セレクト5presents 俺の5チャンネル

第63回 衣笠祥雄(職業:野球解説者/年齢:70歳/家族構成:妻、娘/スカパー!歴:20年)

1話で完結するドラマが好きです。安心して見ていられるでしょう? 

連続試合出場記録を樹立するなど、数々の記録を残した日本プロ野球界のレジェンドであり、“鉄人”の愛称でもおなじみの衣笠祥雄さん。現在は解説者として野球に携わる一方、音楽や映画など、さまざまなエンターテインメントにも造詣が深く、多彩な趣味を持つことでも知られている。そんな衣笠さんが選ぶ5チャンネルとは?

――普段、スカパー!でご覧になっているのは、やはり野球中継が多いのでしょうか?

衣笠祥雄「そうですね。自分が取材や解説で球場に行くのは、東京ドームや横浜スタジアムが多いんです。必然的にセ・リーグの試合はよく見るんですが、パ・リーグの試合はなかなか球場まで行けないんです。でもスカパー!なら自宅で見られるので、ありがたいですね。家にいる日は、スカパー!で6試合すべてチェックしていますよ(笑)。しかも試合開始から終了までずっと放送していますから、親切ですよね。テレビの野球中継の良い点はリプレーが見られること。だからいつもディレクターに言うんですよ。『良いプレーは視聴者に何度もプレゼントしましょう』ってね(笑)。一方で、テレビでは球場の雰囲気や臨場感まではどうしても伝えきれないんです。例えば選手がミスをした場合、それが球場の雰囲気に飲まれてしまったためだったりする。でも、その雰囲気というのは画面からは伝わりづらいので、そこは解説者の自分がきちんと伝えたいと思っています。僕が球場は今こんな雰囲気なんですよと伝えることで、テレビで見ている方にも臨場感を感じ取ってもらえれば。それから、視聴者のみなさんは、テレビを通じて実際に試合を見ているわけですから、解説が邪魔にならないようにしようとは心がけています。それぞれに試合を見ながらきっといろいろなことを考えていると思うんです。だから『野球はこうしなくてはいけないんです』とか『今のプレーはこうしなくてはいけません』と一方的に考えを押し付けるのではなく、あくまでもサポートをするのが僕の役割。実際にプロでプレーしていたからこそわかることを伝えることで、試合を楽しむ手助けになればと思って解説しています。とはいえ、やっぱり野球が好きなので、試合が始まるとのめり込んでしまって、ついしゃべり過ぎちゃうこともあるんだけどね(笑)」。

――3月からはWBC、そしてシーズンも開幕し、スカパー!でも多数の放送があります。注目している選手はいますか?

「今、日本の野球界は世代交代の時期だと思うんですよ。WBCのメンバーを見ても、若い選手が多い。マスコミの方や野球ファンの方の中には、その若さを不安視している方もいるようですね。チームというのは、ベテラン、中堅、若手のバランスが取れているのが理想ですが、でもそこを不安がってもしょうがない。今回の“侍ジャパン”のメンバーでどうやったら勝てるのか。マスコミの方にはそのアイデアを出してほしいですし、ファンのみなさんは応援してほしいです。そうやってみんなで“侍ジャパン”を盛り上げていってほしいですね。“侍ジャパン”には良い選手がたくさんいますから、期待してもらいたいですね。また今季のプロ野球も、どのチームも“侍ジャパン”同様に若手が多いので、若手の活躍がシーズンの行方を左右するんじゃないでしょうか」。

――スカパー!で野球以外にご覧になっている番組はありますか?

衣笠祥雄「海外ドラマをよく見ていますよ。僕は好き嫌いが激しいんだけど(笑)、気に入ったドラマは何度も見ますね。“FOX”の『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』や『リゾーリ&アイルズ』とか、1話でちゃんと完結するタイプのドラマが好きです。それと同じパターンでストーリーが進むものがいいね。安心して見ていられるでしょう? 悪い人が逃げのびてしまうような物語は好きじゃないな。そういえば、スティーヴ・マックイーンの主演映画『ゲッタウェイ』では、ラストで銀行強盗の主人公が逃げのびてしまうんだけど、ものすごく苦情がきたらしいんですよ。それで、逃げのびることができなかったというエンディングのバージョンも作られたんですよね。僕もその方がしっくりくる(笑)。でも、悪いことをすると必ず捕まるのであって、そうじゃないと良くないと思うんだ。だって映画やドラマは、子どもも見るんですよ。そういう意味では時代劇も好きですね。どの作品もだいたい同じ展開だし、基本的に勧善懲悪だからね。だから“時代劇専門チャンネル”もよく見ていますよ」。

――衣笠さんは音楽にも造詣が深いことで有名ですが、音楽チャンネルもご覧になりますか?

「見ますよ。各チャンネルのチャート番組をよく見ています。50曲とか100曲とかを紹介するので、今の傾向がわかりますし、その中に必ず引っかかる曲があるんですよ。以前、TBSラジオで『鉄人ミュージック』という番組をやっていたことがあるんですが、そのネタ探しにも使っていました。それから、これは音楽だけじゃないんですけど、いわゆるアワードもよく見ていますよ。中でも僕が注目しているのは、受賞者の挨拶なんです。特に現役を引退するときには挨拶する場面が多かったので、授賞式の挨拶をたくさん見て研究しました。挨拶というのは、まず自分の気持ちを相手に伝えないといけない。どうすれば正直な気持ちが伝わるんだろうと思ってね。『ありがとうございます。これからも頑張ります』って言うだけでは、挨拶とは言えないですよ(笑)。特にアメリカの人は挨拶が上手ですよね。でも、いろいろと見た結果、最終的にはみなさん同じなんです。国や故郷、所属チームなど、自分のルーツに対しての感謝を語るんです。最終的には、そこが大事なんだなと思いました」。



「NCIS ~ネイビー犯罪捜査班」は主人公の頑固さにひかれます

――それでは5チャンネルを選んでいただけますか?

衣笠祥雄「音楽の話が出たので、まずは音楽チャンネルにしましょう。各チャンネルのチャート番組をまんべんなく見ていますが、1つ選ぶとしたら“ミュージック・エア”がいいかな。僕はジャズやR&Bが大好きなんだけど、そういったジャンルの番組が多いからね。放送していたら必ず見ています。それから海外ドラマを見ているチャンネルで、『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』の“FOX”をいれましょう」。

――ちなみに「NCIS ~ネイビー犯罪捜査班」は、どんなところに魅力を感じるのでしょうか?

「やっぱりマーク・ハーモン演じる主人公のギブスでしょうね。彼の頑固さにすごくひかれます。仕事というのは、あれくらい頑固じゃないとちゃんとできないと思いますね。彼を取り巻くメンバーも素敵ですよね。長く続いているドラマなので、メンバーは入れ替わっていますけど、いつも個性的で面白い人物が登場しています。このドラマは、タイミングであるとかキャラクターであるとか、プロデューサーが上手に登場人物を入れ替えているなあと感心しますね。そうやって絶え間なく新鮮さを取り入れつつ、新たな登場人物の魅力を引き出しながらも、ギブスの正義感が軸になって物語が進んでいく。そういった基本線は変わらないので、やっぱり見ていて安心するんです」。

――3つ目はどのチャンネルにしましょうか?

衣笠祥雄「映画のチャンネルかな。昔の名作はよく見ていますよ、いろいろな思い出がありますから。公開当時見て、一番大きな衝撃を受けたのが『007』シリーズです。特にその2作目『ロシアより愛を込めて』は、確か高校生のころに見たんだと思いますが、映画とはこんなにすごいものなのかと驚きました。アストンマーティン、ドン・ペリニヨン、マティーニ……当時の僕が知らないものが次々と出てきた。これで僕の映画観が変わりましたね。その後、だんだんとSF映画に興味が出てきました。特に宇宙を題材にした作品にね。こんな脚本を書ける人ってどんな教育を受けてきたんだろう、この発想はどこから引っ張り出してきたんだろう…そんなことを考えるのが面白くて。'60~'70年代はアメリカがすごく宇宙開発に力を入れていた時代。映画を見ながら、これは実は本当の話なんじゃないか、アメリカなら砂漠の地下に秘密基地くらい作りそうだな(笑)、なんて考えたりしながら、SF映画にのめり込んでいきましたね。ただ、1作だけ何度見ても何が言いたいのか理解できない映画があるんですよ。それは『2001年宇宙の旅』。遠い世界へ行くにはこんなに苦労があるんだということを伝えたいのか? 未来にはこんなことが起こるはずだと伝えたいのか? 必ず伝えたいことがあるはずなんですけど、悔しいけれど、それが未だにわからないんですよ。わからないだけに興味があって、何度も見てしまうんですけどね。というわけで、昔の名作も数多く放送している “ムービープラス”と“ザ・シネマ”を入れましょう。そういえば先日、“ムービープラス”で2月に放送された番組『この映画が観たい』に出演したんです。好きなSF映画について存分に話しました(笑)。そして、最後に忘れてはいけないのが“TBSチャンネル2”。ここの野球中継では、僕も解説をしているので、ぜひ見てほしいですね!」。

――野球中継が見られるチャンネルが並ぶのかと思いきや、音楽、ドラマ、映画とさまざまなエンターテインメントが楽しめる5チャンネルとなりました。また、衣笠さんの各分野への造詣の深さにも改めて驚かされました。今日は興味深いお話をありがとうございました!

※記載内容は2017年2月現在のもので、変更になる場合がございます。

取材・構成/竹内伸一

profile

'47・1・18生まれ。
京都府出身。山羊座。'65年に広島カープに入団し、内野手として活躍。'87年に連続試合出場の世界記録を樹立(現在は世界2位)し、国民栄誉賞を受賞。2215試合連続出場(日本記録)、歴代3位の678試合連続フルイニング出場の記録を残し、同年に引退。通算2543安打、504本塁打。現在は野球解説者として活躍。

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