2023/03/15
イ・ドンウクが体現する「正統派ロマンス」の破壊力...ヒロインへの一途な想いがそのまま表れた多彩なキスのバリエーション
2022年12月に日本公開されたアンサンブル映画「ハッピーニューイヤー」(2021年)では、ホテルの優秀なCEOを演じたイ・ドンウク。完璧なイケメンと思いきや、奇妙な強迫症を抱えた"クセ強"なキャラクターを嬉々として演じており、近年はその演技の幅を広げている印象だ。
「他人は地獄だ」(2019年)で見せたミステリアスな一面や、ウィ・ハジュンとのブロマンスも好評だった「バッド・アンド・クレイジー」(2021年)のテンション高めな破天荒刑事役も面白いが、やはりその美しいビジュアルを生かした正統派ロマンスも捨て難い...それがファンの本音かもしれない。
3月17日(金)からホームドラマチャンネルで放送される2015年の主演ドラマ「風船ガム」は、そんなドンウクのロマンス演技が堪能できる正統派ラブストーリー。ドンウクは、幼馴染みに特別な感情を抱く漢方医・リファンを演じている。
リファンは、早くに両親を亡くした幼馴染みの女性・ヘンア(チョン・リョウォン)と兄妹のように育った間柄。周囲が恋人と勘違いするほど仲の良い2人だが、ヘンアは上司のソクチュン(イ・ジョンヒョク)と交際中で、リファンも母に勧められたお見合い相手といい雰囲気。だが、楽しいとは言えない恋に苦しむヘンアをそばで見守るうち、リファンは自分の本当の想いに気付く。
優しく穏やか、知性派で医師としての腕も確かなリファンだが、ヘンアの前でだけは短気で子どもっぽい顔を見せる。ヘンアのことが心配でたまらず、恋人と破局したと知ると駆けつけ、交際相手だったソクチュンの自宅までズカズカと上がり込む無鉄砲さでハラハラさせる。
自分ではヘンアの"兄"だと思っているのに、ヘンアには"弟"だと思われている、そんな空回りっぷりもリファンの魅力。無意識にヘンアを溺愛するリファンがチャーミングで微笑ましく、芸達者のドンウク&リョウォンが自然と漂わせる幼馴染みならではの気の置けない空気感も心地いい。
それだけに、自分の気持ちが恋愛感情だと気付いてしまって戸惑うリファンがもどかしい。ヘンアの元彼・ソクチュンにタンカを切ったものの、相手の方が大人の男として一枚も二枚もうわ手だと思い知らされると、「俺の負けだ...」とスゴスゴ退散。自己嫌悪に陥る等身大なキャラクターに思わず共感し、引き込まれる。
お互いに恋愛感情をくすぶらせながらも、なかなか"幼馴染み"関係をぶち破れないリファンとヘンア。そんな2人が一歩踏み出す起爆剤になるのが、リファンが繰り出すキスの数々だ。
追いかけてくるソクチュンを忘れさせようと、大きな手でヘンアの瞳を覆いながら強引に口づける"目隠しキス"や、風船ガムを膨らませるヘンアの唇を奪った後、口移ししたガムをリファンがプゥ~ッと膨らませる"風船ガムキス"――ドラマの世界観ともマッチするキスのバリエーションも実に多彩。
そして強引なキスと共に、2人の距離感が近付いていくにつれ、ヘンアの側も"幼馴染みのリファン"への想いが確実に変化していく。刺激的なキスが続いた後、お互いの気持ちが通じ合う最後のピースが、意外にも優しく包み込むようなおでこへの軽いキス、というのもいい。
40代を過ぎた今も、大人チャーミングな魅力とどこか哀愁めいた色気を漂わせるドンウクには、1人の女性を愛し続ける一途なキャラクターが良く似合う。この「風船ガム」の翌年には出世作「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」が放送され、親友コン・ユと共に再ブレイクとも言える爆発的な人気を獲得したことは周知の通りだ。
2023年はセクシーな"九尾狐"役が話題の新作「九尾狐伝1938」も控えているだけに、ますます活躍を拡げていきそうなドンウクの今後に期待したい。
文=酒寄美智子
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