2024/08/31
天才子役と呼ばれたヨ・ジングが赤裸々に明かした、「太陽を抱く月」以降の「迷いと苦悩の20代」
かつては天才子役と呼ばれ、近年ではドラマ「怪物」(2021年)での名演も評判を呼んだ若手屈指の演技派ヨ・ジング。今春開催された約5年ぶりの来日ファンミーティングも盛況で、9月には「You & me Again」と題された公演の追加開催が決定。今年8月に満27歳を迎え、ますます役の幅を広げる彼の"最旬"の魅力に注目が集まっている。
韓国で6月に公開されたばかりの映画「ハイジャッキング」の公開直前には、韓国の国民的トークショー「ユ・クイズ ON THE BLOCK #249」(9月4日(水)にMnetにて日本初放送)に単独出演したことも話題に。自身の知名度を飛躍的に高めた名作時代劇「太陽を抱く月」(2012年)や、主演映画「ファイ 悪魔に育てられた少年」(2013年)の出演当時をはじめ、自身のキャリアを赤裸々に語ったトークが注目を集めた。
韓国の国民的MCユ・ジェソクと人気タレントのチョ・セホがホストを務める「ユ・クイズ ON THE BLOCK」は、様々なジャンルのスペシャリストをゲストに招き、切れ味鋭い質問を投げかけてトークを盛り上げる人気番組。
"難題を解く方法"と題された「#249」では、"数学界のノーベル賞"ともいわれるフィールズ賞を受賞したホ・ジュンイ教授らに続いて、ジングが登場。20代でぶち当たった"人生の難題"について打ち明けていく。
「頼もしい青年になったね。28歳?もうそんなになったの?」と、開口一番ジェソクにそう迎えられたジングは、「僕もまだ20歳くらいの気がします」と照れ笑い。18年前に親子役を演じたソン・ドンイルと今回「ハイジャッキング」で再共演した際のエピソードとして、「(2人で飲みに行き)『紙コップにコーヒーを入れてあげた子が焼酎とビールを飲む仲になったなぁ』と言われました(笑)」とビハインドを打ち明ける様子も、好青年そのものだ。
8歳で演技を始めた彼は、"15人の俳優の幼少期"を演じてきた。視聴率42%超を記録した「太陽を抱く月」の放送時は14歳、「ファイ 悪魔に育てられた少年」で青龍映画賞新人男優賞を受賞した当時は16歳。それから10年以上が経った今、「自分が見ても今より上手かった気がします」と振り返ると、「台本を3~4回ほど読めば、ストーリーもセリフも頭に入っていました」など、天才子役ぶりを示すエピソードも明かしていく。
ところが称賛を浴びた少年時代を経て、20歳を迎えた頃からは演技を純粋に楽しめなくなっていったという。「上手くやらなければいけない、良い姿を常に見せなければならない、という考えに自分自身を閉じ込めてしまって...」――そう明かす表情は、子役時代について語る時とは違い、憂いを帯びた眼差し。当時の悩みの深さが窺える。
同時にこの頃、「自分が社会生活について何も知らない」と気付き、愕然としたエピソードも率直に吐露。進学の手続きはもちろん、バスの乗り方も分からず、「人間関係でも、どうやって雑談すればいいかも分からなくて...。いつも演技や作品の話ばかりしてきたから、思ったよりも社会性が欠如していて、これはちょっと深刻だなと思いました」。
一方で、ファンタジーロマンス「ホテルデルーナ~月明かりの恋人~」(2019年)で共演したIUについて、「2時間褒めても足りないくらい素晴らしい人」と、ニコニコと笑顔で絶賛する一幕も。「ある時インタビューで『もう"母胎ソロ(恋人がいたことがない人)"とは言えない』と語っていたが、それはどういう意味?」というチョ・セホの直球質問をきっかけに、恋愛面についてもざっくばらんに語っていく。
20代も後半を迎え、成熟した大人の色気が漂うジング。天才子役、そしてその後の苦悩を経て、今の"俳優ヨ・ジング"が構築されている――今回のトークショーを見れば、その魅力の片鱗が伝わってくるはずだ。
文=酒寄美智子