2024/09/09
名優チャ・スンウォンの「中毒性」にハマる!「私たちのブルース」や「暴君」での強烈なインパクトも納得の多彩なキャリアとは?
「海街チャチャチャ」(2021年)でブレイクしたキム・ソンホの新作としても注目を集めているサスペンス「暴君」(ディズニープラス スターにて配信中)で冷血な元傭兵を演じ、さすがの存在感をみせているチャ・スンウォン。
好感度抜群のスター俳優"トッコ・ジン"を演じた2011年のラブコメ「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」で爆発的な人気を得た彼は、その後も巧みな演技で"クセ強"なキャラクターを演じ続けてきた韓国屈指の実力派。今年6月に54歳を迎えた今も、渋みと色気を湛えた独特の佇まいは健在で、多くの韓ドラファンを魅了し続けている。
草なぎ剛(※草なぎの「なぎ」は正しくはゆみへんに「剪」)や広末涼子ら日本人キャストと共演した初の舞台「ぼくに炎の戦車を」(2012年)や、驚異的な視聴率を叩き出した自給自足バラエティ「三食ごはん 漁村編」(2015年~)など、幅広いフィールドで活躍するスンウォンだが、もともとは190cm近い身長を生かしたトップモデル。
俳優に転向後のフィルモグラフィーも実に多彩で、近年では、ロン毛&無精ひげ姿の三流弁護士を演じた「ある日~真実のベール」(2021年)や、人生に疲弊した中年男を好演した「私たちのブルース」(2022年)など、年齢を重ねたからこその味わい深い演技で存在感を発揮してきた。
中でも、スンウォンが"2枚目"のイメージから脱却し高い評価を得た作品が、9月26日(木)にKNTVにて放送される映画「がんばれ!チョルス」(2019年)。屈強な見た目に反して中身は子どもという"父親"と、難病と闘う"娘"という正反対の親子の絆をコミカルに描いたヒューマンドラマだ。
本作でスンウォンが演じたのは、通行人の足を止めてしまうほどの鍛え上げられた肉体とルックスを持ちながらも頭脳は幼いままというチョルス。ある日、病院で難病を抱えた少女・セッピョル(オム・チェヨン)と出会った彼は、自身の娘だと告げられ大混乱。それでも、ある目的のため病院を抜け出したセッピョルの旅に同行し、"父娘"として様々な体験を共にしていく。
パンチパーマの強面にも関わらず、少年のような無邪気さを持つチョルスの"ギャップ"が最高で、初めて食べたスナック菓子の美味しさに恍惚の表情を浮かべ、自慢の筋肉を誇示するドヤ顔や、娘・セッピョルに詰められた時の困り顔など、スンウォンの豊かな"表情管理"がチョルスのチャーミングな魅力を倍増させていく。
その一方でセッピョルに「お父さん」と言われた際には嬉しそうな笑顔を浮かべたり、娘の命を救おうと必死になったり、病に苦しむ娘の姿にいたたまれなくなったり...。初めて会った娘と行動を共にするうちに徐々に芽生えてくる"父性"を滲ませた演技が素晴らしく、父娘のドラマに引き込まれてしまうこと必至。さらに物語の序盤で明かされる、チョルスの"隠された過去"に辿り着くまでの展開にも興味を惹かれ、コミカルな序盤から、予想もしなかった"着地点"へと導いていくスンウォンの緩急に富んだ名演は見応え充分だ。
「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」のトッコ・ジン同様、あくは強いが、中毒性のある魅力で、強烈なインパクトをもたらす"チョルス"というキャラクター。50代半ばにしてなお進化を続ける俳優チャ・スンウォンの真価が分かる1作だ。
文=HOMINIS編集部