的場浩司がハードボイルドで熱い男を演じた映画「CONFLICT ～最大の抗争～外伝 織田征仁」

1988年に映画「首都高速トライアル」で本格的に俳優デビューを果たした的場浩司。今年9月には、「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズ第3弾で山梨発の青春ドラマ「メンドウな人々」が劇場公開したほか、 2020年の主演舞台「銀河鉄道の父」が再演され新たな感動を届けた。

また、最近では主演を務めたノワールアクション「修羅の世界」(2022年)や、香取慎吾と岸井ゆきのが主人公夫婦を演じた「犬も食わねどチャーリーは笑う」(2022年)への出演など、舞台や映画・ドラマで広く活躍している。強面で男気溢れる役柄や一癖あるキャラクターを演じる一方で、バラエティなどでは大好きなスイーツを美味しそうに頬張る可愛らしい一面も見せる。そして、的場は数多くのVシネマにも出演し存在感を発揮してきた。

俳優生活30周年記念作品となったのが、2019年の「CONFLICT ～最大の抗争～外伝 織田征仁」だ。本作は、Vシネマ界を牽引してきた豪華キャストが集結した任侠活劇シリーズ「CONFLICT ～最大の抗争～」の、初めてのスピンオフ作品。日本最大の関東ヤクザ組織・天道会を中心にヤクザ戦争を描いた人気シリーズの外伝として、天道会最凶の狂犬・織田征仁が、若頭・鷲尾一馬(小沢仁志)に出会って傘下に入るまでの物語を描く。

2011年、昔気質の任侠道を貫く天道会が関東を制圧していたが、新興勢力として三東会が頭角を現す。天道会は、三東会潰しを思案していた。尽誠会が地元ヤクザと手を組み利権を狙う横浜では、天道会若頭補佐・織田慶次(宅麻伸)の弟で「織田同志会」という愚連隊組織を結成する織田征仁がいた。征仁は地元の縄張りを守ってきたが、その最中に尽誠会とも衝突してしまう。天道会は抗争寸前の状態に際し、若頭の近藤が引退すると告げ、跡目には慶次と鷲尾の名前が挙がる。横浜の織田同志会と尽誠会の揉め事を鎮めるよう命じられた慶次は、弟・征仁と久しぶりの再会を果たす。

外伝の主人公となるのは、的場演じる織田征仁。「横浜の狂犬」と呼ばれる征仁は、寡黙でクールだが圧倒的な強さを誇る熱い男だ。シマを荒らす連中は例えヤクザであっても一切怯むことなく暴れ回り、敵対組織との抗争に入ると容赦ない制裁を加えていく。邪魔者を手加減することなく半殺しにしていく様は、まさしく狂犬。一度姿を現しただけで、威圧感のある堂々たるオーラを放つ。鋭い眼光、低くドスのきいた声は、凄みがありぞっとさせられる。冷酷な振る舞いを見せる一方で、仲間を大切にする義理人情に厚い面もある征仁。そんな会長を慕う織田同志会メンバーや兄との絆も胸を熱くする。過去に思いを馳せる横顔には、静かな哀愁が漂っていた。己を貫く男気溢れるハードボイルドな生き様を、的場が渋くかっこよく演じ切った。

文＝中川菜都美