二宮和也と西島秀俊が不思議な縁で結ばれた関係を演じた『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』

2022年4月クールのドラマ「マイファミリー」(TBS系)で主演俳優としての存在感を改めて示した二宮和也。片や主演映画「ドライブ・マイ・カー」(2021年)が高く評価され世界でも認知された西島秀俊。共にスターとして並び立つ2人がたった一度だけ顔をそろえた貴重な映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」。

©2017「ラストレシピ」製作委員会
舞台は1930年代に日本の統治下にあった満州と、現代の日本。「人生最後に食べたい料理」という依頼を受けて高額の報酬を得る料理人・佐々木充(二宮)は、一度食べた味はすべて記憶し料理して再現することのできる"絶対味覚"の持ち主。しかし、孤児として施設で育ち、他人を信じられない充は、店の経営に失敗し多額の借金を抱え込んでしまう。そんなとき、中国料理界の重鎮から招待され、報酬5000万円の依頼を受ける。それは、かつて天皇の料理番だった山形直太朗(西島)が満洲国に渡り考案したという伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」のレシピを再現するミッションだった。充は70年という時を超えて、太平洋戦争開戦時に消息を絶った山形の足跡をたどり始める。

©2017「ラストレシピ」製作委員会
二宮が演じる充は、天才だが妥協ができず孤高の道を行く男。挫折を経験し、世を拗ねたような態度を取っている。「マイファミリー」のIT系企業社長・鳴沢温人もそうだったが、二宮には、組織の都合に従わない独立心旺盛な役がハマる。料理をするシーンでは、もともと左利きだが、右手で包丁やフライパンを持つ練習をしたという。二宮はそういった苦労を感じさせず、ナチュラルに演じている。そして、伝説の料理人・山形と自分の不思議な縁に気づくシーンでは、見る人の感動を呼ぶ迫真の表情を見せている。

©2017「ラストレシピ」製作委員会 ©2017「ラストレシピ」製作委員会

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その西島が演じる山形は穏やかで優しげな笑みを浮かべる男。妊娠中の妻(宮崎あおい)を始め、周囲の人間を尊重する紳士だが、調理場で108種類を超えるレシピを作らなければならないという使命に立ち向かう際は、料理人として厳しい顔も見せる。西島はそんな山形を昭和初期の男として短所も含め自然体で演じている。包丁さばきや鍋などの扱い方も、相当練習した上で撮影に臨んだとか。本作の後も「きのう何食べた?」「シェフは名探偵」(ともにテレビ東京系)で料理シーンを吹き替えなしで演じており、料理人は西島の得意な役どころになった。また、本作では宮崎あおいと連続テレビ小説「純情きらり」(NHK総合ほか)以来の共演を果たし、夫婦役になっているのも楽しい。

©2017「ラストレシピ」製作委員会 ©2017「ラストレシピ」製作委員会
また、本作には綾野剛が充の施設時代からの親友・柳沢健役で出演。綾野が中華鍋を振るう珍しいシーンも見られるし、実は同年代である綾野と二宮の共演場面も今となっては貴重だ。さらに、物語の鍵を握る軍人役で竹野内豊、山形の助手役で当時20歳だった、なにわ男子の西畑大吾が出演している。
文=小田慶子
放送情報【スカパー!】
ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~
放送日時:2022年7月26日(火) 14:45~、8月7日(日)23:30~、8月16日(火)9:30~
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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