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2022/08/17

かつての阪神のエース・井川慶が古巣の好調を分析「本来の力が出れば、この成績は当然」

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井川慶
井川慶

山本昌がMCを務める「マサNOTE~山本昌が記す球人の軌跡~」(スポーツライブ+)#36に井川慶が登場。番組では、井川の野球半生をさまざまな逸話と共に紹介。また、ウイニングショットの「チェンジアップ」について掘り下げる他、マウンドさばきなどについても迫る。

今回、収録後の井川にインタビューを行い、収録の感想や山本の印象、今季の阪神タイガース、ピッチャーの記録づくめとなっている今季などについて語ってもらった。(※取材は7/25)

――収録はいかがでしたか?

「本番前は、この番組に出ているゲストの方がみんな超一流の方なので、『自分でいいのか?』と正直不安だらけでした。ゲストの方は皆さん野球に真摯に取り組んでいる方々で、小さい時からプロ野球選手を目指して、紆余曲折がありながらも強い信念を叶えてプロ野球選手になってる方がほとんどだったので。自分は元々、『プロ野球選手になろう』と思っていなくて(プロに)入ってきたので、そういう熱意が違うから、ちょっと不安がありました(笑)」

――たくさんの"逸話"も紹介されていました。

「そうですね。"逸話"というかたちで自分の持ち味みたいなものを取り入れていただいたのは本当にありがたかったです。でも、正直まだまだいっぱいありますし、自分の"野球に取り組む考え"とかも、いろいろと他の方と違うアプローチの仕方をしていたので、そういうところをもうちょっと言えたらよかったかなっていうのはありますね。ただ、昌さんが本当に喋りやすい環境を作ってくださって、いっぱい話せたのは本当に良かったです」

――収録では、山本さんが「井川さんと似ている気がしていた」という言葉もありましたが、現役時代の山本さんの印象は?

「自分が(プロに)入った時からベテラン投手で、コントロール抜群、安定していて大崩れしないピッチャーだったので、『なんでこんなにずっと大きなけがなく投げ続けることができるんだろう?』と、すごく興味がありました。タイガースとドラゴンズだったので話す機会はもちろんなかったんですけど、自分は『どういうアップをされているのかな?』と遠くからアップの仕方とかを見たりして結構チェックしていました。ああいうすごい方に『似ている』って言っていただけるのは本当にうれしいですし、実は自分も似ている面がいっぱいあるなって感じました。多趣味で、野球は野球でしっかりやるんですけど他の面もしっかり力を入れているところとか(笑)」

――頭脳派なところも似ているのでは?

「自分の場合は"勝負"が好きで、その"勝負"のための努力は別に苦じゃないんですよ。『どうやったら勝てるのか』っていうのを突き詰めたり、『どうやって相手を上回るのか』っていうのはすごく研究していました」

――現役を続けてらっしゃる中でも、子供たちに指導する場面もあると思うのですが、子供たちへの指導で心掛けていることは?

「やっぱり"楽しむ"ことを大事に、ということですね。野球の楽しさをちゃんと知ってもらって、『楽しいから、じゃあ次で勝つにはどうしたらいいか』っていう段階に進むと思うので、まずは一番の基礎の部分である"楽しむ"っていうのを味わってもらいたいなと思いますし、『野球というボールゲームを楽しんでくれ』って言っています」

――今年の前半戦の阪神のドラマチックな展開をどのようにご覧になっていますか?

「最初の負けが続いていた時は勝てる試合を落としてしまっている、いわば"下振れ"が続いてしまって借金が16まで膨れ上がったっていう感じでしたが、それは本来の力ではないので。きっかけ的には『先発ピッチャーがゲームを作る』とか『後ろの3人がしっかり揃った』とか、打撃は良い時も悪い時もあるんですけど、近本(光司)くんが上位を打ってチームを引っ張ってくれているから、いい方向に向いてきていて本来の力が出てきたのかなと思いますね。本来の力が出れば、この成績は当然かなと思います」

――今年は千葉ロッテ・佐々木朗希投手を筆頭に、ピッチャーの記録づくめの年になっていると思うのですが、どういう見解を持ってらっしゃいますか?

「ここ10年、15年でピッチャーのレベルがだいぶ上がりましたよね。自分たちが(プロで)やっている時より、球のスピードも変化球のキレもコントロールの精度も違いますし。それは学生時代のトレーニングやプロに入ってからのトレーニングもそうですけど、やはり何より選手が真面目に取り組んでいるからだと思います。プロに入ることをゴールにせず、プロになってからの先を見据えて高校の時からいい教育を受けているから。あと、昔はいっぱい(いい選手に育つ可能性のある)素材があって、そこから勝ち上がってきた者がプロに行くんですけど、今は素材が少ない中で、その素材をしっかりと育てていける環境が整ったという側面もあると思います。それらが結果として表れ始めたんでしょうね」

――ご自身もノーヒットノーランという大記録を達成してらっしゃいますが?

「1勝は1勝なんですけど、今でも『やっといて良かったな』っていうのはすごく感じますね。自分の時は、消化試合の時ということもあって順位も決まっていますし、相手のバッターのラインナップも主力が欠いた状態だったということもあって、『チャンスかな』と思って投げていました。8回までのパーフェクト(ピッチング)の時は、とにかく『3ボールが嫌だな』と思って、結局、新井(貴浩)さんの打席でエラーがあったのも、多分3ボールまでいっているんですよ。そのプレッシャーで『もう、きついな...』と思っていた中で、それが一気に解けたので、『あと5個のアウトは全部(バッターを)選んでやろう。いけるな』と思いました。パーフェクトはバッターを選べないので、苦手だったり相性が悪い選手とも勝負しなければならないから、完全試合っていうのは本当にすごいことで価値が全然違うんですよ」

――最後に視聴者の方、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

「自分の場合は結構特殊で他の選手とは違っているのですが、そういう選手でも相手に勝ちたいっていう気持ちさえあれば何とかプロで飯が食えるぐらいになれるっていう(笑)。野球の場合は、十分にチャンスがあるということを知っていただけたら」

文=原田健

放送情報

マサNOTE~山本昌が記す球人の軌跡~#36
放送日時:2022年8月21日(日)0:00~
チャンネル:スポーツライブ+
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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