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2022/08/05

本田翼に対するズレた言動も演技の幅の一つ!窪田正孝が「ラジエーションハウスII」で魅せる芝居の奥深さ

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2019年にドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」(フジテレビ系)で"月9ドラマ"初主演、2020年にNHK連続テレビ小説「エール」(NHK総合ほか)で主演を務め、2022年には5本の映画が公開されるなど獅子奮迅の活躍を見せる窪田正孝。2006年に俳優デビューしてから順調に経歴を重ね、"今最も脂の乗っている俳優"の1人である彼の人気を裏付ける演技の幅広さが見られるのがドラマ「ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~」(2021年、フジテレビ系)だろう。

「ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~」で放射線技師を演じている窪田正孝
「ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~」で放射線技師を演じている窪田正孝

同作品は前述の通り窪田にとって"月9ドラマ"初主演作の「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」の2年後を描いた続編で、診療放射線技師と放射線科医の活躍を描く医療ドラマ。毎回、さまざまな症状を訴えてくる患者の画像を見た唯織(窪田)が、持ち前の天才的な読影技術とセンスで病原を特定していく。

アメリカから帰国した唯織はかつて働いていた甘春総合病院に復帰しようとするが、甘春総合病院では放射線科の規模が縮小されており、仲間たちはそれぞれ別の病院などに転職しているという不遇の状況からスタートし、第1話では仲間たちが再集結する模様が描かれる。

前シリーズから引き続き、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩り、時にぶつかり合い、時に一致団結して患者のために頑張るといった魅力はそのままに、病院の経営を重視する灰島院長(高嶋政宏 ※「高」は正しくは「はしご高」)とのやりとりなど、新たな要素も加わりパワーアップして物語は展開。そんな中で、窪田の演技は作品全体を背骨のように支えている。

唯織は、血が苦手という理由から放射線技師として働いているが、アメリカで最も権威ある放射線科医から才能を認められるほどの天才放射線技師である。患者を救おうとする思いが強く、単独で患者に接触しながらいつしか周りを巻き込んで治癒へと導くために行動するちょっと変わり者で、幼なじみの杏(本田翼)にほのかに思いを寄せているというキャラクターなのだが、窪田が表現する"変わり者"の顔と"天才放射線技師"の顔の切り替えが絶妙で、目の光や表情だけでどちらのサイドの顔なのかを演じ分けている。普段の鈍感でちょっとズレた言動をする時のとぼけた表情に対し、レントゲン画像を見ている時や見逃しがちな小さな患者の異変に気付く瞬間は、一瞬にして目に光が宿り、天才然とした雰囲気を纏う。

本田翼
本田翼

本作は、物語のさまざまな場面に本当の病気にたどり着くまでのヒントが散りばめられており、それらがヒントであることを視聴者に伝わるよう、カメラワークやカット割りだけに頼らず、"変わり者"の顔と"天才放射線技師"の顔を芝居の中で切り替えることでより強調させているのだ。

さらに注目してもらいたいところが、唯織が患者と触れ合う場面だ。患者のことを第一に考え、『救える命はたとえルールに違反することになっても救う』という信念の下、患者に寄り添う姿は医療従事者のピュアな心情を描き出している。そして、欠かせないのが杏への慕情を描いたシーン。奥手でズレまくった唯織の言動は、作品のあそびとなるコミカルな部分を担っており、観る者の心を和らげてくれる。

同一の人物でありながら、これだけさまざまな色の表情を持つキャラクターも珍しく、それを見事に演じ切っている窪田の演技の奥深さに驚かされてしまう。患者の病、けがの根源を見つけ出す"縁の下のヒーロー"たちの活躍を楽しみながら、窪田正孝という脂の乗った役者の微に入り細を穿つ演技も堪能してみてほしい。

文=原田健

放送情報

ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~
放送日時:2022年8月8日(月)12:10~
チャンネル:フジテレビTWO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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