2024/06/20
「007」6代目ボンドのダニエル・クレイグ、逆風をはねのけて新時代のボンド像を確立した軌跡を振り返る
スターチャンネルでは007シリーズ最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」初放送を記念し、7月6日(土)にダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じたシリーズ全5作を一挙放送する。クレイグ版ボンドは007シリーズ史上初の「ひと続きの物語」だけに、人間関係を追うためにも一気見は最適だ。原作のイメージに限りなく近いと絶賛された、寡黙でタフなクレイグ・ボンドのカッコよさにどっぷり浸ろう。
それまでアート系映画を中心に名をはせていたダニエル・クレイグが数百人の候補者を排して6代目ボンドに決定した当初は、初の金髪、しかも過去のボンド俳優と比べても低身長(178cm)と、既存イメージとのギャップからファンの猛反発に遭った。だがフタを開けてみれば、ハードなアクションに確かな演技力で、クレイグはこれまでにないシリアスなボンド像を確立。第1作「007/カジノ・ロワイヤル」(2006)公開以降は世間が手のひらを返したように熱狂的なファンを生み、結果、足かけ15年と歴代ボンドの中でも最長期間の「任期」を誇るまでに至った。1962年、ザ・ビートルズのメジャーデビューと同年に誕生した歴史ある英国産スパイ・アクション映画シリーズに、新たな息吹を吹き込み新時代へと道をつないだのは、間違いなくダニエル・クレイグの功績なのだ。
■6代目ボンド爆誕! ハードなアクションで原点回帰の第1作「007/カジノ・ロワイヤル」(2006)
「クレイグ・ボンド」の記念すべき第1作は、イアン・フレミングの原作としても第1作に当たる『カジノ・ロワイヤル』を初めて(1967年の同名映画はパロディー作品)忠実に映画化。新人諜報(ちょうほう)員だったボンドが「殺しのライセンス」を持つ00(ダブルオー)に昇格するところから始まる本作は、新生ボンドのお披露目として、銃だけでなく拳でも存分に戦うことができる、肉感的でリアルなアクション、それに説得力を持たせる鍛え上げられた肉体、ボンドガールと駆け引きではない本気の恋愛、という過去作とは一線を画したスタイルを打ち立てた。監督は「ゴールデンアイ」(1995年)のマーティン・キャンベル、ボンドが国家予算を賭けてポーカーで対決する悪役ル・シッフルには、マッツ・ミケルセンが扮(ふん)した。
放送情報
007/カジノ・ロワイヤル(2006)
放送日時:7月6日(土)11:00~
チャンネル:スターチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
■復讐(ふくしゅう)に燃えるボンドがMI6を追放される!?「007/慰めの報酬」
前作の結末直後の場面から始まり、シリーズで初めて「続きモノ」であることを示した本作で、クレイグは大半のスタントを自分でこなす猛者ぶりを発揮。スピード感あるカット割りと手ブレを駆使したカメラワークも、緊張感みなぎるアクションを支えている。ボリビアの天然資源を巡る問題など、実際に起きた事件を組み込んだ物語の中、ボンドは所属する諜報組織MI6から追われることに。女性キャラクターが金粉まみれで死亡する「007/ゴールドフィンガー」(1964年)にオマージュをささげた場面があるなど、過去作への目配せも見られた。
放送情報
007/慰めの報酬
放送日時:7月6日(土)13:45~
チャンネル:スターチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
■ボンドが故郷で自らの出自と向き合う大ヒット作「007/スカイフォール」
シリーズ50周年記念作として、初めてオスカー受賞歴のある監督、サム・メンデスを迎えて製作。圧倒的な映像美で、監督が得意とする人間ドラマをさらに掘り下げた。敵役もオスカー俳優、ハビエル・バルデムが演じ、新たに兵器開発課長のQ役としてベン・ウィショーが登場するなど豪華な顔ぶれの中、事実上のボンドガールを演じたのはあっと驚く人物だった。物語はあるミッションからボンド死亡説が流れ、上司のM(ジュディ・デンチ)が責任を問われ窮地に立たされる。ボンドがスコットランドの生家を訪れるクライマックスや、軍艦島の映像を使った場面など見どころも多く、世界的にシリーズ最高の興収を記録した。
放送情報
007/スカイフォール
放送日時:7月6日(土)15:45~
チャンネル:スターチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
■悪の組織を率いる宿敵ブロフェルドと対決「007/スペクター」
ボンドが運命の女性、マドレーヌ(レア・セドゥ)と出会う本作で、シリーズ第2作「007/サンダーボール作戦」(1965年)からの宿敵、ブロフェルドがクレイグ版007についに登場。世界征服をたくらむ悪の組織「スペクター」を率いるブロフェルドは多くのパロディーを生んだ人気キャラだが、クレイグ・ボンドのトーンに合わせ人物像に深みが加えられ、クリストフ・ヴァルツが怪演を見せた。一方、要所で秘密兵器が活躍する、往年のシリーズを思わせる痛快な要素も復活。クレイグは元プロレスラーのデイヴ・バウティスタと格闘したり、撮影中に骨折しながらも冒頭圧巻のワンカット長回しシーンを華麗にこなしたりと、満身創痍ながら心血を注ぎ完成にこぎ着けている。
放送情報
007/スペクター
放送日時:7月6日(土)18:15~
チャンネル:スターチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
■さらば「クレイグ・ボンド」! 有終の美を飾った愛の物語「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」
「死んでいる暇はない」と題しクレイグ・ボンドの完結作となった本作は、現役引退していたボンドが愛する人々を守るため、文字通り決死の戦いに臨む。新たな敵は、殺人ウイルスを世界にばらまこうともくろむ悪役、サフィン(ラミ・マレック)。北方領土を想起させる島でのクライマックスは「泣き」の要素も満載で、愛の物語へと昇華している。ブロフェルドとの決着など、残る全ての伏線を回収。男女混成チームでの共闘あり、ボンドの老いを感じさせる描写ありと、随所に新時代の到来を匂わせながら、有終の美を飾った。
放送情報
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
放送日時:7月6日(土)21:00~
チャンネル:スターチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
文=magbug