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2022/08/09

シュー・シンチー&チェン・ムーが織り成す青春ブロマンス...想像力を刺激する「同級生の絶妙な距離感」

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「君を見つけた~僕の最愛の友達~」
「君を見つけた~僕の最愛の友達~」

日本をはじめアジア中を熱狂させた「陳情令」(2019年)や「山河令」(2020年)に代表される、中国発のファンタジー時代劇の数々。まるで舞踊のような武侠アクションや耽美な世界観と共に多くのファンを魅了したのが、男性主人公たちの"尊い絆"を描いたブロマンスだ。

同性愛描写に対して規制が厳しいこともあり、主人公たちの友情に力点を置いた秀逸なブロマンス作品が多数誕生している中国ドラマ。「陳情令」や「山河令」もそうした流れを汲む名作だが、近ごろ現代劇で注目を集めたのが、キャンパスライフを送る若者たちの青春ストーリー「君を見つけた~僕の最愛の友達~(原題:最好的朋友)」だ。

大学生のブロマンス作品としても楽しめる「君を見つけた~僕の最愛の友達~」
大学生のブロマンス作品としても楽しめる「君を見つけた~僕の最愛の友達~」

(C)Bilibili

本作の舞台は、2007年の中国山東省・青島。日本語学院大学に入学したおとなしい性格のリン・シャオ(チェン・ムー)と、感情表現が不器用すぎるシャオ・ニエン(シュー・シンチー)、そして彼らの同級生たちが繰り広げる寮生活が爽やかなタッチで描かれる。

ある時、シャオ・ニエンはリン・シャオの部屋で、大ファンである芸能人とリン・シャオが一緒に写っている写真を目にする。憧れの芸能人と親しくなりたい気持ちでリン・シャオに興味を持ったシャオ・ニエンだが、同じサークルで活動し接点を持つうちに、お互いが内面に抱える孤独や将来の夢を知り、いつしか2人はかけがえない存在となっていく。

「君を見つけた~僕の最愛の友達~」
「君を見つけた~僕の最愛の友達~」

(C)Bilibili

物語の序盤、リン・シャオの目に映るシャオ・ニエンはぶっきらぼうで、やることなすこと唐突で、理解しがたいキャラクターだ。

2人の最初の交流は、入学直後の軍事訓練シーン。炎天下での訓練中、体調が悪そうなリン・シャオに気づいたシャオ・ニエンが、気遣って自分の体で影を作ってやる。単なる親切心からの行動だったとはいえ、背の高いシャオ・ニエンが具合の悪そうなリン・シャオにそっと体を近づけ影を作る場面は、まるで恋のはじまりみたいに美しい。

だがリン・シャオは、そのさりげない気遣いに気づくどころか体調不良がピークに達し、シャオ・ニエンの自慢の靴に嘔吐してしまう。

「君を見つけた~僕の最愛の友達~」
「君を見つけた~僕の最愛の友達~」

(C)Bilibili

あまり印象が良いとは言えない出会い方をした2人だが、そのあとからシャオ・ニエンの不器用すぎるアプローチが始まる。ろくに会話もしたことがないのに突然リン・シャオに誕生日プレゼントを用意し、リン・シャオがプレゼントに気づかないと勝手に怒り出したり、彼のそばにいるほかの男子を追い払おうとしたり...。その様子はまるで、小学生の男子が好きな子にちょっかいを出しているのかのよう。初恋のような瑞々しいやり取りがたまらない。

「君を見つけた~僕の最愛の友達~」
「君を見つけた~僕の最愛の友達~」

(C)Bilibili

ありえないほど不器用なシャオ・ニエンの言動だが、バスでたまたま乗り合わせたリン・シャオを見て思わず頬を緩ませるなど、彼への想いがダダもれてしまう瞬間も。いわゆる"BL(ボーイズラブ)"的なシーンは一切登場しないが、もどかしすぎるシャオ・ニエンの言動は、どう見ても恋する男子特有のリアクション。そこからリン・シャオが彼を意識し始め、2人が次第に友情を超えた複雑な想いで結ばれていく展開は、見る側の想像力を大いに刺激する。

「君を見つけた~僕の最愛の友達~」
「君を見つけた~僕の最愛の友達~」

(C)Bilibili

「君を見つけた~僕の最愛の友達~」
「君を見つけた~僕の最愛の友達~」

(C)Bilibili

中国では、ティミー・シュー(当時はシュー・ウエイジョウ)&ホワン・ジンユーというスターを生んだ「ハイロイン~上瘾~」(2016年)が"伝説的BLドラマ"として有名だが、本作で描かれる青春感と同性同士のなんとも言えない距離感は、「ハイロイン~上瘾~」を彷彿とさせる。"描かないからこそ想像してしまう"――そんな奥ゆかしい青春ブロマンスの高揚感が堪能できる作品なのだ。

文=酒寄美智子

放送情報

君を見つけた~僕の最愛の友達~
放送日時:2022年8月15日(月)23:00~
※毎週(月)23:00~(2話連続放送)
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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