モーニング娘。'23・譜久村聖、涙のラストステージで伝えたメンバーやファンへの感謝。「私にとってみんなは特別な存在」

モーニング娘。'23が11月29日に神奈川・横浜アリーナにて、「モーニング娘。'23コンサートツアー秋『Neverending Shine Show～聖域～』譜久村聖 卒業スペシャル」が開催された。

9月の神奈川公演を皮切りに全国13都市27公演を経て、28日の公演にはOGの安倍なつみや道重さゆみらが参加し、モーニング娘。'23のライブを盛り上げた。29日の特別公演は2011年にグループに加入し、約12年にわたって大きな役割を引き受けてきた譜久村聖の卒業公演となる。本稿ではダブルアンコールを含む32曲を披露した29日の公演の模様をレポートする。

横浜アリーナには約12000人のファンが押し寄せ、会場は譜久村のメンバーカラーでもある"ホットピンク"が広がり、かつてないほどの熱狂で満ち溢れていた。そんな中で14人のメンバーがステージに登場し、1曲目に披露されたのは10月25日にリリースされた新曲「Wake-up Call～目覚めるとき～」。1曲目にふさわしい熱いパフォーマンスで会場のボルテージを上げると、2曲目の「HEAVY GATE」では会場から「ハイハイ！」のコールが響き渡った。

続いて、スポットライトが当たったメンバーがソロパフォーマンスをするVTRを挟んだ後に、「セクシーキャットの演説」では妖艶なダンスを届け、「気まぐれプリンセス（23 Ver.）」では大歓声が轟いた。「What is LOVE？（23 Ver.）」「恋愛Destiny～本音を論じたい～」とエモーショナルな楽曲を連続でパフォーマンスし、「Only you」では可憐なダンスとともに譜久村と小田さくらの個性溢れる歌声で魅了した。

MCで譜久村は「どんな時もみんなといい公演を作ってこれたなって、振り返った時に思えたので。今日も、いつも通りの私たちをお届けできたらいいなと思います」と意気込んだ後は、「時空を超え 宇宙を超え」「愛しく苦しいこの夜に」「元気ピカッピカッ!」「なんざんしょ そうざんしょ」といった多彩な楽曲の世界観でモーニング娘。らしいセトリの奥深さを見せていく。コミカルな恋愛ナンバー「グルグルJUMP」ではステージの中央にメンバーが集まり、会場の熱気に負けないくらいのダイナミックなパフォーマンスが圧巻の光景だった。

MCでは、弓桁朱琴が「乾燥した梅を差し出してくれて」と譜久村との思い出を笑って明かすと、井上春華は「全国同時お見送り会」で「髪の毛をお揃いにしようよ」と言われたことを振り返り、牧野真莉愛は「譜久村さんの言葉って、一つひとつが本当に心の支えになる」と譜久村への感謝を告げ、櫻井梨央は「すっごいFEVER！」のMV撮影現場で譜久村が「携帯電話の充電器だけ持って帰ってきてしまった」というエピソードを笑顔で話した。

ここからは井上春華・弓桁朱琴による「好きな先輩」、生田衣梨奈・石田亜佑美・小田・野中美希・羽賀朱音による「悲しくなるようなRainy day」、譜久村・横山玲奈・岡村ほまれによる「秋麗」、牧野・北川莉央・山﨑愛生・櫻井による「Moonlight night ～月夜の晩だよ～」のユニットコーナーで、それぞれの個性が散りばめられたダンスを披露。このパートの後半では「未来の太陽」「ワクテカ Take a chance（updated）」「Say Yeah!-もっとミラクルナイト-」「What's Up? 愛はどうなのよ〜」「いきまっしょい！」「OK YEAH!」「Happy大作戦」といった新旧織り交ぜた楽曲で現在進行形のモーニング娘。'23を示してみせた。中でも「Happy大作戦」ではメンバーの伸びやかな歌声と可憐なダンスで会場はまさにハッピーな空間に包まれていたのが印象的だった。

卒業する譜久村に向けてメンバーが思いを伝えた後は、新曲「すっごいFEVER！」を経て、「わがまま 気のまま 愛のジョーク（23 Ver.）」では会場から「愛されたい」の歌声が響き渡り、ステージに一体感が生まれていた。往年の名曲「Go Girl 〜恋のヴィクトリー〜」から最後にはミディアムナンバー「涙ッチ」へ。メンバーがファンにマイクを向けると、ファンは「ガキの頃みたく　まっすぐに　泣いて　笑って　たくさん食べて　人間らしく　誇り高く　あしたをこっちのペースに巻き込むのさ」の大合唱が鳴り響いた。

大きな声援を受けたアンコールでは、最新シングルから卒業する譜久村の背中を押してくれるメッセージ・ソング「Neverending Shine（「モーニング娘。'23 feat.譜久村聖）」をしっとりした雰囲気の中でパフォーマンスすると、「One・Two・Three（23 Ver.）」へ。MCでは、譜久村と同期の生田が「加入したとき大変で、つらいことがたくさんあった」とこれまでの活動を振り返ると、リーダーとして活躍する譜久村について「『後輩たちがもっと大きいステージに立っている姿を見たい』と言った道重さんに横浜アリーナに連れてきてもらって、それを聖が叶えてるのを見てすごく尊敬した」と語った。続けて「これからもモーニング娘。を応援したいとか、新しくモーニング娘。を知っていただいた方を、もっともっと大きいステージに連れていけるように頑張ります」と高らかに宣言。譜久村が「みなさん最後はこの曲で盛り上がっていきましょう！」と叫びスタートしたのは9期メンバーのデビューシングル曲「まじですかスカ！」。最後を飾るにふさわしい盛り上がりで本編を終えた。

まだまだ名残惜しいファンからはアンコール終了後に「聖」コールが響き渡り、卒業を控える譜久村が白いドレスに着替えて登場し、ファンとともにメンバーに感謝の手紙を読んだ。「ずっとモーニング娘。として駆け抜けてきたから明日からの自分が何してるのかなって、まだ考えられません。でもやっと、私が夢としてきた後輩たちに夢を託すことが叶います」と後輩に向けてメッセージを送ると、メンバーへのメッセージを伝えた後に「「私にとっていつまでもみんなは、いつまでもずーっと特別な存在」です。本当にありがとうございました」と涙ながらに感謝を伝えた。

そして披露されたのは譜久村が最も好きな曲だという「I WISH」。譜久村のソロ歌唱とともにメンバーが合流する演出、そしてこれまでモーニング娘。として歩んできた思い出や出会いの感謝を噛み締めながら歌う姿は感動的だった。そのままダブルアンコール最後の楽曲「みかん」を披露。別れを惜しむのではなく、明るい気持ちで終えたいという譜久村の気持ちが伝わってくる幸せなステージだった。

取材・文＝川崎龍也