伊藤英明、内野聖陽が兄弟役を演じ、対照的な演技を見せた映画「252 生存者あり」

「海猿」シリーズなどで人気の伊藤英明、連ドラ「PJ~航空救難団~」で主任教官役を演じた内野聖陽と初共演したのが首都圏を襲う自然の脅威を迫力のスケール感で描いた衝撃と感動のスペクタクル巨編、「252 生存者あり」だ。

(C)2008「252」製作委員会
「謝罪の王様」、「あやしい彼女」などの水田伸生がメガホンをとった。東京に震度5強の地震があった数日後、海面の温度の急激な上昇によって太平洋上に発生した史上最大規模の巨大台風。自然の猛威が東京を直撃しようとしていた―。本作の公開から17 年、異常気象、自然災害が当たり前のようになった今見るとよりリアルな題材に感じられる。
撮影では倒壊した新橋駅のオープンセットが建造され、新橋駅周辺や地下鉄構内をまるごと再現。実写とCGを駆使し、都心がのみ込まれていく映像など、牙を向く自然の猛威を表現している。伊藤は、かつてハイパーレスキューの隊員だった主人公、篠原祐司を熱演。祐司の実の兄でハイパーレスキュー隊の隊長・篠原静馬を内野聖陽が演じている。偶然、祐司と同じ場所に居合わせ、運命を共にすることになった役として山田孝之、木村祐一、MINJI。また、気象庁予報部の職員として香椎由宇らが出演。未曾有の恐怖の連続の中、立場は違えど、生命を守ることに全力を尽くす伊藤と内野の兄弟の絆が描かれ、障害を持つ祐司の幼い娘・しおりを演じた大森絢音の生命力あふれる演技も光っている。
■祐司と娘・しおりの親子愛もみどころとなっている

(C)2008「252」製作委員会
篠原祐司は、娘・しおりの誕生日を祝うため、妻・由美(桜井幸子)と銀座で待ち合わせをしていたが、新橋駅にいた由美はパニックで逃げ込んできた人たちの群れで、しおりと離れ離れになってしまう。祐司が連絡を受け向かうと、地下へ流れ込んだ大量の水が鉄砲水となって地下鉄を襲い、新橋駅は轟音とともに崩落した。土砂に埋もれた地下のホームでしおりを見つけるが、地上への出口はふさがれており、閉ざされた空間に取り残されたのは5人だった。
祐司としおり、研修医の重村(山田)、大阪で中小企業を営む藤井(木村)、韓国人ホステスのスミン(MINJI)。怪我を負っているスミンの応急手当てをし、鉄パイプで壁を叩いて生存者がいることを知らせるように指示する祐司。だが、重村は閉じ込められた状況に半ば絶望的になり、苛立ちをぶつけ、子供たちのためにもここで死ぬわけにはいかないと言う藤井と衝突する。やがて祐司が元レスキュー隊員だったこと、重村が研修医であることなど互いの素性が明かされていく。培われた的確な判断力と身体能力、リーダーシップで愛する娘を案じながら全員を守ろうと奮闘する主人公を演じた伊藤は泥くさいヒーローになりきっている。
■レスキュー隊の隊長の苦悩を滲ませる内野の演技に胸打たれる

(C)2008「252」製作委員会
本作のもうひとりの主人公は東京消防庁のハイパーレスキュー隊の隊長を演じる内野だ。臨時の指揮本部となった新橋のホテルに怪我人たちを運び、対処に当たる中、気象庁の海野(香椎)はいてもたってもいられず、現場に駆けつけ、大型台風の進路を分析。崩落が始まっている地下に侵入するのは隊員の命に危険が及ぶと本部長(杉本哲太)の判断が下る中、悔しさとやりきれなさで顔を歪ませる抑えた芝居は息苦しくなるほど真に迫っている。地下と地上、脱出と救助の側に立ち、"生死"に向き合う兄弟を演じた伊藤と内野の演技の対比が感涙の人間ドラマに奥行きを与えている。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
252 生存者あり
放送日時:2025年7月13日(日)14:30~
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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