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岸井ゆきのが演じる底辺YouTuberのバトル!ムロツヨシと共演した予測できない愛憎劇「神は見返りを求める」

2022/12/06

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「神は見返りを求める」
「神は見返りを求める」

現在放送中の日曜劇場「アトムの童」に出演中の岸井ゆきの。2009年に女優デビューを果たし、2017年の初主演映画「おじいちゃん、死んじゃったって。」で第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞した。今泉力哉監督作「愛がなんだ」(2019年)では一方通行の恋にすべてを捧げるヒロインを好演し、第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。緻密な芝居から生まれるリアリティは高く評価され、演技派として注目を集めている。

今年も主演映画「やがて海へと届く」「ケイコ 目を澄ませて」、高橋一生とW主演を務めたドラマ「恋せぬふたり」など、多数の作品に出演し続けている。そんな彼女の主演作の中でも異色の作品が、12月28日(水)にWOWOWシネマで放送される「神は見返りを求める」だ。

ムロツヨシが独身の中年男性を演じた「神は見返りを求める」
ムロツヨシが独身の中年男性を演じた「神は見返りを求める」

(C)2022「神は見返りを求める」製作委員会

イベント会社に勤める田母神尚樹(ムロツヨシ)は、合コンでYouTuber・ゆりちゃんに出会う。再生回数に悩む彼女を不憫に思い、番組作りを手伝うように。登録者数はなかなか増えないものの前向きに取り組み、良きパートナーになっていく2人。しかし、田母神の同僚の紹介で知り合った人気YouTuberとのコラボ動画によって、ゆりちゃんは突然バズってしまう。瞬く間に人気YouTuberの仲間入りを果たした彼女は、尚樹と動画を作らなくなる。恋が始まる予感から一転、物語は豹変し...。

「神は見返りを求める」
「神は見返りを求める」

(C)2022「神は見返りを求める」製作委員会

本作で、岸井はゆりちゃんこと川合優里を演じた。女優でもアイドルでもなく、人気が欲しい底辺YouTuberというキャラクターが妙にリアルだ。自分の可能性を信じて瞳を輝かせ、ひたむきに夢に向かって頑張る姿が可愛らしいが、それゆえに健気で痛々しく、見守りたい気持ちが芽生える。しかし、体当たり系の動画がバズったことで、素朴で純粋な女の子から嫌な女になっていく優里。和気あいあいと動画を作っていた頃とは違う顔を見せる。その落差は激しく、岸井の演技力に驚かされるはずだ。

冴えない中年男性・田母神を演じたのがムロツヨシだ。昨年は映画「マイ・ダディ」でついに初主演を務めたが、一癖も二癖もある遊び心満載の芝居は、作品の中で鮮やかな印象を残している。本作でも刻まれた表情や細やかな仕草に、人間の暗部や中年男性の悲哀をまざまざと見せつけてくる。その嫌な感じを絶妙な加減で演じ、穏やかで心優しい男の精神が壊れていく様が恐ろしい。ムロでなければできない難役と言える。

見返りを求めず神のように優しかった田母神と、ひたむきに夢を見る女の子だった優里。価値観の違いからズレが生じ、物語は現代の地獄のようなバトルへと発展してしまう。ラブストーリーになるはずだったのに、どうしてこうなってしまったのか...。必死に生きる無様な姿が情けなくて面白くて、心をぐさぐさと刺してくる。

見返りを求める男と、恩を仇で返す女による予測不能の愛憎劇。監督を務めたのは、「ヒメアノ〜ル」(2016年)や「空白」(2021年)など独自の視点から人間の本質を見つめ、独特の嫌な雰囲気を描くことに定評のある吉田恵輔。男と女、本音と建前、嫉妬と憧れ...誰しもが持つ醜さや葛藤が鮮烈にポップに描かれている。近年注目を集める岸井と日本が誇る個性派俳優のムロ、そして吉田監督によって見事なケミストリーが生まれている。

文=中川菜都美

放送情報【スカパー!】

神は見返りを求める
放送日時:2022年12月28日(水)23:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

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