当時14歳、映画初主演の高杉真宙が初々しい!ギャル感全開の剛力彩芽も見逃せない映画『カルテット!』

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」で"なにわの天才"と呼ばれている浪速大学の人力飛行機サークルの部員を演じ、「PICU 小児集中治療室」では吉沢亮と親友役で初共演している高杉真宙。今やドラマや映画のオファーが絶えない高杉が14歳のときにオーディションで選ばれて映画初主演を果たし、18歳の剛力彩芽と共演したのが『カルテット!』だ。日本映画専門チャンネルでは11月24日(木)に放送される。
2017年にドラマ化された『セトウツミ』では屈折した秀才を演じていた高杉だが、彼には知的なキャラクターがよく似合う。高杉演じる開は天才的な才能を持つバイオリニストで、剛力演じる美咲は昔、フルートを吹いていた開の姉。バラバラになってしまった家族を開は中学生ながら何とか修復しようとするが、女子高生の美咲は弟にばかり期待する親に反発する。ちなみに本作は、市制30周年の節目の年を迎えた浦安を舞台に企画され、2011年の3月にクランクインする予定だったが直前に東日本大震災が発生。液状化被害で撮影が危ぶまれる中、被災した市民を含む約700人がエキストラで参加。多くの協力者の熱意の中、完成した。クラシックの名曲に触れられる作品でもあり、第79回日本音楽コンクールのバイオリン部門で1位になった山根一仁がソリストとしてチャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」を弾く場面も見ることができる。

■思春期真っ只中の高杉の初々しさ、健気に奮闘する演技に注目

幼い頃からバイオリンを習い、先生(田中美里)に自分の音を見つけるように言われている開は悩み多き中学生。家に帰ると会社をリストラされて主夫業をしている父親(細川茂樹)と魚市場で働いている母親(鶴田真由)は言い争い、姉(剛力)は学校の問題児。プロのピアニストを目指していた父とチェロ奏者だった母、フルートを習っていた姉のことを知った開は、仲が良かった4人の関係を取り戻すためにもう1度家族で演奏しようと提案する。父親は賛同するものの、母親は現実がわかっていないと反対。「変だと思わない? こんな家」とムキになって両親に自分の想いをぶつける。そして、姉をフードコートで待ち伏せて説得しようとする一途な演技は少年そのもの。高杉の初々しい表情にキュンとさせられる。
祖母(由紀さおり)の誕生日会をキッカケに父はピアノを母はチェロを再び弾き始め、3人で「G線上のアリア」を演奏することになる。開は才能を認められ、将来への道が開けていく中、自分がやりたいこと、出したい音について最後まで悩み、葛藤する。バイオリンを猛練習して臨んだ演奏シーンも見どころのひとつだ。
■弟とは対照的なギャル全開の反抗的な姉を剛力が演じる

自転車を盗んで先生に怒られても嘘泣きをして「うっせー! マジうざい」と吐き捨て、父親に呆れられている美咲。ギャル仲間とつるみ、反抗するようになった原因は両親が開にばかり期待しているから。そんな美咲も仲のいい先輩にフルートを吹いているところを見たいと言われ、家族4人でのカルテットに参加することを決める。髪に赤いメッシュを入れ、濃い目の化粧に制服姿の剛力はその心境の変化を表現する演技が魅力的だ。ふてくされていたギャルが派手な衣装を着てステージに上がるとチャーミングなフルート奏者として観客を魅了。やがては弟の才能を理解する優しい姉の顔になっていく。まだ10代だった2人のキラめきがスクリーンの中に刻まれている。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
カルテット!
放送日時:2022年11月24日(木)08:55~ほか
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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