表情のギャップが魅力的！天海祐希がキレ者上司を演じる！

昨年は主演映画「老後の資金がありません！」がヒット。アンケートによる"理想の上司ランキング"の上位に毎年、ランクインしている天海祐希。彼女が頼れる姉御のポジションを不動のものにするキッカケとなったドラマが「BOSS」だ。

天海が演じたのはアメリカでプロファイリングを学んだ後に警視庁捜査1課に新設された"特別犯罪対策室"の室長になった刑事、大澤絵里子。クセ者揃いの部下たちをまとめあげるリーダーシップと器の大きさ、完全無欠のようでいてお茶目な面を覗かせる演技に女子を中心に「カッコいい」という声が続出。最終回で視聴率が20％を超えるヒット作となり、放映から2年後に2ndシーズンも制作された。個性派揃いの部下を演じたのは戸田恵梨香、玉山鉄二、溝端淳平、ケンドーコバヤシ、温水洋一。特別犯罪対策室設立の責任者であり、参事官補佐を竹野内豊がセクシーな監察医を吉瀬美智子が演じるなどキャストも華やかで武田鉄矢、山田孝之、反町隆史、志田未来などのゲスト陣も話題となった。今なお、天海の人気ドラマとして愛され続けている本作で見せたボスっぷりとは？

■行動力、判断力、分析力に長け、飴と鞭で部下を育てるキレ者上司

朝起きられず、コミュ障気味の木元(戸田)、クールに仕事をこなすが、過去の事件のトラウマに苦しんでいる片桐(玉山)、元気で明るいのが取り柄の花形(溝端)、ゲイバーの常連で絵里子と男性の趣味がかぶっている岩井(ケンドーコバヤシ)、警視庁一のうっかり者、山村(温水)。社会生活で浮いてしまう見事にバラバラな部下たちをチームとして1つにしていく絵里子の手腕も「BOSS」の見どころのひとつだ。

陰で"女侍"とか"土佐犬より気が強いです"と言われている絵里子は事件が起こると恐るべき頭の回転の速さでスピーディに指示を出し、部下が危険に晒されたときには自らが盾になって犯人を取り押さえる決断を下す。サバサバした性格ゆえ、ズバズバものを言うが、頑張った部下にはねぎらいの言葉も忘れない信頼できるボス。責任は自分がとるという姿勢が男前だ。容疑者をわざと挑発し、本音を引き出す取り調べの場面もその後、シリーズ化された主演ドラマ「緊急取調室」に引き継がれた天海の見せ場。部下に放つ「刑事が顔に出してどうする？芝居してなんぼでしょう」は名台詞だ。

■竹野内豊とのコミカルなやりとりや謎の彼氏の存在も話題に

絵里子が"ボス"を離れ、違う顔を見せるのがキャリア時代に同期だった野立(竹野内)と鳶職の彼氏(丸山智己)と一緒にいるとき。女好きでナルシストの野立の軽口を呆れてかわすやりとりでは天海のコメディエンヌぶりが楽しめる。プライベートで彼氏といるときは"別人ですか？"と思うぐらい恋する女性の表情に変貌するのもギャップが魅力的。部下に背中を見せる"ボス"としてときにハッタリをかまし、戦っている絵里子の力が抜けたアナザーサイドが垣間見れるシーンの数々も話題になり、天海祐希ここにありと思わせるキャラクター像を作り上げたドラマである。

文＝山本弘子