横浜アリーナ公演で水瀬いのりが思いを歌声に「気負わずに楽しく今を過ごしてほしい」

声優・アーティストの水瀬いのりが、2022年10月1日に全国ライブツアー「Inori Minase LIVE TOUR 2022 glow」の神奈川・横浜アリーナ公演を開催した。2022年夏に発売したニューアルバム「glow」を引っ提げ、愛知・宮城・福岡・神奈川・兵庫の全国5都市を回る。今回で3回目の公演となるアリーナの会場には、大勢のファンが駆け付けた。
暗転とともに「sunrise glow(overture)」の音色が鳴り響き、ステージの真ん中に登場した水瀬は、チェックのセットアップにシルクハット姿の衣装で手を振り上げながら「僕らだけの鼓動」を披露。ブルーのペンライトに彩られた会場でパワフルな歌声を響かせると「横浜アリーナ!みんなで一緒に盛り上がっていきましょう!」とファンに向かって声を張りあげ、観客の手拍子とともに「Step Up!」「Catch the Rainbow!」を続けざまに歌い上げた。

最初のMCでステージについて「皆さんが作ってくれる景色も含めてライブなんだと感じました」とファンに感謝。「ライブを楽しんでください」と呼びかけると、広い会場でもファンに見えるように衣装にもこだわったことを明かし、ピアノの音色に合わせてくるりと回転。「この服を着ると気分が上がります。衣装の力ってすごい」と満面の笑みを見せ、「神奈川公演、スタート!」と高らかに宣言して次の曲へ。
軽快なマーチング風のナンバー「Wonder Caravan!」でファンの心を引き付けると、ステージに腰かけて「風色Letter」を情感溢れる歌声で響かせる。バンド紹介を挟み、白のオフショルダーと赤白のボーダースカートに衣装をチェンジして歌う「We Are The Music」は、大きく手を振るサビで観客との一体感を作ると、一転してジャジーなピアノで始まる「Melty night」をキュートな声で歌唱。小さく指でハートを作るなど甘い恋心を表現した。
改めてバンド紹介で「私は譜面が読めないので、音色として頭の中で想像して演奏できるなんて本当にすごい」とメンバーに敬意を示すと、スカートをヒラヒラとなびかせ「夏を忘れられない乙女みたいな気持ちで着ています」と衣装を披露。そのまま「夏ゾーンに入りたいと思います!」と宣言して、曲調の異なる恋愛ソング「夏の約束」「八月のスーベニア」の2曲を歌い、伸びやかな歌声を響かせた。
続く幕間映像では、文化放送にて放送中のレギュラーラジオ「水瀬いのり MELODY FLAG」出張版として「お悩み相談室」のコーナーががスクリーンに映し出され、相談者の悩みに丁寧に対応。しかし、ラジオネームから投稿者が声優仲間であり友人の佐倉綾音だと判明すると、途端に辛口対応に。普段の仲の良さをうかがわせつつも、バサバサと切る遠慮のない物言いで軽快にトークを弾ませた。続いてラジオネーム「むぎまるのママ」から投稿者が子猫を飼っている声優の大西沙織だと気付くと、自分へのプレゼントという相談に「20歳の時に人生で初めてブランドもののバッグを買いました」と明かし、「大人になるにつれて似合う女性になれたらいいな」と買った理由を告白。大西が30歳という年を考えて「自分をいたわるボディーケアを購入されてはいかがでしょうか」と優しく回答すると、2人のレター出演に拍手が鳴り響いた。

後半戦は「REAL-EYES」から始まり、アッパーチューンな曲で会場の熱気も急上昇。黒のジャケットにチュールスカートを合わせた衣装の水瀬が、メインステージからトロッコに乗ってセンターステージへ移動すると、「HELLO HORIZON」「Starry Wish」を続けて熱唱。途中リフターが高く上昇し客席を360度見渡すと、ペンライトで応える観客たちとともに会場を盛り上げた。MCでは各地で好評だという衣装に触れつつ、ハーフツインにセットした髪型の人気が高かったことを明かすと、ファンから送られる大きな拍手に「ライブでしかやりませんから目に焼き付けていってくださいね」と笑いながら答え、客席に手を振りつつメインステージへ戻った。
その後、ピアノの伴奏で始まったナンバー「僕らは今」は中止となってしまった2020年のツアータイトルにもなっていた楽曲。ライブ空間で生まれるファンとの絆を歌い上げた曲が観客の心を一つにして、印象的な空間を作り上げる。続けて「星屑のコントレイル」で熱量の高いパフォーマンスを見せた後は、白のロングドレスに身を包んだ水瀬が「パレオトピア」を神秘的な雰囲気の中で歌い上げ、そのままミディアムナンバーの「心つかまえて」「ココロソマリ」を優しい声音でじっくりと聞かせた。
歌唱後「皆さんが私とずっと一緒に歩いてきて良かったなと思ってもらえるような今日であればすごく嬉しいな、という気持ちで歌わせていただきました」と涙ぐむと「音楽が自分の中で拡張するようなアルバムが『glow』でした。アーティスト活動をしているからこそ見せられる表情や表現があると思うので、これまで通りたくさん挑戦していきます」と思いを吐露。そして、本編最後の曲としてアルバムの表題曲「glow」を歌い、ステージを後にした。

アンコールでは、ツアーTシャツに着替えた水瀬がトロッコに乗って会場を一周しながら「今を僕らしく生きてくために」「コイセヨオトメ」を続けて歌唱。笑顔で手を振りながら客席を隅々まで見渡し、顔の見える距離で多くのファンとの交流を楽しんだ。ステージに戻ると「皆さんのアンコールがあったからこそ披露できた楽曲です」と話すと、2020年に公演予定だった「animelo mix presents Inori Minase LIVE TOUR 2020 We Are Now」ツアーグッズのベルトを見せ「みんなで一緒の時間を過ごせることは当たり前ではないんですよね」と回顧。「つらいことや悲しいことがたくさんありますけど、気負わずに楽しく今を過ごしてほしいです」と熱いメッセージを送り、「私が届ける音楽やお芝居から皆さんが何かを受け取ってくれることを信じて、私は発信し続けます」と応援してくれるファンに向かって決意を示した。
そして、アンコールのラストは「Starlight Museum」。ファンやスタッフとのこれまでに感謝を込めて自ら作詞した楽曲を歌い上げると、「みんなで一緒に高くジャンプしますよ」の水瀬のかけ声で会場の全員がジャンプ。金のテープが発射されて盛大な拍手が沸き起こり、最高のフィナーレを迎えた。しかし、ステージに鳴り止まない拍手が送られ続けると、舞台袖から水瀬が再び登場。「皆さんとの絆を私たちのハーモニーでもっと強く結べたらいいな」と告げて「harmony ribbon」を披露すると、ステージ上を移動しながらファン一人一人に送るかのように大きく手を振り続けた。最後に「本日は本当にありがとうございました」とオフマイクで叫ぶと、大団円の中、ライブを締めくくった。
取材・文=永田正雄 撮影=加藤アラタ、三浦一喜
放送情報【スカパー!】
水瀬いのり OFFICIAL WEB SITE
https://www.inoriminase.com/
「Inori Minase LIVE TOUR 2022 glow」
https://www.inoriminase.com/special/2022/glow/
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