改造車レースに友情、仲間、ファミリーの絆...「ワイルド・スピード」シリーズの20年を振り返る!

改造車レースに友情、仲間、ファミリーの絆...「ワイルド・スピード」シリーズの20年を振り返る!

ストリートの改造車レースに夢中な若者たちのドラマやアクションを描いた『ワイルド・スピード』

  • 「ワイルド・スピード」一挙放送

改造車レースに友情、仲間、ファミリーの絆…
「ワイルド・スピード」シリーズの20年を振り返る!

2022/03/28 公開

シリーズ最新作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2020年)が日本で劇場公開された2021年、「ワイルド・スピード」シリーズは20周年を迎えた。番外編の『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)を含めると10本の長編と1本のアニメシリーズが生まれ、今ではユニバーサル・ピクチャーズが誇るドル箱シリーズとなっている。

しかしシリーズが始まった当初、これほどの躍進を思い描いていた関係者は誰一人としていなかったに違いない。「ワイスピ」もよくあるハリウッド映画と同様に、当たり障りのない続編をいくつか作り、スケールダウンして忘れ去られていくものだと思われた。だが、ファンの熱意と関係者の猛省によって、奇跡のような巻き返しに成功したのである。

ドミニクが実の弟と戦うことになるシリーズ最新作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』

ストリートの改造車レースに「ファミリーの絆」というテーマを加えた『ワイルド・スピード』

第一作の『ワイルド・スピード』(2001年)は、ストリートでの改造車レース「ゼロヨン」にのめり込む若者たちの記事を読んだロブ・コーエン監督が思いついた企画だった。「こんなに若者が夢中なら、ヒットの鉱脈があるはずだ」と考えるのは商売人として当然の嗅覚だが、そこにマイノリティや疑似家族という別の要素を持ち込んだのは、ロサンゼルスの貧困地区で育ったデヴィッド・エアーだった。

エアーが監督や脚本家として携わった『トレーニング デイ』(2001年)や『S.W.A.T.』(2003年)、『エンド・オブ・ウォッチ』(2012年)を観ればわかるように、エアーの作品は常に危険なストリートに生きるマイノリティの肌感覚が色濃く反映されている。『ワイルド・スピード』にエアーは、共同脚本の一人として遅れて参加したが、「郊外に住む白人の若者たちがレースにうつつを抜かす」という初期稿のヌルさが耐え難かったに違いない。

エアーの参加によって、ロサンゼルスのストリートカルチャーや、ラテン文化に裏付けられた「ファミリー」という価値観が脚本の中で重要な要素になっていく。特に、ファミリーの絆は「ワイスピ」シリーズ全体を貫く最大のテーマとなっていった。

しかし、シリーズの本当のポテンシャルに当事者たちが気づくまでにはかなりの紆余曲折があった。第2作『ワイルド・スピードX2』(2003年)ではヴィン・ディーゼルとコーエンが離脱してしまい、ポール・ウォーカーの単独主演作となる。マイアミに舞台を移したお気楽なテイストからは、一話完結のカジュアルなアクションシリーズを模索していた製作者の意図が透けて見える。

前作で指名手配犯となったブライアンの逃亡先、マイアミでの活躍を描く『ワイルド・スピードX2』

続く3作目が『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006年)。もはやブライアン役のウォーカーすら出演しておらず、裏社会とも警察とも関係のないヤンチャなアメリカ人高校生ショーン(ルーカス・ブラック)が新主人公に就任する。地元で問題を起こしたショーンは東京の高校に転入することになり、学生服姿で通学しながらドリフト走行を駆使する日本の改造車レースにのめり込んでいくのだ。

『~X3 TOKYO DRIFT』は「ワイスピ」興隆の立役者となるジャスティン・リン監督のシリーズ初登板作。リンはアクション、テンション、エモーションが一体化する「ワイスピ」らしさを、この時点でほぼ完成させていたと言っていい。日本のトンチキな描写が散見されるせいか、サン・カン演じるハンの初登場作という文脈以外では語られることが少ないのだが、シリーズの大躍進の萌芽が感じ取れる痛快作であり、再評価を望みたい。

ディーゼルは『~X3 TOKYO DRIFT』のラストにほんの少しだけカメオ出演しているのだが、この時、出演の条件としてスタジオ側に伝えたのが「4作目以降は自分をプロデューサーに加えること」だったという。ドミニク復活を望んでいた製作陣は大喜びで承諾し、ここから「ワイスピ」第二章が開幕する。すなわちヴィン・ディーゼルを座長に据えた「オールスター映画」化の扉が開いたのだ。

東京の高校に転入したカリフォルニア出身のショーンが主人公の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』

ヴィン・ディーゼルを中心にヒロイックなオールスタームービーへと進化していく「ワイスピ」

主演兼プロデューサーとなったディーゼルは4作目の『ワイルド・スピード MAX』(2009年)で、ブライアンだけでなくドミニクの妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)と恋人のレティ(ミシェル・ロドリゲス)という1作目のメインキャラを呼び戻し、ようやく物語が繋がった続編を実現させてみせた。

ドミニクだけでなく、ミアやレティも帰ってきた『ワイルド・スピード MAX』

さらに『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)では、「過去作に登場したキャラクターは全員、本シリーズのスターである」という画期的なフォーマットを打ち立てる。ドミニク、ブライアン、ミアに加えて、1作目のヴィンス(マット・シュルツ)、2作目のローマン(タイリース・ギブソン)とテズ(リュダクリス)、3作目、4作目に続いてのハン、さらに4作目のジゼル(ガル・ガドット)とレオ(テゴ・カルデロン)とサントス(ドン・オマール)が再登場し、最強の強奪チームを組むことになる。

それぞれのキャストの知名度はまだ高くなかったが、スターのように扱うことでシリーズに不思議なゴージャス感が生まれた。例えば、この頃のガドットはワンダーウーマンに起用される前であり、ほとんど「ワイスピ」のみで見かける存在だったが、それでも圧倒的なスターのオーラをまとっている。スターは集めるのではない。すでにいる者をスター扱いすれば、それはオールスター映画になるのだ、というコロンブスの卵みたいなアプローチは見事に成功したのである。

過去作キャストが勢ぞろいし、ホブス捜査官役のドウェイン・ジョンソンもレギュラー入りした『ワイルド・スピード MEGA MAX』

また、「ルパン三世」の銭形警部的ポジションでホブス捜査官(ドウェイン・ジョンソン)が参入し、部下のエレナ(エルサ・パタキ)と共にレギュラー入り。ポストクレジットシーンでは2作目のモニカ(エヴァ・メンデス)もカメオ的に顔を見せ、写真だけだが4作目で死んだはずのレティの姿まで!まさに大盤振る舞いのサービス精神は、「もう大人のゴタゴタでみなさんを裏切りません!」というファンに向けた決意表明に見えたものだ。

ヨーロッパを舞台に国際犯罪組織との戦いが展開される『ワイルド・スピード EURO MISSION』

その後の『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)、『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)、『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)では、ドミニクと仲間たちが世界を脅かすテロ組織と戦うというヒーローものに変貌を遂げる。

ドミニクたちが圧倒的な強さを誇るデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)との戦いに挑む『ワイルド・スピード SKY MISSION』

もはやDVDデッキを奪って転売するケチな強盗団だった1作目とは隔世の感があるが、メインキャラ全員が車とスリルが大好きなこと、どんな敵にも車を駆使して立ち向かい車を使って世界を救うこと、そして一度ファミリーになった者は決して見捨てないという3つのコンセプトを守り続けている。

シャーリーズ・セロン演じる謎のサイバーテロリスト、サイファーが登場する『ワイルド・スピード ICE BREAK』

「ワイスピ」の正編はあと2本作られ、第11作で完結すると発表されている。一方で『スーパーコンボ』の続編や、女性キャラをメインにしたスピンオフなど様々な可能性が企画検討されており、「ワイスピ」ユニバースはまだまだ拡大中だ。アメコミや小説、コミックの原作もなく、これほどの発展をリアルタイムで見せてくれたシリーズは、ここ2、30年では他にない。予想と期待のさらにその先へ。「ワイスピ」からはまだまだ目が離せそうにない。

文=村山章

村山章●1971年生まれ。ライター。映像編集経て、雑誌、新聞、WEB等で映画関連の記事を執筆。ライター業の傍ら、ハル・ハートリー作品など海外のインディペンデント系作品の配給宣伝を手がけることも。しりあがり寿が主宰する「さるハゲロックフェスティバル」では、2009年開催の第一回より出演と運営を続けている。

<放送情報>
ワイルド・スピード
放送日時:2022年4月2日(土)8:00~、4日(月)21:00~

ワイルド・スピード X2
放送日時:2022年4月2日(土)10:00~、5日(火)21:00~

ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT
放送日時:2022年4月2日(土)12:00~、6日(水)21:00~

ワイルド・スピード MAX
放送日時:2022年4月2日(土)14:00~、7日(木)21:00~

ワイルド・スピード MEGA MAX
放送日時:2022年4月2日(土)16:00~、8日(金)15:45~

ワイルド・スピード EURO MISSION
放送日時:2022年4月2日(土)18:30~、8日(金)18:30~

ワイルド・スピード SKY MISSION
放送日時:2022年4月2日(土)21:00~、8日(金)21:00~

(吹)ワイルド・スピード SKY MISSION
放送日時:2022年4月8日(金)12:30~

ワイルド・スピード/スーパーコンボ
放送日時:2022年4月3日(日)21:00~、8日(金)23:30~

(吹)ワイルド・スピード/スーパーコンボ
放送日時:2022年4月3日(日)12:00~
チャンネル:ザ・シネマ

ワイルド・スピード
放送日時:2022年4月29日(金・祝)10:30~

ワイルド・スピードX2
放送日時:2022年4月29日(金・祝)12:30~

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT
放送日時:2022年4月29日(金・祝)14:30~

ワイルド・スピード MAX
放送日時:2022年4月29日(金・祝)16:30~

ワイルド・スピード MEGA MAX
放送日時:2022年4月30日(土)10:30~

ワイルド・スピード EURO MISSION
放送日時:2022年4月30日(土)12:45~

ワイルド・スピード SKY MISSION
放送日時:2022年4月30日(土)15:00~

ワイルド・スピード ICE BREAK
放送日時:2022年4月30日(土)17:30~

ワイルド・スピード/ジェットブレイク
放送日時:2022年4月30日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ

ワイルド・スピード/ジェットブレイク
放送日時:2022年4月30日(土)13:00~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合があります