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2022/08/10

リアル先輩&後輩の藤原竜也と竹内涼真がコンビを組んだ「太陽は動かない」。政治の暗部に切り込むストーリーにも注目!

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芥川賞作家の吉田修一がエンターテインメント小説として書いた"鷹野一彦シリーズ"を、藤原竜也と竹内涼真の共演で映像化した「太陽は動かない」。全6話の連続ドラマと映画が制作され、日本ではなかなか実現しないスケールの大きいスパイ・アクションとして話題となった。そのドラマ版「太陽は動かない 太陽は動かない ―THE ECLIPSE―」が日本映画専門チャンネルで8月20日(土)17:40より一挙放送される。

鋭い目つきの藤原竜也
鋭い目つきの藤原竜也

藤原竜也と竹内涼真は同じ事務所に所属しているが、共演は本作が初めて。ドラマだけでなく映画版まで長い撮影期間を共にし、何度も一緒に食事をするなどして仲良くなったとか。諜報組織エージェントの先輩と後輩を演じ、24時間ごとにミッションをクリアしなければ心臓に埋め込まれた爆弾が起動するというギリギリの毎日を生きる男たちを熱演している。2人が本格的なアクションに挑み、天井から宙吊りになったり、スタントなしの格闘をしたりするのも見どころだ。2014年放送の「MOZU」シリーズを同様にドラマから映画へと展開した羽住英一郎監督のチームだけに、クオリティの高い映像も楽しめる。
 
表向きはニュース配信会社だが、実は政界の大物らに依頼を受けて暗躍する諜報組織「AN通信」のエージェント鷹野(藤原竜也)と新人の田岡(竹内涼真)。鷹野は上司・風間(佐藤浩市)から田岡の教育を任され、3年後に開催予定の国際都市博覧会の建設地に仕掛けられた爆弾の解除に2人で挑む。政界のフィクサー・中尊寺(石橋蓮司)と秘書・永島(吉田鋼太郎)は、AN通信に爆弾を仕掛けた者の調査を依頼する。鷹野の同僚である山下(市原隼人)の潜入捜査によって、中尊寺側の思惑に介入しようとする中国企業勢力があり、そこに雇われた元AN通信エージェント・桜井(安藤政信)の存在が浮かび上がる。そんな中、過去に中尊寺と因縁があるNPO職員の落合(多部未華子)も独自にAN通信の正体を探っていく。

藤原竜也と言えば、不条理な状況に追い詰められ「どうしてなんだよ!」と叫ぶような巻き込まれ型の主人公を多く演じているが、この作品の鷹野はクールでシニカル。自分の感情をコントロールできない田岡が、心臓に爆弾を埋め込むような非人間的なシステムに憤慨しても「大丈夫だ、死ぬときは一瞬で終わる」と冷静になだめる。さまざまなキャラクターをリアルに演じられる藤原の演技力の高さが改めて感じられる。一方、竹内涼真は思い切りの良い感情豊かな演技で、見る人の共感を呼ぶ。現在放送中の「六本木クラス」(テレビ朝日系)で演じているのはどちらかというと受け身の主人公だが、田岡は組織に対しても、そして、その背後にうごめく利権まみれの政治家に対してもまっとうな怒りを表現し、見ていて応援したくなる。

原作の吉田修一と羽住組が組んだ作品だけに、単なるアクション・サスペンスではなく、日本の政治の暗部にまで切り込んでいく展開も見応えがある。吉田鋼太郎がキレキレの芝居で熱演する永島は、もともと政治のしがらみを正そうと思っていたが、日本を陰で支配する強大な力に追い詰められてしまう。永島の言うことがどれだけ現実に即しているかは分からない。しかし、私たち一般市民が知らないうちに政治を動かす人々がなんらかの勢力に絡め取られているのではと危惧せざるをえない昨今、このストーリーは心に響くはずだ。

文=小田慶子

放送情報

太陽は動かない -THE ECLIPSE- #1-6
放送日時:2022年8月20日(土)17:40~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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