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2024/03/29

吉沢亮の迫真の演技が心に響く...橋本愛との夫婦愛や、草なぎ剛との主従関係など、心揺さぶる名演を生んだ大河ドラマ「青天を衝け」

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様々な出会いと別れを生む4月からの新シーズン。多くの社会人にとっては心機一転、新年度の始まりでもあるが、今期は2004年以来、20年ぶりとなる新紙幣の発行が7月3日(水)に控えている。「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一(1万円札)、日本初の女子留学生としてアメリカで学んだ津田梅子(5千円札)、破傷風の治療法を開発した細菌学者の北里柴三郎(千円札)に切り替わる新紙幣において、ある意味、最も話題となった人物といえるのが、渋沢栄一の存在だ。

新たな1万円札の顔となった渋沢栄一の名著「論語と算盤」
新たな1万円札の顔となった渋沢栄一の名著「論語と算盤」

今なお多くの経営者や起業家に読み継がれる1916年刊行の名著「論語と算盤」の著者としても知られる渋沢だが、この本が書かれた大正の初めは、どんな時代だったのか?そんな近代日本経済の歴史を紐解くきっかけとしても反響を呼んだ作品が、2021年に放送されたNHK大河ドラマ第60作「青天を衝け」だ。

日本資本主義の礎を築いた実業家として広く知られている渋沢栄一だが、その波乱万丈な生涯を描いた一代記「青天を衝け」では、百姓の家に生まれながらも、尊王攘夷の志士として目覚め、幕臣へとのし上がる激動の青年期を、特に手厚く描いている点が特徴だ。

主人公・渋沢栄一を演じるのは、大河ドラマ初主演となる吉沢亮。百姓から幕臣、官僚、そして実業家と、次々にステージが変わっていく13歳から91歳までの栄一を見事に演じ切り、大きな時代のうねりに翻弄されながらも懸命に生き抜いた"近代日本経済の父"の生き様をリアルに浮かび上がらせた。

幼くして商売の面白さに目覚めると、官尊民卑が蔓延る封建制度に怒りを覚え、国を変えるために波乱に満ちた人生を選択していく栄一。倒幕活動に失敗しても挫けず、信念を貫くためなら真逆の立場にも身を置くなどトライ&エラーを繰り返すエネルギッシュな人間性を、吉沢は圧倒的な熱量で目に宿る希望から怒りまでを表現。撮影当時27歳だった吉沢は、体重を増やして貫禄ある老年期も体現するなど、様々な時代の渋沢を巧みに演じ分けてみせた。

パワフルに時代を駆け抜けた栄一だが、その功績も周囲の人の支えがあったからこそ。劇中でも様々な人間ドラマが描かれているが、中でも印象的なのは、内助の功として栄一を支えた妻・千代(橋本愛)との夫婦愛だ。幼なじみとして育ち、結婚することになる2人。おしゃべりな栄一に対し、口数は少なくとも深い愛情を持って包み込む千代との温かな空気感は絶妙で、プロデューサーからも「本当の夫婦のようだった」と言われたほど。

それ故に、明治時代に大流行したコレラに千代が感染し、息を引き取るシーンは悲しさもひとしお。死の間際でも栄一を励まそうとする千代と、「逝かねぇでくれ」とすがりつく栄一の姿には「胸が張り裂けそう」と視聴者からも悲しみの声が多く上がった。

栄一との関係性という点では、幼少期より常に切磋琢磨し合ってきた2歳上の従兄であり、唯一無二の相棒・渋沢喜助(高良健吾)との友情はもちろん、草なぎ剛(※草なぎの「なぎ」は正しくはゆみへんに「剪」)が演じた江戸幕府第15代将軍・徳川慶喜との主従関係も忘れ難い。攘夷の志士を目指したことで幕府から追われる身となった栄一は、慶喜の側近・平岡円四郎(堤真一)に引き立てられ、慶喜に仕官することに。この運命的な出会いこそ、栄一が"歴史上の偉人"として名を残す契機となるのだ。

才気に溢れた提案をする栄一に信頼を寄せ、重用するようになる慶喜。吉沢演じる"動"の栄一に対して、"静"を貫く草なぎの抑えた芝居も素晴らしく、新たな世を作るために共に奔走する2人の間には、主従関係を越えた絆が見え隠れする。

やがて"大政奉還"を機に表舞台から退き、世間からの批判の声に晒される慶喜の名誉を回復するため、その功績を後世に伝えようと、私財を投げ打って慶喜の伝記の編纂を始める栄一。晩年の2人が交わす一つ一つの会話が重く、説得力に溢れており、胸に沁み入ること必至。特に、幕末を振り返り、自責と後悔の念を静かに口にする慶喜の佇まいには、今見返しても、改めて引き込まれてしまうことだろう。

動乱の幕末が舞台だけあって、徳川慶喜以外にも、時代を動かす様々なキーパーソンが次々と登場。中でも連続テレビ小説「あさが来た」で"五代ロス"を引き起こしたディーン・フジオカが、薩摩藩士・五代才助を再び演じたことも大きな話題となった。

さらには、慶喜の異母弟で、日本を背負って栄一と共に渡欧した"プリンス・トクガワ"こと徳川昭武を演じた板垣李光人をはじめ、同じく渡欧した幕臣・杉浦愛蔵を演じた志尊淳、千代の弟であり、栄一の渡欧を機に養子となる尾高平九郎役の岡田健史(現・水上恒司)、新撰組の土方歳三役の町田啓太といった若手俳優たちも名を連ねており、豪華なキャストによるアンサンブルは大河ドラマならではといったところだ。

4月4日(木)深夜よりチャンネル銀河にてスタートする「青天を衝け」の放送に合わせて、古今東西の「名著」を25分×4回=100分で読み解く「100分de名著」の"論語と算盤"編も、4月15日(月)より放送される。ドラマと合わせてチェックすることで、渋沢栄一が目指した思想がより深く理解できることだろう。

文=HOMINIS編集部

放送情報

大河ドラマ「青天を衝け」
放送日時:2024年4月5日(金)0:00~
※毎週(火)~(土)0:00~
100分de名著 渋沢栄一『論語と算盤』
放送日時:2024年4月15日(月)~18日(木)9:00~

チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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