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2024/02/28

「小久保裕紀監督もいい意味でプレッシャー」五十嵐亮太が挙げる投打のキーマンと優勝への"条件"

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ソフトバンク優勝のキーマンを挙げた五十嵐亮太
ソフトバンク優勝のキーマンを挙げた五十嵐亮太

小久保裕紀新監督が就任し、ソフトバンクは4年ぶりのV奪還を旗印に新たなスタートを切った。ヤクルト、ソフトバンクOBでメジャーでも活躍した五十嵐亮太が、今回「スポーツライブ+」の解説でホークスのキャンプ地・宮崎市生目の杜運動公園を訪問。ソフトバンクに在籍した6年間は同地で汗を流した五十嵐亮太に、番記者としてホークスを長く取材する西スポWEB OTTO!の小畑大悟記者がインタビューしました。最終回のテーマは「戦力、選手の分析」です。(全3回の3回目) ※1回目はこちら ※2回目はこちら

――まずは昨季の振り返りから。中軸を打てる近藤健介選手、抑えを任せられるロベルト・オスナ投手などの大型補強を行ったが、3年連続で優勝を逃した。最大の要因は

「厳しいことを言いますけど、要因は(藤本博史・前)監督だと思います。勝ったら監督の力だし、負けたら監督の責任。だけど、監督がやりたい野球に選手が応えられたかというとそうではないわけで。当然、全体にも要因があるけど、それをコントロールするのも監督ですからね」

――戦力は充実していた

「戦力はそろっていたと思うし、もちろん優勝するだろうと予想していました。ただ、シーズンは難しい。藤本さんとたまにお話をして、思うように動かないことや裏目に出てしまうことなど監督の苦しさを聞いていました。どのチームにも起こりうることだけど、わずかなところでイメージ通りにいかない試合が続き、何かが崩れてしまった時に立て直すのが難しかった。打線では1、2番打者が固定できませんでしたね。中軸がしっかりしているだけにその前が打てば、もうちょっと形になったと思います」

――そういう点を含めて、監督の責任は大きい

「選手にも責任はあるけど、やっぱりこの世界は、うまく(ピースを)はめられなかった監督、コーチに責任があるのかなと思います。ただ、『監督やコーチのせい』ということを選手は絶対に言ってはいけません。監督、コーチは自分たちの責任と思っていてほしいし、選手は選手で自分たちの責任だと思うような関係性を持って、戦ってもらいたいと思います」

インタビューを受ける五十嵐亮太
インタビューを受ける五十嵐亮太

撮影:西日本新聞社

――特に先発投手が課題として浮き彫りになった

「有原航平投手がしっかりと結果を残して、和田毅投手もベテランながら投手陣の中心で投げていかないといけません。そこにどう他の選手がついていけるか。それ以上の結果を求めることも大事になってきます。東浜巨投手、石川柊太投手ももっとできるし、カーター・スチュワート投手も出てきました。また投手も大事だけど、それを引き出す捕手も重要になってきます」

――投打でキーマンを二人ずつ挙げてもらいます。まずは投手陣では誰になりますか

「難しいですね。先発で有原、和田以外に強いピースがほしいと考えると、石川に頑張ってほしいですね。いい時はものすごい抑え方をする。でも、そうじゃないときはなかなか試合をつくりきれない。それがはっきりしていたので、その差をなくせば2桁は勝てる投手。一つ一つのボールも良いし、テンポも良い」

――石川投手は昨年、ノーヒットノーランを達成した一方で、早々に崩れる試合も少なくなかった

「有原の場合はクオリティスタート(6回以上、自責点3以下)の割合が高い。さらに立ち上がりは良くないかな、と思ってもなんだかんだで試合をつくります。石川もそういうゲームを増やしてほしい。話しをしましたけど、下半身の使い方を見直しているそうです。それをどうつなげていくか。波を小さくしてほしいですね」

――投手でもう一人挙げると

「スチュワートですね。持っている球はいいので、抑え方を学ぶともっと勝てる投手なんですよ。これを引き出すのは甲斐拓也捕手の仕事だと思います。日本のバッターの特徴をつかみ、抑え方を覚えていく。それさえつかめばいい結果につながると思いますよ。自信にもなってくるからその扉を早く開いてほしいですね」

――五十嵐さんも野村克也氏や古田敦也氏ら名捕手との出合いを成長につなげた

「そうなりますね。抑えるきっかけやハッとする瞬間があるんです。その瞬間が多いほど抑え方が分かり、ここぞの失敗が少なくなります。投手はいつもいい球を投げられる、というわけにはいかない。ここぞの場面で間違わないのがいい投手だと思います。経験や感覚的なところもありますが、何かきっかけをつかむことで勝ち星も増えてきます」

「スポーツライブ+」内で藤井皓哉投手にインタビューする五十嵐亮太
「スポーツライブ+」内で藤井皓哉投手にインタビューする五十嵐亮太

――一方で打者陣のキーマンは

「やっぱり山川穂高選手ですかね。キャンプでの表情を見ていてもだんだんとなじんでいきましたね。練習量が多く疲れも感じているでしょうけど、笑顔も見られていました。いろいろ苦しい思いをして、ファンの人に受け入れてもらえないのではという気持ちがあったと思います。僕もホークスに移籍した時、福岡で大丈夫かな、ファンの人に嫌われないかなという思いはありました。こればかりは結果を出すしかありません。この言葉はプレッシャーになるかもしれませんが、絶対にやってもわないといけないでしょうね」

――ホークスとしては左打ちの柳田悠岐選手、近藤健介選手との中軸が期待できる右の大砲。実績も十分だ

「本塁打の数に本人はこだわるでしょう。中軸は近藤、柳田、山川の3人がしっかりして、ようやく理想に近い形の打線が組めると思います。あとはその前ですね」

――となると、二人目のキーマンは

「周東佑京選手ですね。1番に入る打者が大事。1、2番が固定できたら最高ですね。昨年は終盤(9・10月度)の月間MVPを取ったぐらいなので、あの感覚で今年の開幕を迎えてもらいたいですね。彼が単打で出ただけで、投手には二塁打に近い形になってしまいます。常に気にしないといけないし、先発投手はその回数が増えれば増えるほど嫌になるでしょうから」

――あの脚力が相手バッテリーに与えるプレッシャーは大きい

「次の打者がバントなら意外に楽なんですけど、仮に2番が近藤になってくると、投げる方からすると想像したくないですよ。これはいい打線ですよ。そして山川と勝負をせざるを得ない状況をつくれば、形になります。たとえ点が入らなくてもその回数をどれだけ増やせるか。見応えのある打線ができますね」

――優勝できる戦力は整った

「もちろんです。あとは先発投手ですね。打者は常に打つとは限りません。打っているときに勝つのは当たり前ですが、そうじゃないときにいかに粘り、接戦をものにできるかが大事です。勝ちパターンのリリーフには松本裕樹、藤井皓哉、オスナの3投手がいます。ここまでそろうと、いい意味で監督のプレッシャーも強くなりますよ」

――最後に、新生小久保ホークスへの期待を

「監督1年目ですからね。監督が目指している野球に選手がどれだけ応えられるのか。監督、コーチ、選手の関係性がうまくいくのかは重要ですね。難しい時期もあると思いますが、監督をどうにか胴上げしたいと思う選手が多ければ多いほど何かあったときの立ち直りは早いと思います。いい関係性で進んでいけば、優勝できる力は当然ありますよ」

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取材・文=西スポWEB OTTO!

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