市川染五郎、父・松本幸四郎の背中を追う若き"鬼平"「鬼平犯科帳 本所の銕」に受け継がれる役の記憶
2026年5月から6月にかけて、ストレートプレイ(セリフ劇)初出演・初主演となる舞台「ハムレット」に挑み、新境地を切り拓いた歌舞伎俳優・市川染五郎。2023年公開の映画「レジェンド&バタフライ」で第47回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞するなど、大きな注目を集めている。
そんな染五郎が、父である松本幸四郎主演・池波正太郎原作「鬼平犯科帳」シリーズで、第1弾「本所・桜屋敷」以来演じているのが、若き日の長谷川平蔵こと銕三郎だ。10月10日(土)に時代劇専門チャンネルで独占初放送されるシリーズ最新第8弾「本所の銕」では、染五郎が主演を務め、"本所の銕"と呼ばれ放蕩無頼な青春時代を送っていた頃の銕三郎を演じている。
■松本幸四郎、長男・市川染五郎と共に挑んだ"新たな鬼平"に自信「ド正統の時代劇で驚かせたい」
本作で印象的なのは、若き日の銕三郎が見せる危うさと、後の平蔵へとつながっていく片鱗だ。かんざしをおまさに挿してやる場面でふと見せる笑顔には、染五郎の大叔父であり、1989年から2016年まで「鬼平犯科帳」シリーズの主演を務めた二代目・中村吉右衛門の面影が重なる。
殺陣のシーンでは、流し目から一気に斬り込む鋭い太刀筋の合間にのぞかせる、冷えたような眼差し。そして、尾美としのり演じる相模の彦十から「銕さんと呼ばせてください」と言われた際に浮かべる微笑み。奔放な"本所の銕"でありながら、ふとした表情の奥に、後の平蔵へとつながる人物像が見えてくる。
とりわけ印象的なのが、駒木根葵汰演じる悪御家人・横山小平次との立ち回りの直後に見せる表情だ。相手を見据える鋭い眼差しから一転、静かに自分自身の内側へ向き直るような表情を見せる。この一連の"表情の切り替え"の鮮やかさには、長谷川平蔵という人物がたどる未来を予感させるものがある。
染五郎が演じる"本所の銕"は、後の平蔵へとつながる人物の輪郭を丁寧に描き出している。
「鬼平犯科帳」で染五郎が演じているのは、単なる"若き日の平蔵"ではない。父・松本幸四郎と同じ長谷川平蔵という人物の異なる時代を演じる、いわば父子二人一役ともいえる役どころだ。
過去のインタビューで「父と同一人物を演じることに驚いた」と明かしていた染五郎は、幸四郎が「火付盗賊改、長谷川平蔵」と名乗りを上げるシーンの撮影を間近で見た時に、「鳥肌が立った」と振り返っている。そうした緊張感や憧れが、銕三郎の佇まいにも色濃く反映されている。
染五郎にとって「鬼平犯科帳」は、父と同じ人物を演じるという貴重な経験を積み重ねてきたシリーズでもある。これまで受け継がれてきた長谷川平蔵という役に、自分自身の表現を重ねていく市川染五郎。「本所の銕」は、若き俳優が自らの長谷川銕三郎像を確立する、その現在地を映し出す一作といえそうだ。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
鬼平犯科帳 本所の銕
放送日時:2026年10月10日(土) 13:00~/19:00~ほか 独占初放送
チャンネル:時代劇専門チャンネル(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:市川染五郎、尾美としのり、中島瑠菜、阿佐辰美、駒木根葵汰、松本幸四郎 ほか
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