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菅田将暉の素直で無邪気な表情が刺さる!映画「サンセット・サンライズ」

2025/07/20

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菅田将暉が主演、宮藤官九郎が脚本を手がけ、「正欲」、「あゝ、荒野」などで知られる岸善幸がメガホンをとった移住エンターテインメントコメディ「サンセット・サンライズ」が8月3日(日)に日本映画専門チャンネルでTV初放送される。

菅田将暉演じる晋作は釣りが大好き
菅田将暉演じる晋作は釣りが大好き

原作は楡周平の同名小説で、原作、脚本、監督の全員が東北出身というメンバーによって制作された。ちなみに菅田は岸監督と「あゝ、荒野」以来7年ぶりのタッグ、意外にも宮藤とは初タッグとなった。

本作の舞台は宮城県・2020年の南三陸地方。菅田が演じるのは新型コロナウィルスによりリモートワークになったのを機に東京からお試し移住してくる会社員・⻄尾晋作だ。そんな晋作の素性を知らずに4LDKの格安物件を貸すことになる家主、関野百香を演じているのが井上真央。百香の父親で漁師の章男を中村雅俊が演じている。

小さな町に、いわゆるよそ者が移住してきただけで事件なのに未知の感染症上陸のタイミングで首都圏からやってきた男性ということもあって、大騒ぎになる住民たち。しかも、モモちゃんこと百香は町のマドンナ的存在なのだ。そんなこととはつゆ知らず、家賃は安いし、大好きな釣りができるとヤッホー気分で南三陸にやってきた主人公を菅田が戸惑いも含めてコミカルに演じている。

これまでにNHK連続テレビ小説「あまちゃん」を始め、「不適切にもほどがある!」、「季節のない街」、「新宿野戦病院」など、震災やコロナ禍など社会問題を扱ったドラマを送り出してきた宮藤だが、原作者、監督との"東北"を共通体験とするコラボレーションが笑えて切なくて人間くさい作品を生んだ。そして本作の主人公を演じられるのは菅田しかいないと思わせられる演技にも注目したい。

■のんきでポジティブな晋作に襲いかかる未知の体験

行動派の晋作は物件情報を見て、すぐに百香にメールを送り、内見に訪れる。東京の人間ということさえ知らなかった百香は勝手に家に入っている晋作に呆然。というのも晋作が来たのは2020年の3月初旬。第1回目の緊急事態宣言が発令される前なのだ。晋作は百香に消毒スプレーをまき散らされ、賃貸契約以前に2週間の自主隔離を命じられる。

しかし、サングラスにマスクで晋作は釣りに出かけ、釣った魚に「やべえ」と無邪気な笑顔。百香とその父で漁師の章男が届けてくれたお刺身など海の幸を食してその美味しさにひとり開放感で満たされる。首都圏=コロナ陽性の恐れから警戒感マックスの井上の演技は当時のことを思い起こさせ、菅田の"なんで?"とあたふたする顔と仕草、コソドロのように猫背で足を忍ばせながら外に出る演技は顔が見えなくても言葉を発しなくても可笑しい。しかし、不審者の目撃情報が相次ぎ、ついに晋作は飲み屋のイカツイ店主・ケン(竹原ピストル)を筆頭とする「モモちゃんの幸せを祈る会」のメンバーに遭遇することになる。

■7キロ増量して主人公に挑んだ菅田の素直さ爆発の演技

モモちゃん親衛隊のメンバーが集う飲み屋で、ハンパない殺気にビビることなく、ハモニカ焼きなど店主に出された三陸名物を「んま〜っ」と子供のように頬張り、マスクをとった百香の顔を初めて見て、穴があくほど見つめる晋作は自分の感情に正直すぎる男。実は大手企業の社員だったりするところもストーリーに関わってくる。震災の悲しい記憶を胸に生きる人々の傷が癒えない内に襲ってくるコロナの脅威、人口減少による空き家問題、様々な社会的問いかけを老若男女が楽しめる作品に昇華させ、登場人物たちの台詞がクライマックスで刺さってくる構成はさすが。そして、好き勝手に南三陸に移住して地元の人たちの本心に触れる晋作をやわらかな感性で表現した菅田の芝居も素晴らしい。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

サンセット・サンライズ
放送日時:2025年8月3日(日)21:00~ ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

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