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2024/05/14

山田孝之演じるウシジマくんの無表情さに演技力の高さを感じる、ドラマ「闇金ウシジマくん」

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「闇金ウシジマくん」(ファミリー劇場)
「闇金ウシジマくん」(ファミリー劇場)

真鍋昌平の大ヒット漫画「闇金ウシジマくん」がドラマ化されたのは2010年。深夜枠だったにもかかわらず、高視聴率となり、2014年、2016年には続編のドラマが放映。4作の映画が公開された大人気作だ。

主演の山田孝之が演じているのは10日で5割の法外な金利で金を貸す闇金会社「カウカウファイナンス」の社長・丑嶋馨。憑依型俳優とも形容される山田だが、本作での役作りは例外でウシジマの気持ちを1度も考えたことがなかったとか。トレードマークの大きな丸眼鏡やピアス、ネックレス、所作などにはこだわりまくったものの、「あとは台詞をウシジマらしく言うのみだった」と当時コメントしている。闇金の社長というとオラオラ系のイメージを抱く人が多いと思うが、ウシジマはよっぽどのことがない限り無表情だ。考え方は弱肉強食。借金取り立てに怯える家の子供を「泣いても何も解決しないし、誰も助けちゃくれない」と突き放し、返済できなくなった客に温情をかけることもない。のちにWEBドラマで共演したロバートの秋山竜次は、山田孝之の目が怖くて見られなかったと明かしていたが、相手が嘘をついているのかいないのか、その射抜くような鋭い視線は怒りを爆発させるよりもある意味、恐怖だ。

シーズン1は片瀬那奈演じる大久保千秋が「カウカウファイナンス」に入社することになり、その実態に「ここはジャングルだ」と驚愕しながらも徐々にたくましくなっていくストーリー展開。1話完結ではなく、お金の罠にハマっていく登場人物たちの人生ドラマも描かれ、リアルゆえに反面教師として学べるのも、今なお見続けられている人気の秘密なのかもしれない。

■何を考えているかわからないウシジマを演じる山田の演技が凄い

千秋(片瀬那奈)と共に仕事をする丑嶋(山田孝之)
千秋(片瀬那奈)と共に仕事をする丑嶋(山田孝之)

⒞2010 真鍋昌平・小学館/「闇金ウシジマくん」製作委員会・毎日放送

試験に受かって「カウカウファイナンス」に入社する千秋はEカップが売りだった元AV女優。当然、社員の柄崎(やべきょうすけ)らは興味津々で盛り上がるが、ウシジマは顔色ひとつ変えず、淡々と業務をこなしていく。借金で首が回らなくなる客に千秋は同情するが、自分が金を貸していたら同じことが言えるのか?と言われ、様々な顧客を目の当たりにする内に闇金プロとして生きるウシジマ哲学にも一理あると徐々に思うようになっていく。違法の闇社会に生きていながら「責任っていうのは責任取れる奴がいう言葉だ」など説得力のある台詞が散りばめられているのも本作の魅力のひとつ。

ちなみにウシジマの大好物はオムライス。ケチャップをたっぷりかけ、キャベツは残し、食べる時も無表情。千秋に野菜も食べるよう注意されているが、特に怒らないのも何とも言えないおかしみがある。

■お金に振り回される人間の性を闇金を通して描く

ストーカーと化した客に怯えながらも、貯金通帳を見ている時だけは安心できる売れっ子ヘルス嬢。お金に無頓着な親友に振り回され、巻き込まれる真面目な会社員(中村靖日)、旅行会社の成績No1のイケメン会社員でありながら"闇金狩り"に手を出す男(加藤和樹)、「カウカウファイナンス」に刺客として送りこまれる青年(荒木宏文)など、登場人物たちが特殊なキャラクターとして描かれていないところにも本作の怖さがある。

そして、数々の悪役を演じてきた山田だが、ウシジマが醸し出す空気、ほとんど瞬きしない視線の迫力は、「新宿スワン」で演じた憎悪を抱く野心家・秀吉とも違うし、「クローズZERO」のワイルドな芹沢とも異なる。当時、20代半ばの山田の演技力に改めて驚かされる作品だ。

文=山本弘子

放送情報

闇金ウシジマくん#1~9
放送日時:6月1日(土) 23:40~
放送チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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