自堕落なイケメンが祖母と入れ替わる?難しい役柄で活きる町田啓太の確かな演技力

純愛BLドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」では爽やかなサラリーマン・黒沢優一を演じ、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」では土方歳三役で強烈な印象を残した、俳優・町田啓太。幾多の映画やドラマ、劇団EXILEのメンバーとして経験を重ね、シリアスな役からコミカルな役まで幅広くこなす俳優として活躍中だ。
そんな町田の出演作の中でも一風変わった作品として注目したいのが、今年2月から3月にかけて放送されたドラマ「ダメな男じゃダメですか?」。テレビ東京とめちゃコミックが合同でスタートさせたプロジェクト「僕を主人公にした漫画を描いてください!それをさらにドラマ化もしちゃいます!!」から生まれたもので、大賞を受賞した大盛のぞみの漫画を原作としている。

(C)「僕ドラ」製作委員会
町田が演じる主人公の田町権太は優しい青年だが、幼い頃から周りに流されやすい性格。就職活動に失敗した時、たまたまアップした写真がSNSでバズってしまい、本当の自分とは違う偽りの姿を投稿するようになる。
役柄を的確に表現する町田の演技力はさすがで、面接の時の受付嬢とのやり取りでは人懐っこい笑顔を見せ、不採用で落ち込んでいる時には重い空気が身体から滲み出る。中学生の時から付き合っている彼女で、深川麻衣演じる葛西真央が作ったカレーを食べながらホッとしたように微笑み、真央と喧嘩した時には自分の欠点に気づきながらも必死で正当化する...そんな弱さが垣間見える。

(C)「僕ドラ」製作委員会
そして自堕落な生活を送っている権太のところへ、宮崎美子演じる祖母・落合カツヨが様子を見に来る。カツヨはスーパーポジティブなお婆ちゃんで、情けない孫の姿を見て思わずビンタで喝を入れるが、その瞬間に権太とカツヨの中身が入れ替わってしまう。

(C)「僕ドラ」製作委員会
そこからがこのドラマの見どころ。姿は権太だが中身はカツヨであり、口調はもちろん姿勢や動作もカツヨのものとなる。町田はこの難しい役も見事に演じ切っている。
大手企業・大告堂の矢上鉄男(田口浩正)とのやり取りでは、方言満載のカツヨ口調と堂々とした性格がしっかり出ているし、町田の凛々しさとのギャップも印象的だ。幼い頃の権太の話をする時もカツヨになりきっていて、優しい声と表情で孫への愛情を感じさせてくれる。そういった姿が実にコミカルに、また可愛らしく画面に映し出されるのだ。
紆余曲折を経た後、物語の終盤で再び権太とカツヨの中身が入れ替わり、2人は元の状態に戻る。さまざまな経験の中で成長した権太が真央に想いを伝えるシーンでは、本気で、真摯で、まっすぐに真央とその心を見つめ、ため息が出るほど良い表情を見せてくれる。権太と、中身がカツヨの権太。この2役を演じた町田の演技力は、多くの視聴者から高い評価を得ていた。

(C)「僕ドラ」製作委員会
また、ドラマのあちこちに、町田が持つさまざまな魅力が散りばめられていることにも注目したい。権太がSNSにアップした写真は雑誌モデルさながらにキマっているし、スーパーアイドルを目指して受けたオーディションで披露するキレっキレで緩急抜群のパフォーマンスも必見だ。
「僕を主人公に~」というプロジェクトから生まれただけあって、町田の魅力がこれでもかと詰め込まれている本作。見終わった後にはファンのみならず、きっと多くの人が町田啓太という俳優をより好きになり、親しみを覚えていることだろう。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
ダメな男じゃダメですか?
放送日時:2022年12月22日(木)3:00~
チャンネル:ホームドラマチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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