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2024/04/27

渡邉理佐が魅せる、板谷由夏らモンスター級の役者たちと対等に戦う演技のポテンシャルに注目

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「ブラックファミリア〜新堂家の復讐〜」(ファミリー劇場)
「ブラックファミリア〜新堂家の復讐〜」(ファミリー劇場)

2022年に櫻坂46を卒業後、タレント・モデルとして活躍している渡邉理佐。櫻坂46時代は、クールで美しい外見と、きれい好きで後輩の面倒見のよい"お姉さん"キャラで、ファンだけでなくメンバーからも愛された人気メンバーだった。現在は女性ファッション誌「non-no」専属モデルとしての活動を主軸に活躍しているが、実は演技においても非凡な才能を有している。そんな彼女の演技の才能を堪能できる作品がドラマ「ブラックファミリア〜新堂家の復讐〜」だ。

同ドラマは、芸能界デビューを控えた新堂梨里杏(星乃夢奈)が学校の屋上から投身自殺してしまうが、自殺する動機がないことから、母・一葉(板谷由夏)らが家族一丸となって梨里杏の死の真相を探り、犯人への復讐計画を実行するミステリー。渡邉は、梨里杏の姉・沙奈を演じている。

高校生である梨里杏の芸能界デビューが決まり、彼女を応援していた一家は、お祝いの会食を催すことに。開始時間になっても店に姿を現わさない梨里杏を皆が心配していると、一葉の携帯電話に梨里杏から連絡が入る。梨里杏が学校にいると知り、学校に駆け付けた一同は、目の前で梨里杏が屋上から転落するのを目の当たりにしてしまう。警察によって自殺と断定され捜査が打ち切られるが、到底納得できない一葉らは梨里杏の死に関する情報を集め始める――。

主人公・梨里杏(星乃夢奈)の姉を演じる渡邉理佐
主人公・梨里杏(星乃夢奈)の姉を演じる渡邉理佐

(C)ytv

家庭を明るく照らし、家族のアイドルだった梨里杏の死に打ちのめされ、どこかにいるであろう犯人を見つけ出して復讐を果たすべく奮闘する家族の姿を描いている本作。彼女の死の真相と"誰が犯人なのか"という謎解きのミステリー要素はもちろん、犯人がいるであろう実業家一家に一葉らがあの手この手で近づいていくドキドキ感、次々と明かされていく新事実に翻弄されるジェットコースター的展開など、ストーリーだけでも見応えのあるドラマなのだが、そんな中でも家族それぞれの心情の変化がしっかり描かれている。梨里杏を失ったことによる哀しみ、虚脱感、犯人への憎悪、復讐計画への向き合い方など、最初は一丸となって同じ方向を向いていた家族も、状況が変化していく中でだんだんと思いも変わっていくという、ストーリーに併せて移り変わるそれぞれの思いを描いた人間ドラマ的要素が作品をさらに面白くしている。

そんな醍醐味を見事に表現しているのが役者陣だ。実力派のベテラン女優でありながら同作が連ドラ初主演となる板谷をはじめ、梨里杏の父・航輔を演じるのはさまざまな作品で存在感を放つ名バイプレーヤーの山中崇、3年前から新堂家に居候している一葉の弟・優磨役はハリウッドデビューも果たしている森崎ウィンと、名だたる名優陣が配されている。そんな中で、渡邉も共演者たちに劣らぬ名演を見せている。

例えば、事件が起こる前の日常の朝食のシーンでは、「知らんし」や「知らんけど」「ショックなんだけどぉ~」など渡邉のイメージとは程遠い今どきの若い女性を演じながらも、事件後は一変して、小さい頃から姉として梨里杏を守っていた中で"守れなかった"という後悔の念からくる復讐計画に対する積極性、悲しみに暮れる家族の中で「自分がしっかりしないと」という責任感、家族には「慎重に」と注意しながらも自分の身は顧みない破滅的な言動が見え隠れする瞬間など、愛する妹を失ったことで変わってしまった姉を、さまざまな表情で表現。さらに、復讐計画で、ターゲットである早乙女家の長男で代議士の倫太郎(塩野瑛久)に週刊誌の記者として近づいていくさまも、沙奈とは違ったキャラクターとして演じており、幅の広さまでも披露している。

このドラマは復讐ミステリーと謳いながらも"家族"を描いた家族ドラマであるため、家族の心情の変化が醍醐味。だからこそ、一葉、航輔、優磨、沙奈の中で一人でも演技力のバランスが損なわれてしまうと視聴者の興ざめを招きかねない。そんな役者として極限状態にさらされている現場において、板谷、山中、森崎といった百戦錬磨のモンスタークラスと対等に芝居で戦える渡邉の役者としてのポテンシャルは折り紙つきといっても過言ではないだろう。

普段はモデルとして衣装を際立たせている渡邉が、衣装ではなく役を際立たせる姿を見て、彼女の役者としての高いポテンシャルを感じてみてほしい。

文=原田健

放送情報

ブラックファミリア〜新堂家の復讐〜
放送日時:2024年5月25日(土)11:30~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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