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美空ひばりの底知れぬ実力を味わえる!一人二役に挑戦し、美しい歌声も披露した「おこんの初恋 花嫁七変化」

2025/12/23

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「おこんの初恋 花嫁七変化」に出演する美空ひばり(写真左)
「おこんの初恋 花嫁七変化」に出演する美空ひばり(写真左)

東映チャンネルにてこのたび放送される「おこんの初恋 花嫁七変化」は、まさにひばり映画のエッセンスが凝縮された珠玉の一作だ。主演の美空ひばりが一人二役と、さらに七変化に及ぶ変装を披露するという趣向は、観客を飽きさせないエンターテイメント精神に満ちている。歌・芝居・舞が三位一体となったミュージカル時代劇で、その華やかさと完成度において、今なお類を見ない独自のジャンルを築いているのだ。

山で暮らす娘狐、おこん(美空ひばり)。人間とは異なる、どこか浮世離れした純粋さを持つ彼女が、罠にかかったところを助けてくれた木こりの青年・斧吉(西川鯉次郎)と出会い、初恋を知る。斧吉との幸せな日々は、おこんにとって甘くかけがえのないものだった。

しかし、やがて彼女は、斧吉にお菊という思い人がいることを知ってしまう。このお菊もまた、美空ひばりが二役として演じる。悪代官に見初められ女中として働くお菊。運命の皮肉にもてあそばれ、一度は離れ離れになった斧吉とお菊だったが、代官の妻の計らいにより、お菊は村に帰ることが許され、晴れて斧吉の嫁となる。しかし、二人の晴れやかな祝言の日に悪代官が再び登場...斧吉に幸せになってほしいおこんはある作戦を決行することに...。

■ストーリーだけでなく、美空ひばりが見せる"七変化"にも注目

美空ひばりが美声とユニークな扮装を披露!
美空ひばりが美声とユニークな扮装を披露!

(C)東映

「おこんの初恋 花嫁七変化」というタイトルが示す通り、この作品の最大の魅力は、美空ひばりの"七変化"にある。その変化の幅は驚くほど広く、料理人、馬を連れた男、畏怖を抱かせる天狗、そしてユーモラスな案山子といった、時代劇ならではのユニークな扮装が次々と登場する。これらの変装は、単なる衣装替えに留まらず、それぞれの役柄に合わせた身のこなしや声色までをも完璧に演じ分け、美空ひばりの役者としての力量の底知れなさを改めて知らしめる。

そして、この映画を彩る最も重要な要素は、随所に登場する美空ひばりの美声だ。場面の感情を伝える歌声は、おこんの淡雪のように儚い初恋の切なさ、斧吉への一途な想い、そして決意の強さを余すところなく表現しており、観客はその歌声に否応なく引き込まれてしまう。

戦後の混乱期から高度経済成長期に至る日本の大衆文化そのものであった美空ひばり。彼女は「ひばりのマドロスさん」に見られるような純粋で芯の強い少女から、「悲しき口笛」の陰影を持つ女性、「柔」の力強い歌い手まで、多岐にわたる役柄と歌を演じ分けてきた。

■美空ひばりの真骨頂である歌声でも魅了

しかし、「おこんの初恋 花嫁七変化」で彼女が演じた"おこん"という役柄は、他の多くの作品、例えば彼女の代表的な時代劇シリーズである「ひばり捕物帖」や「べらんめえ芸者」と比較したとき、極めて特異で、だからこそ魅力的である。美空ひばりは、おこんの純粋さ、お菊の可憐さ、そして七変化の面白さという多層的な魅力を、その歌声と演技で見事に統合させている。この作品における美空ひばりの魅力は、彼女のキャリアの中でも特に、超越的な美と献身性が際立った役柄であるからこそ、不朽の輝きを放っているのだ。

文=石塚ともか

放送情報【スカパー!】

おこんの初恋 花嫁七変化
放送日時:2026年1月5日(月)11:00~
放送チャンネル:東映チャンネル(スカパー!)
出演:美空ひばり/星美智子/三浦光子/堺駿二/田崎潤/西川鯉次郎
※放送スケジュールは変更になる場合があります。

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