赤楚衛二が秀逸な演技で原作コミックのキャラクターを再現!ドラマ「相続探偵」

今年1~3月に放送され注目を浴びたドラマ「相続探偵」。「『相続』は、『争族』と書くくらい揉めるのが常」とのセリフが示すように、遺産を巡る親族同士の争いに立ち向かい、故人が遺言状に込めた真意を明らかにして解決していくヒューマンミステリーだ。

(C)西荻弓絵・幾田 羊/講談社 (C)NTV
見どころの多い作品で、脚本は「ケイゾク」(1999年放送)や「SPEC」(2010年放送)などのヒット作を手掛けた西荻弓絵が務めた。実はドラマの元となった同名コミックの原作も西荻が担当しており、ドラマ化については「当初から自ら脚本を書きたい」と考えていたという。
もうひとつの見どころは、原作コミックのキャラクターの再現度が抜群に高いこと。赤楚衛二が演じる主人公の相続探偵・灰江七生を中心としたメインビジュアルがコミックの表紙を踏襲していたことなどは、ネットでも話題となり、ファンの期待を煽った。ドラマの脚本がコミック原作と同じ西荻だけに、出演者たちの演技にも、コミックのキャラクターのユニークさと個性が溢れている。ここでは灰江を演じた赤楚の演技、そして、灰江のアシスタントとして活躍する三富令子を演じた桜田ひよりの演技にスポットを当ててみたい。
■個性溢れるコミカルさと、解決に臨むシリアスさをうまく融合させた赤楚衛二の演技

(C)西荻弓絵・幾田 羊/講談社 (C)NTV
灰江はかつてエリート弁護士だったが、現在は相続に関わる問題を解決する探偵業を営んでいる。軽いノリの飄々としたキャラクターで、口調や動作などは、まさにコミックを彷彿とさせる。
例えば第1話、ミステリー作家の葬儀で小説のモデルとなった人物に会った時は、場もわきまえず「うひょー!」と頓狂な声を上げる。故人が遺言状を読み上げるビデオを再生する時は、身体を反らせ大げさなポーズでリモコンのボタンを押す。そういった言動はユニークであると同時に、妙な親近感を覚えるから不思議だ。
シリアスなシーンでも、赤楚はその演技で観る者を引き込む。第1話で推理を展開する時の自信に満ちた表情、第2話で隠された真実を暴いた時の射抜くようなまなざし。第7話の隠し子事件で、関係者に真意を問いかける必死の形相などは、熱を感じる迫真の演技だ。
ドラマの中で灰江が「死人に口なし、という言葉が大嫌い」と語るシーンがある。そこには、故人の遺志を踏みにじることを許さないという灰江の想いがあり、シリアスなシーンではそれが演技に込められているのが伝わってくる。
コミックのキャラクターっぽさと、熱を感じるリアルなドラマの人物。両者を違和感なく融合させ、個性極まるキャラクターとして灰江を演じきった赤楚の力量はさすがと言えるだろう。
■感情が増幅されて伝わる桜田ひよりの演技は必見!
桜田が演じる三富は、「ちゃすちゃす」という言葉を挨拶で使う今どきの若者。京都医科歯科大学医学部の学生だが休学中で、医学の知識がある上、体術も得意で立ち回りもこなす。表情豊かなキャラクターなのだが、それが実に桜田に合っている。
事務所に入り浸っている元科捜研のエース・朝永秀樹(矢本悠馬)を責め立てる時に、これ以上ないほど大きく目を見開いたり、問題が解決した後には、温かみのある笑顔を浮かべたりもする。また、過去の経緯から会うのを避けていた母と再会し、わだかまりが溶けるシーンでは、真摯な母への想いが伝わってきて胸を打たれる。
桜田の大きな瞳が潤んだり、柔らかな唇が微笑んだりすると、その時々の表情がより活きて見え、より濃くその心情が伝わってくる。赤楚と同じく、コミックのキャラクターのユニークな個性とドラマの人物のリアルさをしっかり体現した桜田の演技も必見だ。
大物ミステリー作家や、京都の和菓子屋の大将が残した遺書の謎を、灰江たちは次々に解き明かしていく。そして最後には、今は亡き父の汚名と無念を晴らすべく、巨悪に立ち向かう。赤楚や桜田の、賑やかで、心揺さぶる演技に引き込まれながら、最後まで楽しんでほしい作品だ。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
相続探偵
放送日時:2025年10月18日(土)9:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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