唐沢寿明、平愛梨が絶望的な状況に立ち向かう!原作・浦沢直樹の大ヒット映画『20世紀少年』

「映像化不可能」といわれてきた浦沢直樹の大ヒットコミックを堤幸彦監督、唐沢寿明主演で実写化した映画『20世紀少年』シリーズは総製作費60億円、約300人のオールスターキャストが総出演し、1年の撮影期間を経て、三部作を順次公開していくビッグプロジェクトだった。企画が発表された時から「キャスティングは?」「あの世界観を再現できるのか?」などなど話題騒然。2008年から2009年にかけて劇場公開された3作品がすべて国内動員ランキング(興行通信社調べ)でランキング1位を記録、最終的に3本合わせて、興収113億円を超える大ヒットとなった。この規格外の超大作が9月3日にWOWOWプラスで三部作一挙放送となる。

「20世紀少年 <第1章> 終わりの始まり」©1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 ©2008 映画「20世紀少年」製作委員会
1969年の夏。小学生のケンヂは仲間たちと空き地の原っぱに秘密基地を作り、そこで「よげんの書」つくりに夢中になっていた。そこには、世界征服を企む悪の組織、人類滅亡計画、そしてその組織に立ち向かう正義のヒーローなど、空想で作りあげた物語やイラストなどをどんどんと描き込んでいき、彼らをワクワクさせていた。それから30年近い年が過ぎ、ちまたでは「ともだち」と呼ばれる教祖と、彼が率いる謎の教団が出現するが、彼らは自分たちしか知らないはずのシンボルマークを使い、「よげんの書」に書かれた事件を現実世界に再現させるのだった。「ともだち」の正体は、原っぱで一緒に遊んだ仲間なのか?「ともだち」の計画を阻止するため、ケンヂは仲間たちと共に立ち上がる。

「20世紀少年 <第1章> 終わりの始まり」©1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 ©2008 映画「20世紀少年」製作委員会
「原作に忠実に」をモットーに制作された本作。原作者の浦沢直樹が「こんなにも漫画と違和感のないキャストも珍しい」と語るほどに、魅力的なキャスティングとなっている。特に主人公のケンヂ役・唐沢寿明のキャスティングは、挫折した男の心情の変化を演じられるのは彼しかいない、という製作陣の厚い信頼によるもの。唐沢自身、「完全無欠のヒーローを演じるよりは、ごく普通の人間を演じることの方が僕には向いている」と語るほどに等身大のヒーロー像を体現している。一緒に戦う仲間たちにも「危なくなったら逃げろ」と、自己犠牲を強いることもない。だがそれだからこそ、観客はケンヂに理想のヒーロー像を投影し、地球を救ってほしいと肩入れできるのだろう。

「20世紀少年 <第2章> 最後の希望」©1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 ©2009 映画「20世紀少年」製作委員会
そして第1章のクライマックスから15年後となる2015年を舞台とした第2章では主人公のケンヂが不在となり、代わりにケンヂの姪っ子であるカンナ(平愛梨)たちが物語を引っ張ることとなる。カンナを演じるのは、応募人数3000人の中から選ばれた平愛梨。この役に選ばれなかったら芸能の仕事を引退しようという覚悟で挑んだという平は、「絶対にカンナ役をやりたい!」という想いから、オーディション前日に長かった髪をバッサリ切って参加。その強い思いを目の当たりにした堤監督と、原作者の浦沢も、彼女の目力の強さに「彼女しかいない!」と納得のキャスティングだったという。そして撮影現場でも、常盤貴子、香川照之といった名優たちからたくさんのアドバイスを受けたという平。その甲斐あって感情表現が豊かで、逆境の中でも力強く立ち上がるカンナというキャラクターを魅力的に演じている。

「20世紀少年 <第2章> 最後の希望」©1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 ©2009 映画「20世紀少年」製作委員会
原作者の浦沢自身、ロックをこよなく愛する愛好家であり、堤監督も数多くのPVや音楽映画を手がけるなど、ロックスピリットをよく理解している監督だ。それゆえ、最終章となる第3章のクライマックスはおよそ1万人のエキストラが集結したライブシーンで大団円となる。唐沢も、GLAYのTAKUROにギターの弾き方をレクチャーしてもらい、ライブの撮影に挑んだという。

「20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗」©1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 ©2009 映画「20世紀少年」製作委員会
だが本作はそこでは終わらない。実はエンドクレジットの後にさらにもうひとつ。10分間のラストシーンが描かれたことが話題となった。原作とは違う、映画ならではの決着をつけたこのラストシーンでは、"ともだち"はどうして"ともだち"になったのか、ということが明かされる(※現行の完全版、電子版(電子書籍)では、この映画版に準拠したエンディングが採用され加筆されている)。そしてその真実を知った時、ケンヂはそれにどう立ち向かったのか。本作の主題歌であるT.REXの「20センチュリー・ボーイ」を効果的に使ったこのシークエンスは深い余韻を残す、映画ならではのクライマックスとなった。
文=壬生智裕
放送情報【スカパー!】
20世紀少年 <第1章> 終わりの始まり
放送日時:2022年9月3日(土)16:00~ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
20世紀少年 <第2章> 最後の希望
放送日時:2022年9月3日(土)18:30~ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗
放送日時:2022年9月3日(土)21:00~ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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