セレクト5presents 俺の5チャンネル

第74回 渡辺浩弐(職業:小説家/年齢:54歳/家族構成:非公表/スカパー!歴:20年)

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スカパー!でゲーム実況の専門チャンネルができるといいですね

「1999年のゲーム・キッズ」など、数々の小説を上梓している作家の渡辺浩弐さん。小説のタイトルにもあるように、コンピューターゲームの黎明期から、ゲームにまつわる仕事も多数手がけており、ゲーム文化への造詣も深いことで知られている。そんな彼は、スカパー!をどのように楽しんでいるのだろうか?

――普段はどんなチャンネルをご覧になっていますか?

渡辺浩弐「ニュースチャンネルをつけっぱなしにしていることが多いです。特に、“BBCワールドニュース”や“CNNj”といった海外のチャンネルですね。海外の視点からニュースを見るというのはすごく大切だと思うんです。私は仕事柄、ネットと向き合っている時間も長いんですが、ネットの情報って、使用者個人に最適化されるんです。ニュースを読むにしたって、自分の興味のある記事を選びがちですし、SNSだって、自分をほめてくれる人とばかりつながる傾向にあります。それはそれで幸せなことなのかもしれないけれど、どこか歪んでいる気がするんですよ。そういうときに世界の視点から物事を見ると、バランスが取れる気がします。特に、自分の考え方が自分にとって都合の良いようなものになり過ぎないよう、意図的に海外視点の情報を入れています」。

――渡辺さんは、ゲーム関連の仕事もされていますが、スカパー!でもゲーム番組が多数放送されています。ゲーム番組はご覧になりますか?

「見ますよ。いま僕が思っているのは、スカパー!でゲーム実況の専門チャンネルができないかなということです。ゲーム実況は、ネット発信で1つの文化となったものですけど、ネット上には数百万人も視聴している番組があって、巨大マーケットになっています。でも、今はそれぞれがバラバラに存在していて、タコツボ的なんです。それを集めて、さらに増幅して一般の人に伝える。それにはネットよりもテレビの方が適していると思うんです。ゲームってテクノロジーだけじゃないんです。遊ぶ人がいて、それを見て盛り上がっている人もいる。そういうところも含めての文化なんです。今、遊ばれているゲームソフトが未来に残っていくとともに、ゲームを遊んでいる環境や雰囲気、“バイブレーション”も含めて後世に受け継がれていってほしい。むしろ、ソフトそのものよりも、ゲーム実況の方が文化遺産的な価値があると思います。そういう意味でも、ゲーム実況チャンネルがあるといい。ゲーム実況といえば、今ではカルト視されている『GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦』という'86年公開の映画があるんですけど、あの構成は僕がやったんですよ。当時考えていたのは、ゲームの魅力だけでなく、ゲームを囲んでみんなで盛り上がっている現場の空気感まで含めて作品にすることでした。それは今のゲーム実況に通じるものがあったと思います。’80年代のファミコン名人は、存在感として今のユーチューバーに近いものがあるかもしれませんね」。

――他にはどんなチャンネルがお好きですか?

渡辺浩弐「日常では見られない異文化に触れられるチャンネルに興味がありますね。昔は異文化を知るには、世界中を旅行するしかありませんでしたが、スカパー!ならば、家に居ながらにして、疑似体験ができます。現実世界の裏にあるものを掘り起こす方法として、ニュース、ドキュメンタリーがあると思うんですが、加えて、今はリアリティーショーもそういうものになっていると思います。この取材の依頼をいただいてから、改めてスカパー!を集中的に見ていたんですが、今はリアリティーショーがすごく熱いと思いましたね。というわけで、5チャンネルは、そういう番組が楽しめるチャンネルにしました。実は、もう選んできたんですよ(笑)」。



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5チャンネルを選ぶ、見る、発信することで新たな“創作”が生まれる

――それでは、5チャンネルを教えていただけますか?

「まずは、“ディスカバリーチャンネル”。『ザ・秘境生活』『サバイバルゲーム』など、サイバイバル系の番組が多いですよね。中でも『デジタル・サバイバル』がオススメです。アンディ・クイットマイヤーという出演者が、ジャングルなど大自然の中に放置されて、そこから時間内に帰還するという企画なんですが、電子工作キットを持っていくんです。現代人としてデジタルの力で自然に対峙するというコンセプトが面白い。でも、それで毎回なにをするかといったら、パソコンを分解するんですよ(笑)。で、パソコンの中の部品を使ってコンパスにしたりするんです。それって最初からコンパスを持っていけばいい話じゃないですか。パソコンよりもよっぽど軽いし。最新のデジタル機器を、ぶっ壊してアナログなことに使うという本末転倒な感じもいいですね。かなり演出がされているとは思うんですが、それでもドラマチックで見応えがあります。それから、2つ目は“ヒストリーチャンネル”ですね。ここは歴史と名がつけば、なんでもありって感じですよね(笑)。『古代の宇宙人』シリーズとか、“とんでも歴史”系というか、雑誌『月刊ムー』の世界観に近い番組も多いですね。そういったオカルト的なものでも、しっかりと真面目に作られていて興味深いです。それと、『アメリカお宝鑑定団 ポーン・スターズ』をはじめとするお宝発掘系の番組も好きですね。そういえば、'80年代に開催されたファミコン大会の優勝賞品だったゴールドカートリッジが、お宝として出てきてましたね。そういうものにもちゃんと価値を見出していて、それを通じてアメリカの'80年代が見えてくる。アメリカの歴史の裏側が見える気がしますね」。

――ドキュメンタリー系のチャンネルが2つ選ばれました。続いては?

渡辺浩弐「“ナショナル ジオグラフィック”ですね。このチャンネルも、“とんでも科学”系の番組が多くて面白いです。『ブレイクスルー:科学革命の夜明け』は、最先端科学を取り上げた番組ですけど、人間のサイボーグ化や不老不死なんかもテーマに取り上げていて、あくまでも真面目にやっているんですが、よい意味でのうさん臭さがあるんですよ。『バ科学』は、笑いながら科学を楽しむ番組ですが、ネットの人気動画から、コケてしまって大けがをしたとか、ヒドいシーンを取り上げて、それを科学的に検証していく。コケる瞬間のスピードや角度なんかを計算して、事故の原因を分析するんですよ。こういうことって、実験しようと思っても無理なわけで、アイデアが素晴らしい。むちゃくちゃ良い企画だと思いますね。それから、昆虫が好きなので“アニマルプラネット”。『マダガスカル 不思議な楽園』ではキリンゾウムシを取り上げていましたが、ここ数年で撮影技術が劇的に上がって、特に小さな昆虫の映像については、自然環境を壊さずに、自然の中で生きている昆虫のそのままの姿をきちんと接写しているんですよ。とてつもなく素晴らしいです。“アニマルプラネット”の昆虫を取り上げる番組は老若男女に見てほしいです」。

――いよいよ最後です。どのチャンネルを入れましょうか?

「最後は“BBCワールドニュース”ですね。このチャンネルに登場するジャーナリストたちは、キャラクターが立っていて、それぞれにプライドを持ってニュースを伝えていますが、決して熱くなりすぎず、すごく俯瞰で物事を見ている気がします。ニュース報道が成熟しているというのでしょうか、1つのテーマを取り上げるにしても、きちんと取材しているし、構成もしっかりしていて、何を伝えたいのか、狙いがちゃんと伝わってきますね。作家性、作品性があるんです。オススメの番組としては『インパクト』を挙げておきますが、アジア地域に向けたニュース番組で、中国などアジア諸国の動向を、日本からではない視点で見ることができて興味深いですね」。

――無事に5チャンネルが決まりました。ドキュメンタリーとニュースを中心としたセレクトになりましたね。

渡辺浩弐「そうですね。僕は、“セレクト5”ってすごく良い仕組みだと思うんですよ。今はチャンネル数がとても多く、地上波、BS、CSに加えて、インターネットでもいろいろな番組が見られる。そうなると、全部を見るのは不可能です。ならば、興味のあるチャンネルを5つ選んで見るというのは、すごく良いことだと思います。5チャンネルを見まくって、飽きたり興味が変わったら、また他の5チャンネルを選んだらいいんですよ。確か216円の手数料で簡単に変えられるんですよね。そのときに、『俺の5チャンネル』を見て、興味のある人の5チャンネルを真似してみるなんていうのも、新たな発見があって面白いかもしれません。また、“俺はこれを見ているんだ”と主張することも、1つのクリエイティビティーになると思うんです。選ぶ、見まくる、発信する、また次の5チャンネルを選ぶ…そうやって繰り返していくと、そこから新たな“創作”が生まれる気がしますね。だんだんと現在の自分の思いがはっきり見えてくるだろうし、新しい価値を見出すことになるのではないでしょうか」。

――なるほど。選んだ5チャンネルから今の自分の思いや興味が見えてきて、それを発信することで、新たな何かが生まれてくる可能性があるのですね。今日は、興味深いお話をお聞かせいただき、どうもありがとうございました!

※記載内容は2017年7月現在のもので、変更になる場合がございます。

取材・構成/竹内伸一

profile

'62・10・4生まれ。
福岡県出身。天秤座。O型。ゲーム情報ビデオマガジンの発刊やゲーム番組への出演など、'80年代からゲーム業界を中心に活躍。'94年には雑誌連載をまとめた小説「1999年のゲーム・キッズ」を発表し、作家としても注目を集め、著書多数。マンガ、アニメ、ゲームの原作なども手がける。11月には新刊を発表予定。
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