菅田将暉の女装美男子は今見ても魅力的!東村アキコの原作漫画へのリスペクトに溢れた「海月姫」ワールドの再現度

数々の人気漫画を生み出しているヒットメーカー・東村アキコ。リアルな描写とコミカルなストーリー、そのダメっぷりも魅力的なキャラクターたちは読者から高い共感を得ている。「東京タラレバ娘」「偽装不倫」「美食探偵 明智五郎」...など、その多くが実写化されている東村アキコ作品だが、中でもユニークな世界観がこれでもかと炸裂している作品が「海月姫」だ。
2010年には第34回講談社漫画賞少女部門を受賞し、名実共に筆者の代表作となった"本格オタク女子漫画"を、能年玲奈(現・のん)、菅田将暉、長谷川博己ら豪華なキャスト陣により実写映画化した『海月姫』(2014年)が、映画・チャンネルNECOで9月2日(金)に放送される。

(C)2014『海月姫』製作委員会 (C)東村アキコ/講談社
男子禁制の古びたアパート・天水館(あまみずかん)に暮らす倉下月海は、オタク女子友達と共同生活を送っていた。「男を必要としない人生」を信条に、自らを"尼~ず"と称してオタク道を極める風変わりな青春を謳歌している。
ところが、女装美男子・蔵之介と童貞エリート・修の兄弟が現れると、彼女たちのゆるい日常は一変。尼~ずが動揺する中、心の拠り所であるアパートまで強奪されそうになってしまう。自分たちの大切なものや居場所を守るため、尼~ずと蔵之介はタッグを組み、最後の大勝負に出る。

(C)2014『海月姫』製作委員会 (C)東村アキコ/講談社
クラゲオタクの主人公・倉下月海を演じているのが、すっぴんメガネにおさげ姿の能年玲奈(のん)。ダサい服装でも可愛らしいが、自分に自信が持てずに周りの目を気にする、おどおどした素振りも堂に入っていて、ちゃんと冴えないオタクに見える。冒頭のクラゲを助けようと必死になるシーンの再現率の高さも爆笑必至で、もう月海そのものだ。
そして、躊躇のない"変顔"もすごい。大好きなクラゲと向き合う時などに見せる瞳のキラキラ感とのギャップも絶妙だ。尼~ずでゆるいモラトリアムを和気藹々と楽しんでいる表情はあまりにもリアルで、素なのではないかと錯覚してしまう。

(C)2014『海月姫』製作委員会 (C)東村アキコ/講談社
月海の他にも、クセが強すぎる尼~ずの面々もハマり役だ。鉄道オタク・ばんばさんに池脇千鶴、三国志オタク・まややに太田莉菜、和物オタク・千絵子に元アジアンの馬場園梓、枯れ専・ジジ様に篠原ともえがキャスティングされた。ビジュアルはもちろん、口調や細かな動きまで、まさしく漫画の中のイメージそのままに現れる。

(C)2014『海月姫』製作委員会 (C)東村アキコ/講談社
ジャージ姿に奇妙な動きと口調で捲し立てるまややは、太田とは一見しただけでは気付けないほど。アフロにボーダー柄で時刻表片手に淡々と語るばんばさんも違和感なく、さすが池脇と言ったところだ。
管理人を務めるしっかり者のリーダー的な千絵子を演じる馬場園も、和装が良く似合って安心感がある。篠原扮するジジ様の猫背も存在感のない地味さも原作通り。また、童貞エリート・修に扮する長谷川博己は、持ち前の色気は封印し、真面目な堅物ぶりを披露している。

(C)2014『海月姫』製作委員会 (C)東村アキコ/講談社

(C)2014『海月姫』製作委員会 (C)東村アキコ/講談社
そして女装美男子・蔵之介を演じたのが、菅田将暉だ。その美しさは、個性豊かなキャラクターたちの中でも特に注目を集めた。女性らしさを出すために、当時は減量などにも取り組んだとされているが、菅田の脚線美と絶世の美女ぶりには驚かされた。
ロングやボブなど様々なウィッグに、ギャル系からキレイめカジュアルまで、多彩なファッションを見ているだけでも楽しい。尼~ずを翻弄する自由奔放さとツッコミも痛快で、自分たちの世界に閉じこもる尼~ずをパワフルに引っ張っていく男らしさも魅力的。そして、月海に向ける切ない恋心も胸をときめかせる。

(C)2014『海月姫』製作委員会 (C)東村アキコ/講談社
大団円へ向けて、ドレス作りに取り組む様子もワクワク感を誘う。それぞれのコンプレックスに悩む面々が、力を合わせて作り出した武器を手に戦うショーも爽やかな感動を届けてくれる。原作へのリスペクトに溢れ、ファンも納得の再現度。演技力はもちろんだが、ここまで全員がぴたりとキャラにハマるのは見事だ。東村ワールドを体現したキャスティングの妙が光る必見作と言えるだろう。

(C)2014『海月姫』製作委員会 (C)東村アキコ/講談社
文=中川菜都美
放送情報【スカパー!】
海月姫
放送日時:2022年9月2日(金)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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