新川優愛と町田啓太が大人の「恋心」を体現！演者のパブリックイメージを揺るがすドロ沼展開も話題を呼んだ「ギルティ～この恋は罪ですか？～」

近年その活躍が目覚ましい町田啓太。映画化もされた人気ラブコメ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(2020年)や、自衛官候補生を演じた「テッパチ！」(2022年)など、多彩なキャラクターが相次ぐ中で、新年早々には宮藤官九郎脚本による、百姓集団の痛快な活躍を描いた正月時代劇「いちげき」も控えている。出演作を挙げればきりがない。

そんな町田が新川優愛演じるヒロインの元恋人を演じ、衝撃的なドラマ展開が話題を呼んだラブサスペンスが「ギルティ～この恋は罪ですか？～」(2020年)だ。

放送当時、累計発行部数150万部を突破した丘上あいの人気コミック「ギルティ～鳴かぬ蛍が身を焦がす～」をドラマ化した本作。身近な人たちから数々の裏切りにあって幸せを奪われる一方で、許されない純愛に揺れるヒロインが、苦悩しながらも強く生きる姿を描く。

やりがいのある仕事に恵まれ、優しい夫と結婚生活を送る女性ファッション誌の編集者・荻野爽。ある日、取材で訪れたレストランで高校時代に付き合っていた初恋相手の秋山(町田啓太)と偶然再会する。ところが、その再会以降、爽は信頼していた周りの人々から次々に裏切られ、不幸のどん底に叩き落されていく...。

新川が演じたヒロインの爽は、正義感が強く真っ直ぐな性格で、何度でも立ち上がる強さを持っている。ドラマの序盤では、仕事も順調で、家事もこなす優しく完璧な夫と誰もが羨むような理想的な夫婦生活をしているが、やがて予想外の裏切りが次々と彼女に襲いかかる。そうした一方で、高校時代の初恋相手・秋山と再会して、心の奥底に秘めていた想いが疼き出す。夫への愛情と初恋の人との恋の間で揺れ動く複雑な心情を新川が繊細に表現した。

相次ぐ裏切りにも立ち向かう爽と、真っ直ぐな強い瞳が重なる。トラウマを抱え傷つきながら必死に自分を奮い立たせようとする姿が健気で切ない。裏切りにも負けない、感情を剥き出しにした熱演に心が揺さぶられる。

ヒロインの運命を翻弄する2人の男には、町田と小池徹平が起用された。小池が演じる爽の夫・荻野一真は、広告代理店勤務で高給取りのハイスペックなイケメン。妻の仕事への理解もあり、家事も率先して分担するという優しくて完璧な夫。しかし、爽には見せない一面を持っていた。徐々に明らかになっていく"裏の顔"は、清々しいほどのクズっぷりだが、複雑な過去を持つ影のある役どころを小池が見事に演じきった。

町田が演じる秋山は、小さなイタリアンレストランのオーナー兼シェフをしている。口が悪くぶっきらぼうなものの、爽がピンチの時には駆けつけてくれる優しい男だ。妻を愛しているが、爽への思いをずっと抱えて生きてきた。辛い展開の中で唯一の救いとも思えるほどの爽やかな雰囲気を纏い、爽に向ける笑顔やハグなど行動のすべてが胸キュン必至だ。

そして彼らを取り巻く人間模様において、若手実力派2人の怪演も光った。爽の年下の友人・及川瑠衣を演じるのは、中村ゆりか。妹キャラで爽に懐いているが、実はとんでもない裏切りをしている。妖艶で謎を秘めた雰囲気を漂わせる瑠衣の豹変ぶりが恐ろしい...。また、爽が働く編集部でバイトしている大学生・寺嶋は神尾楓珠が演じた。爽を慕う好青年だが、彼もまたある秘密を隠している。美しい笑顔の裏で静かな怒りを宿す、そんな神尾の強い目力に惹きつけられる。

本作は、登場人物が"全員裏切り者"という大胆な設定で展開した刺激的なストーリーが大いに話題を呼んだ。次々と驚愕の裏切りが発覚し、修羅場に次ぐ修羅場で人間の裏表が赤裸々に描かれる。そして次第に秘められた大きな謎が解き明かされていく。個性豊かな俳優陣がパブリックイメージを揺るがすほどの怪演を披露。そんなドロドロとしたストーリーの中で、フラッシュバックする爽と秋山の初恋の記憶や、再会後も色褪せない互いへの想いが胸をときめかせる。

ドロ沼不倫劇の裏で、胸をキュンとさせる純愛が同時進行する"ドロキュン"という新たなジャンルを生み出した。新川をはじめとするキャストの演技合戦は見ものだ。

文＝中川菜都美