冷淡な表情の岡田将生が共演者を活かす芝居を見せた映画「ゴールド・ボーイ」

今回紹介する映画「ゴールド・ボーイ」は平成ガメラ3部作の監督を務めた金子修介が製作を手掛けた作品だ。平成ガメラといえば斬新に破壊される街や怪獣たちの戦いが魅力的な作品ではあるが、ストーリーの波乱万丈さや納得感も人気に一役を買ったように思う。「ゴールド・ボーイ」はそんな金子のストーリーに対する姿勢がよく見えた作品でもあった。
あらすじを紹介しよう。沖縄にて東昇(岡田将生)は義両親である夫婦と思い出の地である崖に向かった。記念撮影をするだけのはずだったが、ある目的のために東は夫妻を崖から突き落とし殺害してしまう。一方、中学校の終業式から帰宅した子供たち安室朝陽(羽村仁成)、上間夏月(星乃あんな)、上間浩(前出燿志)の3人はそれぞれ複雑な家庭の事情や心情を抱えていたが、ある日起った出来事がきっかけでとある場所を撮影する。そこにたまたま写ったのは東が2人を殺害する姿だった。ニュースで証拠を握ったのだと確信した朝陽は東をゆすって金銭を稼ぐ計画を思いつくが...。

(C)2024『ゴールド・ボーイ』製作委員会
■冷酷なイケメンがはまり役!岡田将生の芝居
この作品は中国のベストセラー作家・紫金陳(ズー・ジンチェン)の原作小説「悪童たち」を基に映画化したもので中国のドラマ化では破格の再生回数を記録した。本作では舞台を沖縄に移し、リアリティを追求している。

(C)2024『ゴールド・ボーイ』製作委員会
本作のキーを握るのは3人の子供たちと東だ。中でも東役を務めた岡田は印象的な芝居を残した。岡田といえば端正な顔立ちも相まって好青年の役柄が多いが、近年では癖のある、かつそれが悪癖のようなキャラクターを演じることも増えてきた。本作の東もまた癖者で人の生死に関して感情が動くことがない冷血な男を演じている。そんな周りの人間を犠牲にしていくことに躊躇がない東が子供たちに振り回される様子は観ていて面白い。岡田の芝居も表情が淡々としており、その不気味さを整ったルックスが引き立たせる。まさにコマ撮りや接写をする舞台とは異なる映画という映像媒体ならではの岡田の芝居に関する魅力が存分に発揮されているだろう。
また、岡田自身は作品公式サイトのコメントで「この映画は子供たちが輝けば成功するのではないかと思いました」と語っていたが、まさしく子供たちを活かす芝居をしていた。
ストーリーはこの作品の根幹なのであまりネタバレはできないが、子供たちとやりとりをする岡田演じる東の徹底した冷淡ぶりはいくら頭が切れるとはいえ、子供は子供でまだ至らない部分があるのだということを際立たせているように感じられたのだ。最後に笑うのは東か子供たちか?それとも他の...?真相はぜひ、ご覧になって確かめてほしい。
文=田中諒
放送情報【スカパー!】
ゴールド・ボーイ
放送日時:2025年6月20日(金)4:15~
放送チャンネル:WOWOWライブ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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