Kis-My-Ft2・北山宏光が猫に！？多部未華子演じる健気な妻も魅力的な映画『トラさん　僕が猫になったワケ』

現在、「Kis-My-Ftに逢える de Show 2022 in DOME」と題してデビュー10周年を記念した約3年ぶりとなる有観客ドームツアーを開催しているKis-My-Ft2。俳優やCMなどソロとしても活躍中の北山宏光とドラマ「マイファミリー」に出演中の多部未華子が夫婦役を演じたのが北山の初主演映画『トラさん　僕が猫になったワケ』だ。

漫画「トラさん」を実写化した本作で北山が演じたのは、猫が苦手なのに代表作が猫を題材にした「ネコマン」という漫画家、高畑寿々男。といっても漫画がヒットしたのは過去の話で、今は新作を書いて編集者に持ちこんでもダメ出しされ、いつも近所をブラブラ。小学生の娘・実優(平澤宏々路)のクラスメートから"不審者"呼ばわりされる怠惰な生活を送っている。そんなダメパパを子育てしながらパートで稼いで支える健気な妻、奈津子を演じているのが多部未華子。"猫なんて全然、世の中の役に立ってねーし"と言うと娘に「誰かさんみたい」と返される寿々男は、ある日、交通事故であっさりこの世を去ってしまう。あの世の関所で裁判官(バカリズム)にこれまでの罰として1ヶ月限定で猫になって人生を挽回する判決を下された寿々男。北山の着ぐるみ姿も話題となったコミカルでハートウォーミングな映画で2人が提示した家族像とは？

■明るさが取り柄の能天気なパパが味わう期間限定の猫ライフ

奈津子が頑張って働いている生活費をギャンブルに使ってしまう寿々男は、漫画も描かず、猫のように寝てばかり。普通なら家庭崩壊だが、どんなに疲れていてもいつも笑顔の奈津子としっかり者で猫好きの実優のおかげで平和でハッピーな毎日を過ごしている。しかし、猫の姿になった寿々男を待っていたのは野良猫軍団にボコボコにされ、雨に打たれ、みかん箱で寝るハードな野良猫ライフ。「猫ってどうやって生きていくんだよ〜！？」と生前、バカにしていた猫としての生活に半泣きになるものの、自分の葬儀に乱入し、優しい娘に拾われることに死んだ後もちゃっかりした性格の変わらなさを感じるが、猫になったことで寿々男は今まで気づかなかった家族の本当の気持ちに触れることになる。演じるに当たって、猫の仕草や特徴を研究したという北山の醸し出すのんきムードや喜怒哀楽を全身で表現した演技は初主演とは思えないほど。思わず笑みがこぼれる。

■北山と多部の夫婦にほっこりした気持ちになれる

夫が他界しても気丈に振る舞い、笑顔でシングルマザーとして働き続ける奈津子とそんな母親を心配しながら完結していない父親の漫画「ネコマン」の最終回を部屋で描いている実優。自分だと気づかれない切なさはあるものの、飼い猫ライフをエンジョイしていた寿々男がそんな2人を見て猛省し、残された時間で大切な家族にしてあげられることとは？「ママ、一度もへこんでないよ」と娘に言われ、心に秘めていたことを話して号泣する演技は多部未華子のかわいらしさ全開。貧乏でも夢を忘れずに生きてきたこの夫婦にしてこの娘あり。笑えて、泣けて、癒されて、シンプルな幸せについて考えさせられる映画だ。

文＝山本弘子