2024/08/20
2024年10月に宝塚卒業を控える雪組トップスター・彩風咲奈の軌跡
2024年10月13日(日)の東京宝塚劇場公演・千秋楽をもって宝塚を卒業する雪組トップスター・彩風咲奈。TAKARAZUKA SKY STAGEでは、9月9日(月)に『彩風咲奈サヨナラ特別番組「All About AYAKAZE Sakina~きらめきの記憶~」』が放送される。今回は、その確かな演技力やスタイリッシュなダンスで客席を魅了してきた彩風のこれまでの歩みを振り返ってみたい。
2007年、93期生として首席入団した彩風。その抜擢は早く、入団4年目『ソルフェリーノの夜明け』(2010年)のアンリー・デュナンで新人公演初主演をしている。以後、『ロジェ』(2010年、水夏希の退団公演)のロジェ、『ロミオとジュリエット』(2011年)のロミオ、『JIN-仁-』(2012年、音月桂の退団公演)の南方仁、そして『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』(2013年)のフェルゼンと、5度にわたって新人公演主演を務めた。
入団5年目の2011年には、バウ・ワークショップ『灼熱の彼方』のオデュセウス編で彩凪翔とダブル主演を果たす。その後、『パルムの僧院』(2014年)のファブリス、『ハリウッド・ゴシップ』(2019年)のコンラッドで、バウホールやシアター・ドラマシティ公演での主演を務めた。中でも圧倒的なスター力で作品を押し切った『CAPTAIN NEMO』のネモ船長は忘れ難い役だ。
『ルパン三世』(2015年)の次元大介や、『るろうに剣心』(2016年)の斎藤一、そして『CITY HUNTER』(2021年)の冴羽獠など、漫画、アニメを原作とした作品では人気キャラクターを体現してみせ、原作のファンからも注目を集めた。また、『ロミオとジュリエット』(2011年)の「死」、『SUPER VOYAGER!』(2017年)の「海の見える街」の場面ではダンスでも力を発揮した。
2017年以降の二番手男役時代には、大人の男性の包容力が磨かれていった印象がある。『ひかりふる路』(2017年)のダントン、『ファントム』(2018年)のキャリエール、『壬生義士伝』(2019年)の大野次郎右衛門、『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』のマックス、『fff-フォルティッシッシモ-』(2021年)のナポレオンなど、トップスター望海風斗と互角にぶつかり合う見応えのある役が多かったように思う。
2021年、入団15年目を迎えた彩風は満を辞して雪組トップスターに就任した。トップスター時代はその実力とキャリアを自在に活かして、個性あふれる役を次々と演じていった。『夢介千両みやげ』(2022年)の夢介はマイペースで訛りが抜けない、トップスターらしからぬキャラクターが新鮮だった。『蒼穹の昴』(2022年)の梁文秀は冷静さと熱い志のバランス感覚が的確だった。『BONNIE & CLYDE』(2023年)のクライドはその未熟さ、危うさで母性本能をくすぐられた。『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』(2023年)のドイルでは純粋さと夢への執着を兼ね備えた人物を飄々と演じてみせた。
自身の足跡を振り返るステージとなった『ALL BY MYSELF』(2024年)には、公演中止を乗り越え忘れ難い役となった『ODYSSEY』(2022年)のブルーム船長が再び登場した。そして今、入団前からの憧れであり、最後の新人公演でも主演をした思い入れのある『ベルサイユのばら』のフェルゼンで男役としての集大成を見せている。
彩風咲奈のサヨナラ特別番組では、彩風咲奈のこれまでの舞台を振り返り、ロングインタビューと舞台映像でつづる。退団公演となる『ベルサイユのばら』-フェルゼン編- 宝塚大劇場公演千秋楽の模様とあわせて楽しんでもらいたい。
文=中本千晶
放送情報
彩風咲奈サヨナラ特別番組「All About AYAKAZE Sakina~きらめきの記憶~」
放送日時: 9月9日(月)20:30~ほか
放送チャンネル: TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります