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2023/01/15

当時10代の夏帆&岡田将生の演技がみずみずしい!田舎町で繰り広げられる少年少女の恋模様を描く「天然コケッコー」

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「天然コケッコー」(衛星劇場)
「天然コケッコー」(衛星劇場)

2022年の10月から12月にかけて放送されたドラマ「silent」で聴覚障がいを持つ女性を演じ、迫真の演技が高い評価を得ている夏帆。2015年に公開され、綾瀬はるか、長澤まさみ、広瀬すずと共に4姉妹の役を演じた映画「海街diary」では日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受するなど、着実にキャリアを重ねている。

そんな夏帆が16歳の時に初主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したのが映画「天然コケッコー」。原作は1970年代後半に少女漫画に新しい風を吹き込んだ、くらもちふさこ。監督は「オーバー・フェンス」や、綾野剛主演の「カラオケ行こ!」なども手掛けた山下敦弘。監督曰く、本作に夏帆を起用したのは、オーディションで戸惑っていた様子が主人公・そよのイメージに合っていたからだという。

三つ編みに制服姿で田舎町の少女を演じる夏帆
三つ編みに制服姿で田舎町の少女を演じる夏帆

(C)2007「天然コケッコー」製作委員会

本作の舞台は自然豊かな島根県の田舎町。全校生徒がたった6人の分校に東京から転校してくる大沢広海を当時18歳でデビュー間もない岡田将生が演じている。美しい花が咲き、移り変わっていく季節の中で、ご近所さんはみんな知り合いという小さな町。その町で淡い恋をする、そよと広海の二度と戻らない時間を鮮やかに切り取った本作。夏帆と岡田が見せる表情にキュンとさせられる。

■思春期真っ只中の少年少女を演じる夏帆と岡田のみずみずしい演技

小学1年生から中学2年生までの6人の生徒が1つの教室で学んでいるという小さな学校に転校してきた中学2年生の広海は、そよにとって初めての同級生。床屋も郵便局も1つしかなく、病院もない小さな田舎町で暮らすそよにとって、東京から転校してきた広海は異質な存在。かっこいいと思いきや、そっけない態度に幻滅するものの、夏休みに学校のみんなと海まで歩いていった時に線路で転び、電車が来る寸前に広海に助けられたことをきっかけに徐々に惹かれていく。

(C)2007「天然コケッコー」製作委員会

好きなのになかなか素直になれないそよと、女子にモヤモヤする思春期真っ只中の広海がぎくしゃくしながら恋を育んでいくシーンの数々に、好きな人のことを思うだけで胸が痛くなった時の甘酸っぱい気持ちを思い出す人も多いはず。

初キスを経験したがっている広海のことを知って、代官山で買ったジャケットをくれることを交換条件にして神社で一瞬のキスをする場面や、バレンタインのチョコを渡しそびれる展開など、島根の四季の風景とともに青い季節がキラキラと映し出される。揺れる表情が印象的な夏帆は原石の輝き。のちに俳優としてブレイクを果たす岡田の、ぶっきらぼうな態度の中に優しさを隠す演技も等身大で初々しい。

■初めて東京に行って見つけたことが、そよの視界を広げることに

(C)2007「天然コケッコー」製作委員会

広海が住んでいた街に行ってみたくて、修学旅行で東京に行きたいと先生に提案するものの、そよは新宿駅で人の多さにクラクラ。島根で待っている友達のためにお土産を選び、広海に「土産、土産ってせっかく東京に来たのに結局、田舎のことばっかじゃん」と言われるが、そびえ立つ高層ビルと空を見上げ、そよは耳に手を当てて、すごい発見をする。その瞬間、東京育ちの広海と自分を隔てていた境界線がスッと消えてなくなるシーンはとても爽快だ。ほわんとした佇まいながら、大切なものを見逃さない感性の鋭さを持つ少女の役を夏帆が好演。くるりが歌う主題歌「言葉はさんかく こころは四角」も本作の世界観にぴったりだ。

文=山本弘子

放送情報

天然コケッコー
放送日時:2023年2月3日(金)20:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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