2024/09/20
結成35周年を迎えたLUNA SEAが「時代から時代へ」と歩んできた軌跡をたどる
結成35周年イヤーを記念して、全41公演にのぼる自身最大規模のホールツアー<ERA TO ERA>を開催中のロックバンド、LUNA SEA。90年代に生み出した二大名盤『MOTHER』『STYLE』の完全新録セルフカバー・アルバムをリリース、当時のセットリストを再現する<DUAL ARENA TOUR>でファンを驚かせたのは、2023年のことである。そのファイナルとして大阪城ホールでカウントダウンライブを行い、2024年を迎えて真っ先に発表したのが、<ERA TO ERA>の開催予告だった。
1989年、RYUICHI(Vo)、SUGIZO(Gt/Violin)、INORAN(Gt)、J(Ba)、真矢(Dr)の5人は、LUNACYと名乗りライブ活動を開始。1992年にアルバム『IMAGE』でメジャーデビューを果たす。タイアップに頼ることなく、その音楽性とカリスマ性、5人の強烈な個性がぶつかり合って火花を散らすライブは人々を虜にし、1995年には初の東京ドーム公演<LUNATIC TOKYO>を成し遂げた。しかし、魅力と表裏一体の危うい均衡は崩れ、2000年に"終幕"を発表。12月の東京ドーム公演を最後に、事実上の解散状態となった。
2007年12月の一夜限りの復活ライブ「GOD BLESS YOU~One Night Déjàvu~」(東京ドーム)を経て、2010年、ついに"REBOOT"を発表。メンバーは各ソロ活動と並行しながら、LUNA SEAを本格再起動させる。オリジナルアルバム『A WILL』『LUV』を生み出し、主宰フェス『LUNATIC FEST.』を2度開催、音楽シーンを繋ぐハブとして見事にホストを務めた。特筆すべきは、結成30周年の2019年にリリースした、10枚目のオリジナルアルバム『CROSS』。ローリング・ストーンズやU2を手掛け、6度のグラミー受賞歴を誇るスティーヴ・リリーホワイトをプロデューサーに迎えた、世界基準の名盤が誕生した(※スティーヴは上述の新録『MOTHER』『STYLE』のミックスも手掛けており、再タッグが実現している)。
『CROSS』を引っ提げた30周年記念ツアーは2020年1月に開幕、しかし新型コロナウイルスのパンデミックで数々の公演が中止、度重なる延期を余儀なくされた。2022年にようやく完走するも、RYUICHIが声帯に出来た静脈瘤の除去手術を受けるため、バンドは一時活動を休止。日本武道館2DAYSで復活を果たしたのが、2022年8月のことだった。
<ERA TO ERA>は三章から成る物語のように進んでいく、本数も内容も異例のツアーである。昨年のアリーナツアーで訪れることのできなかった地に『MOTHER』『STYLE』を届けていくのをベースに、EPISODE 1ではアルバム『SHINE』『LUNACY』の再現ライブを投入、EPISODE 2では『IMAGE』『EDEN』を、EPISODE 3では上記6タイトルに加え"LUNACY 黒服限定GIG"という黎明期のコンセプトライブを盛り込む。様々な年代の過去を行ったり来たりしながら、80曲にものぼる膨大なレパートリーを携えて、LUNA SEAはファンと共に時間旅行をしている。何度立ち止まっても、更に高く飛べる自分たちを信じて突き進んできたLUNA SEA。<ERA TO ERA>ツアーが前代未聞の内容となっているのは、そんな5人の覚悟の表われのように思えてならない。
2025年2月23日、14年ぶりに開催する東京ドーム公演は、初東京ドーム公演と同じ<LUNATIC TOKYO>と銘打たれている。ゴールに向けて全力疾走中のLUNA SEAは9月14日、水戸公演を皮切りにEPISODE 3の旅に出た。10月15日(火)、16日(水)の埼玉・大宮ソニックシティ公演の2夜連続独占生中継を目撃し、LUNA SEAの今を体感してほしい。
文=大前多恵