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岡田将生、蒼井優が日本版「ロミオとジュリエット」で見せた切なさと美しさを感じる演技!

2022/05/03

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2010年に公開された映画『雷桜』。時代小説ながら多くの女性読者から支持を集める宇江佐真理のベストセラー小説を原作とし、『余命1ヶ月の花嫁』(2009年)や『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017年)などで知られる廣木隆一監督が初めて手がけた時代劇作品だ。

江戸時代に"身分の違い"という運命に翻弄されながらも愛を貫く2人を描く本作。家臣の話す「天狗の棲む山」へ向かった清水斉道は、山奥で育ち自由奔放に暮らす女・雷と出会う。孤独で退屈な日々を送っていた斉道は、身分の違いなど意識せずに自分と真っ直ぐに向き合う雷に惹かれていく。次第に心を通わせる2人だが、それは周りに許されない叶わぬ恋だった。日本版「ロミオとジュリエット」とも評される切ないラブストーリーだ。

『雷桜』で主演を務めた岡田将生、蒼井優
『雷桜』で主演を務めた岡田将生、蒼井優

原作の映像化を以前から切望していた蒼井優が雷に扮した。村人から天狗と恐れられる雷は、庄屋の娘・遊として生まれながら、赤ん坊の頃に誘拐されて山で育つ。数奇な人生を歩んできた2つの名を持つ難役だが、蒼井は持ち前の高い演技力で存在感を発揮した。世間知らずだが枠にとらわれない自由な心を持つ女性を生き生きと演じている。白馬を華麗に乗りこなし、自然の中で生きる姿も逞しく、凛とした美しさを放つ。

徳川家に生まれたがゆえに心を病んでしまった男・斉道は岡田将生が演じた。心に孤独を抱え、思うままに生きられない苦しみから攻撃的で傲慢な振る舞いも見せる若き殿。時代劇は初挑戦となった岡田だが、まだ若く少年っぽさも残る端正な顔立ちに髷が似合う。誰も信じられずに生きてきた繊細な心情が、その瞳によく表れている。将軍の血を引く宿命と、1人の女性への愛との狭間で葛藤する姿を丁寧に体現した。

広大な草原での出会いも、心を通わせる場面も、自然の美しさと相まって印象深く描かれている。雷が落ちた銀杏の木に桜が根付いた"雷桜"が、命の逞しさと儚さを象徴しているかのようだ。花びらの舞い散る中で語らう姿は、ため息が出るほどに美しい。それだけに悲しい未来を想起させ、岡田と蒼井の切ない表情を見ているだけで胸が苦しくなる。将軍家の殿と野生児の女の恋を描いた、ある種のファンタジーとも言えるストーリー。その中にリアリティを持たせているのは、W主演を務めた2人の間に流れるナチュラルな空気感に他ならない。さらに、小出恵介、柄本明、時任三郎ら豪華キャストの熱演も一層深みを加えている。人を想う強さはいつの時代も変わらない。美しい映像と実力派が見せる物語に、強く心を動かされた。

文=中川菜都美

放送情報【スカパー!】

雷桜
放送日時:2022年5月5日(木)20:00~ほか
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
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