倉科カナが舞台「お勢、断行」で共演した福本莉子を大絶賛「『莉子ちゃんがいるから大丈夫』って念じていたの」

舞台「お勢、断行」が衛星劇場でテレビ初放送される。江戸川乱歩の短編「お勢登場」を2017年に舞台化した劇作家/演出家の倉持裕が、同作に登場した主人公・お勢の物語の続きを描き下ろした作品だ。2月に読売演劇大賞優秀女優賞を受賞するなど、近年舞台での活躍が目覚ましい倉科カナさんが悪女・お勢(せい)を、お勢が居候する資産家一家の一人娘で純粋な晶を若手注目株の福本莉子さんが演じた。

倉科カナ「希代の悪女として描かれるお勢を、たたずまいだけで悪女と分かるように演じるのはとても難しかったです。時間軸がずっと続く台本ではなく、断片的になったり、リプレー場面があったりするので、そこでぐっと気持ちを戻すというのも本作ならではの大変さでした」

福本莉子「悪人がいっぱい出てくる中、晶はそれに翻弄(ほんろう)される役です。江戸川乱歩の小説が基になっているだけあってダークですが、倉持さんの演出によってユーモアも加わって、ブラックジョークのような、見やすい作品に仕上がっていると思います」

大正末期の東京で、主(あるじ)である資産家を厄介払いしようともくろむ後妻や代議士、女中らにより、さまざまな陰謀が張り巡らされる中、お勢と晶の2人は特殊な絆を紡いでいく。江口のりこ、池谷のぶえ、正名僕蔵(まさなぼくぞう)、梶原善ら個性派キャストの重層的な競演も見ものだ。

倉科「お勢から見ると晶はまぶしくて、たまらなく"欲しくなる"存在ですね」

福本「晶はお勢さんを姉のように慕うんですが、時々、何か分からないけれどすごく恐ろしいことを言っているお勢さんに置いてきぼりにされます(笑)」

倉科「莉子ちゃんとは初共演ですが、すごく機転も利くし、堂々としているので、日々助けられていました」

福本「いえいえ、私は倉科さんの、毎日新しくチャレンジし続ける姿勢をプロフェッショナルだなと尊敬しています」

倉科「それは莉子ちゃんが何でも受け止めてくれるからよ。いつも『莉子ちゃんがいるから大丈夫』って念じていたの」

福本「え!?　いつでも、救いますよ！」

倉科「ありがとう～！(笑)」
　
本舞台は実は、感染症拡大を受け、2020年に上演を目前に中止になっていた。ほぼ同じ演者が再集合し、ようやく今年の5月に上演が実現となった。

倉科「前日の通し稽古まで行ったのに中止になった時は、信じられない思いでずっと泣いていました。幕が上がることが当たり前ではないんだと...ただすぐ『2年後にまたやりましょう』とお話をいただけて。この再始動は、暗いニュースの多いこの時代にも何か希望の光をみなさんに届けられたのではと思います」

くらしな・かな●1987年12月23日生まれ、熊本県出身。NHK連続テレビ小説｢ウェルかめ｣(2009年)など映像作品だけでなく、舞台俳優としても活躍。第29回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。

ふくもと・りこ●2000年11月25日生まれ、大阪府出身。2016年に第8回｢東宝シンデレラ｣でグランプリを受賞。ドラマ「赤いナースコール」(テレビ東京)、7/29(金)公開の映画『今夜、世界からこの恋が消えても』に出演。

撮影＝大川晋児　取材・文＝magbug　スタイリスト＝道端亜未(倉科カナ)、武久真理江(福本莉子)　
ヘアメーク＝北原果(KiKi inc.)(倉科カナ)、冨永朋子(アルール)(福本莉子)