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小松菜奈と坂口健太郎が苦悩を抱えながらも運命に引き寄せられる2人を演じる珠玉のラブストーリー「余命10年」

2022/11/24

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映画「余命10年」に出演する小松菜奈と坂口健太郎
映画「余命10年」に出演する小松菜奈と坂口健太郎

「閉鎖病棟-それぞれの朝-」や「糸」など、近年は映画を中心に活躍している若手実力派俳優・小松菜奈と、「今夜、ロマンス劇場で」「そして、生きる」「仮面病棟」などの映画で、ヒロイン役の女優陣の魅力を最大限に引き出す存在感を評価されている坂口健太郎。日本映画界の未来を牽引する2人がW主演を果たしたのが、映画「余命10年」だ。小説家・小坂流加の同名ベストセラー小説を「新聞記者」などで知られる藤井道人監督が映画化した本作は、肺の病気で余命を宣告されている女性と、彼女との出会いで生きる力を取り戻した青年との恋を描いたラブストーリー。

不治の病で、自身の余命があと10年であることを知った20歳の茉莉(小松菜奈)。それ以来、生きることに執着しないよう、「恋だけはしない」と決めて生きていた茉莉だが、中学の同窓会に出席した際に、かつて同級生だった真部和人(坂口健太郎)と再会する。その後、自殺未遂するもケガだけで済んだ和人を、同級生のタケル(山田裕貴)と共に見舞う茉莉だったが、生きる気力のない和人に対して、「真部君のこと、よく知らないけれど、それってすごくずるい」と叱責してしまう。しかし、そのことをきっかけに、和人は居酒屋で仕事を始め、茉莉は高校時代から評価されてきた文章力を活かし、友人の沙苗(奈緒)の紹介でウェブライターとしての活動をスタートさせる。そんな中で、2人は運命に引き寄せられるように少しずつ距離を縮めていく――。

(C)2022映画「余命10年」製作委員会

小松が演じるのは、余命10年というタイムリミットを常に感じながら生きる女性・茉莉。自室では呼吸を助けるための酸素チューブを装着し、大量の薬で命を長らえさせている状況にありながらも、友人たちと会う時は、ごく普通の女の子としてはしゃぎ、笑顔を浮かべる...。そんな二面性を持つ茉莉を、小松は切れ長の瞳の奥に、底知れぬさびしさを湛えながら表現した。

(C)2022映画「余命10年」製作委員会

茉莉と運命的な恋に落ちる和人役を務めた坂口は、前髪で目元を隠し、自信なさげな話し方で、彼が抱える孤独にリアリティを与えていく。酔った和人を茉莉が介抱するシーンで坂口が見せる捨てられた子犬のような表情は多くの視聴者のハートを鷲掴みにするだろう。

それぞれに大きな問題を抱えている茉莉と和人は、タケルの呼び掛けにより、まもなく再会。共に夜の桜並木の下を歩いている際に突風が吹いた後、互いに視線を交わすスローモーションシーンでは、「この瞬間に茉莉と和人は恋に落ちたんだ」とわかる、彼らの見事な演技を味わうことができる。

(C)2022映画「余命10年」製作委員会

2013年からはじまる物語は、少しずつ時を重ね、茉莉や和人の変化も丹念に描いていく。小松は、常に死への恐怖と発作への不安を抱える茉莉を、従来の美しさを押さえて演じる一方、坂口は、年を追うごとにたくましく成長していく和人を髪型や表情の変化でも表現。力強い声や視線、堂々とした姿勢から、和人がさまざまな出来事を乗り越えきたのだと、観る者に一目で伝えることに成功している。

春の満開の桜、夏の花火、秋のイチョウなど、映像の美しさを巧みに使った藤井監督の演出も光る、切ないラブストーリー。恋の喜びだけではない、さまざまな感情をぶつけ合いながらも、「それでも一緒に生きていきたい」と思える存在と出会えた奇跡を見事に体現した、小松と坂口の熱演を、ぜひその目で確かめてみて欲しい。

文=中村実香

放送情報【スカパー!】

余命10年
放送日時:2022年12月6日(火)13:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

詳しくは
こちら

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