ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツがコミカルに元夫婦を演じる!愛の考え方教える映画「チケット・トゥ・パラダイス」

映画「チケット・トゥ・パラダイス」はコメディでありながら、愛の考え方、親子のあり方を考えさせられる作品だ。
ジョージア(ジュリア・ロバーツ)とデヴィッド(ジョージ・クルーニー)は、一人娘のリリー(ケイトリン・デヴァー)が卒業旅行先で出会ったばかりの青年と恋に落ちスピード婚をしようとしていることを知り、それを阻止しようと動き出す。
本作の大きな見どころのひとつが、ジュリア・ロバーツとジョージ・クルーニーというハリウッドを代表するスター2人が元夫婦役として共演しているということ。彼ら自身は『オーシャンズ11』に続いての再共演となっているが、今作では夫婦生活をわずか5年で終えているということもあり、仲は最悪。顔を合わせればすぐに言い合いとなり、憎まれ口をたたき合う。
すさまじい速度で皮肉が飛び交う中でのジョージ・クルーニーの表情は絶妙だ。無表情で嫌なことを言ったかと思えば、揚げ足をとられてやれやれ顔になったり......。これまで数々の作品で見せてきた、クールでスマートなジョージ・クルーニーとは違う一面を見せてくれる。

© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.
ジョージアとデヴィッドがなんとか結婚を阻止しようと、あれやこれやと試みている姿はコメディそのものなのだが、それだけにとどまらないのが本作の魅力。そもそも2人が娘の結婚を認められないのは、ほかでもない自分たちが「結婚」を失敗しているから。親として子供の幸せな顔を見るのは最高の幸せであるのだが、その幸せがずっと続かないと知っているからこそ、不安になってしまうという難しい心情を抱く。
そんな悩みを持つ2人をジュリア・ロバーツとジョージ・クルーニーはコミカルかつ温かく演じてくれる。酒場で「ビアポン」というゲームを行っている際も2人はノリノリでのダンスを披露。娘のリリーは親の泥酔姿にドン引きしているのだが、「もっとはしゃいでいるところが見たい」と思ってしまうのは彼らの持つ品ゆえだろうか。
娘とその婚約者との日々を過ごすうちに改めて自分たちを見つめ直すジョージアとデヴィッド。常に喧嘩をしているような関係は改善され、再び距離を縮めていく。
結婚が過ちだったのではなく、正しく相手と向き合うことができなかった自分自身が間違っていたのではないか。成長した2人はそう結論付け、最後にはリリーの結婚に賛成する。
結婚の儀式の際にはデヴィッドは父として娘のリリーに言葉を贈る。「リリーが生まれてくれたから、世界はすばらしく輝いてる」というメッセージは思わずほろりと来ると同時に、ジョージ・クルーニーの瞳が愛する娘を見守るそれになっていることに気づく。ジュリア・ロバーツと目を合わせながらしゃべり、この2人は確かに夫婦だったときがあるんだなという歴史さえ感じさせてくれる。
娘の結婚を認めたうえで、最後にジョージアとデヴィッドの2人はある決断を下す。ダンスのときのように大はしゃぎしながら、海へと飛び込む姿はかわいらしく人間らしい。彼らが大事にしたのは「楽しみを先延ばしにしないこと」だ。彼らが夫婦だったときから話に出ていた本作のキーワードでもあるが、あらゆる人の人生においても指針となりうる言葉で、個人的にも深く胸に刻みこまれた。

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「チケット・トゥ・パラダイス」は、大ベテランとなってもジョージ・クルーニーはかっこよく、ジュリア・ロバーツは美しいという事実をしっかりと強調している。そのうえで作品を通したテーマや、バリ島というロケーションの美しさも際立っており、誰が見ても何かを得ることができる作品となっているのではないだろうか。
文=まっつ
放送情報【スカパー!】
チケット・トゥ・パラダイス
放送日時:(字幕版)2025年5月31日(土) 21:00~ 、6月6日(金) 21:00~ほか
(吹替版)2025年6月6日(金) 12:30~
チャンネル:ザ・シネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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