戸松遥と松岡禎丞が劇場版SAOプログレッシブ最新作「冥き夕闇のスケルツォ」で印象に残ったシーンとは？

主人公・キリトからヒロインのアスナへ視点を変え、物語の原点となる《アインクラッド》編を新たに描く完全新作のアニメーション映画『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ-』シリーズ。2021年公開の第一弾「星なき夜のアリア」に続く第二弾「冥き夕闇のスケルツォ」が10月22日(土)に公開される。

今回、アスナ役の戸松遥とキリト役の松岡禎丞にインタビューを実施。作品にかける思いなどを聞いた。

――初めて台本を読んだ際の率直な感想を聞かせてください

松岡「前作『星なき夜のアリア』とは違って、和気あいあいとした描写が多いといいますか、今まで通りの『ソードアート・オンライン』に戻ってきたのかな、という感じがご覧になる皆さんにも伝わるだろうなと思いました。前作は基本的には重い話ばっかりだったのですが、今回は重いだけではなく、ちゃんと喜怒哀楽という感情の流れがすごく上手に描かれていて、観ている方々にも『もう本当に良かったな』って思っていただけるような内容になっていたなというのが第一印象です」

戸松「前作よりもピリつき度がかなりマイルドになっていて、良かった、と(笑)。『星なき夜のアリア』は物語の原点から描くということで、アスナ自身も初心者っていうところからスタートしたんです。でも『冥き夕闇のスケルツォ』では、皆さんが知っているアスナにかなり近い状態からスタートするので、そういう意味では皆さんにとっても馴染みのある『ソードアート・オンライン』の空気感なんじゃないかなと思いますね。アスナとキリトの関係性というところは、まだまだ第5層なので、恋愛っていうところの進展はないんですけど。でも、前作は本当に他人というか『ただ出会っただけ』みたいな感じの関係性だったのが、今回はもう少し夫婦感の片鱗が垣間見える会話もあったり。登場人物も、前回はアスナ、ミト、キリトのほぼ3人という感じだったのが、敵も含めて彼らに関わってくる人物が増えてくるので、そういう意味でも世界観が広がっているんじゃないかなと思いました。私はもう単純に面白いなと思って読ませていただいた感じです」

――オリジナルキャラクターのミトが加わることについては？

松岡「前作でのキリトとミトは、まだ言葉を交わしていないものの、ミトの存在というのは第1層のボスと一緒に戦った仲ということもあって、キリトも認識しているのですが、本作では、ミトとキリトがちょっと接触するシーンがありまして。そこではミトとアスナの関係性を踏まえた上でキリトがミトに物申す、みたいなこともあるんです。『ようやく会話できた』という思いと『もうちょっとものの言い方を変えられたら良かったのにな』という思いもあったりしましたね。でも、それが当時のキリトなので仕方ないんですけどね。でも、ミトがアスナを鍛えていたおかげで、ある種バディとして迎えることができたので、うまく物語に彼女の存在を落とし込んでいるな、と思いました」

戸松「『ソードアート・オンライン』シリーズでアスナの元々の友達でもあるプレーヤーというのはミトだけなんです。そういう意味で2人の関係性って特別だな、と本作で改めて感じました。アスナとミトのなんとも言えない特別な関係性というのは、私も観ていて胸が痛かったですね。どちらの気持ちも分かりますし。でも本作では『お互いがお互いの道を選んだだけ』ということが感じられるので、私自身もほっとしました。そして、心も技術面も、アスナが強くなるのに大いに貢献してくれたのは、他の誰でもなくミトだったというのが改めて感じられるお話になっていたな、と思います」

――本作で印象に残っているシーンは？

戸松「ちょっとホラー系のシーンがあるのですが、久々にお化けを怖がってるアスナを演じられたのが嬉しかったです」

松岡「多分、今まで『ソードアート・オンライン』をご覧になっていただいていた方からすると、『あ、もうここからか』という感じがあるんですよ。アスナに圧かけられると『...そっすよね』みたいなことを言っちゃう片鱗が、もう『冥き夕闇のスケルツォ』からあるので、その辺りは面白く見ていただけるのかなと思います。

取材・文＝中村実香　撮影＝永田正雄