2024/09/12
比嘉愛未の穏やかな愛情表現も絶妙...相性ぴったりの西野恵未と作り出した「つくたべ」こと「作りたい女と食べたい女」の多幸感あふれる世界観
韓国のヒットドラマをリメイクした「スカイキャッスル」(テレビ朝日系)で、モラハラ夫に抵抗する才色兼備な主婦役が好評の比嘉愛未。優雅な気品を漂わせながら芯の強いキャラクター像を演じ、ハイセンスな衣装を着こなす美貌とスタイルも放送のたびに話題を呼んでいる。
今年6月に38歳を迎えた今も、その清廉な印象で着実なキャリアを重ねている比嘉だが、近年出演した作品の中でも特に多くの支持を得た主演ドラマが、9月29日(日)深夜より女性チャンネル♪LaLa TVにてCS初放送される「作りたい女と食べたい女」だ。
"つくたべ"こと人気漫画「作りたい女と食べたい女」を原作に、NHK夜ドラ枠で映像化した本作は、一人暮らしで少食だが料理が大好きで「もっとたくさん作りたい!」と日頃から思っている"野本さん"(比嘉)が主人公。
同じマンションに住む、豪快な食べっぷりの女性・春日さん(西野恵未)との交流が始まり、2人は料理を作って食べることで関係を深めていく。そしていつしか野本さんは、春日さんへの思いが"恋"だと気づくように...。2人で積み重ねていく、心豊かな日々の暮らしが評判を呼び、NHKの夜ドラ枠としては初の続編化となるシーズン2も2024年1~2月に放送された。
放送当時、SNSで多くの共感を集めた理由の1つは原作の忠実な再現度だ。野本さんがついつい大量の料理を作ってしまう"うっかり"感は困り顔も絶妙に愛らしい比嘉にハマっていて、自分の作った料理をパクパク食べる春日さんを嬉しそうに見つめる野本さんの姿も幸福感が大いに伝わってくる。
本業がミュージシャンである"春日さん"役の西野は、本作がドラマ初出演。がっしりした体格で、食べるとき以外は表情に乏しい春日さんを違和感なく演じ、視聴者を作品の世界に没入させる。
そんな2人の心温まる日常は、"デカ盛り料理"を作ったり、餃子バーティーを開いたりと、ドラマティックな出来事が起こるわけではないけれど、ささやかな幸せが心地良い。さらには週末のドライブ、クリスマスを一緒に過ごす準備...など、ほのぼのとした"イベント"を重ね、その穏やかな空気に魅了される。
また、野本さんが春日さんへの恋心をゆっくりと自覚する過程が描かれた「シーズン1」は、野本さんがその性的マイノリティに戸惑い、葛藤するシーンも。同性カップルの日常を"食"を通して描くという点において、西島秀俊と内野聖陽がカップルを演じた「きのう何食べた?」シリーズとの共通点を感じる人も多かったようだ。
劇中では、料理監修を担当した"ぐっち夫婦"による再現度満点のメニューも必見。原作漫画から飛び出したような食欲をそそる見た目&ボリュームたっぷりの料理は、画面を通して香りまで伝わってくるようだ。"誰かと一緒に作って食べる"という、愛おしい時間を丁寧に紡ぐ2人。その微笑ましく多幸感いっぱいの日常は、忙しい毎日を送る現代人の心をふんわりと包み、癒してくれる。
文=川倉由起子