、その顛末に関してはぜひ映画をご覧いただきたい。しかし、やはり身長196cm、体重推定100kg超という規格外の肉体を持つ稀代のスターには、本作のようにやけにシリアスでやたらとスケールの大きなアクション巨篇をこれでもかと作ってほしいものだと思う。

240階建ての超高層ビルの側面にしがみつくウィル(『スカイスクレイパー』)

映画の舞台設定や物語がどんなに荒唐無稽でも、それを完全にねじ伏せる力がドウェイン・ジョンソンにはあるのだ。20年前、本人の光り輝くようなカリスマを至近距離で浴び、土下座するしかないと思った人間として、そのことには太鼓判を押しておきたい。

文=てらさわホーク

てらさわホーク●ライター。著書に「シュワルツェネッガー主義」(洋泉社)、「マーベル映画究極批評 アベンジャーズはいかにして世界を征服したのか?」(イースト・プレス)、共著に「ヨシキ×ホークのファッキン・ムービー・トーク!」(イースト・プレス)など。ライブラリーをふと見れば、なんだかんだアクション映画が8割を占める。

<放送情報>
スカイスクレイパー
放送日時:2021年6月12日(土)20:55~、13日(日)12:30~
チャンネル:ムービープラス

ワイルド・スピード/スーパーコンボ
放送日時:2021年6月13日(日)0:30~
センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島
放送日時:2021年6月25日(金)17:00~
チャンネル:WOWOWシネマ

(吹)ワイルド・スピード/スーパーコンボ
放送日時:2021年6月7日(月)11:00~
(吹)ジュマンジ/ネクスト・レベル
放送日時:2021年6月30日(水)16:15~
チャンネル:WOWOWプライム

ワイルド・スピード/スーパーコンボ
放送日時:2021年6月6日(日)17:30~、18日(金)20:30~
ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
放送日時:2021年6月9日(水)8:15~、30日(水)1:00~
チャンネル:スターチャンネル1

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
放送日時:2021年6月20日(日)16:15~
ジュマンジ/ネクスト・レベル
放送日時:2021年6月20日(日)18:40~
チャンネル:スターチャンネル2

(吹)ワイルド・スピード/スーパーコンボ
放送日時:2021年6月2日(水)13:15~、12日(土)21:00~
(吹)ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
放送日時:2021年6月24日(木)15:45~
(吹)ジュマンジ/ネクスト・レベル
放送日時:2021年6月24日(木)18:00~
チャンネル:スターチャンネル3

ベイウォッチ [PG12相当]
放送日時:2021年6月11日(金)10:15~、22日(火)23:15~
チャンネル:ザ・シネマ

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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