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大泉洋&戸田恵梨香、映画『駆込み女と駆出し男』で実力派俳優2人がたどり着いた「芝居を超えた芝居」

2022/08/29

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コメディからシリアスまで、さまざまな作品で持ち前の演技の幅を遺憾なく披露し、日本中を魅了し続ける俳優・大泉洋。また、主演から助演までどんな役どころでも圧倒的な存在感のあるキャラクターに作り上げる女優・戸田恵梨香。この日本を代表する2人の芝居の掛け合いによる"ミックスアップ"が見られる映画『駆込み女と駆出し男』(2015年)が日本映画専門チャンネルで9月8日(木)17:00より放送される。

同作品は、井上ひさしの時代小説「東慶寺花だより」を原案とした作品で、江戸時代に幕府公認の縁切寺であった東慶寺を舞台に、離縁を求めて寺に駆け込んでくる女たちの聞き取り調査を行う御用宿の居候が、さまざまなトラブルに巻き込まれながら"訳あり女"たちの再出発を手助けしていくさまを描いた人情物語。主演を務める大泉は御用宿に居候する戯作者志望の医者見習い・信次郎、戸田は家業を顧みない非道な夫との離縁を求めて東慶寺に駆け込んだじょごを演じる。

「駆込み女と駆出し男」に出演する大泉洋
「駆込み女と駆出し男」に出演する大泉洋

舞台が江戸時代後期ということで、当時の時代背景や今では考えられないルール、東慶寺に駆け込んでから離縁するまでのプロセスなど、現代人からすればにわかには理解しがたい部分もあるのだが、それらのハードルを越えてしまえば、複雑な事情を抱えた女たちの話が幾重にも重なって描かれているため人情悲喜劇として楽しめる、まさに笑って泣ける重厚な人間ドラマだ。

その数々の人間ドラマに医者見習いとして関わっていく信次郎は、時に傍観者として、時に協力者として出演する名脇役のような存在で、離れ過ぎず近付き過ぎずという"ちょうどいい距離感"を意図的にとりながら関わっていくのだが、(作品の中で描かれる女1人1人の事情において)大泉は主演でありながら助演のような振る舞いで作品の中に生きている。これは大泉のキャラクターにも合致しており観る者にもすんなりと受け入れられるし、女たちの抱える複雑な事情もどこか軽やかに見せてくれる効果をもたらしている。

一方、東慶寺に駆け込んだ女・じょご役の戸田は、結婚時の境遇から夫に文句の言えない立場で、東慶寺でも無学な自分に自信のないキャラクターとしてじょごを熱演。いざという時は思いもよらない力を見せるものの、普段はおどおどとした立ち居振る舞いをしていたが、東慶寺での暮らしの中で次第に自信と"強さ"を身に付けていく。この変化に合わせて、背筋の伸びや表情、動き、目に宿る力がどんどんと強くなっていく様子は圧巻。女性の強さが確立されていく過程をしっかりと見せてくれる。

このそれぞれの演技の素晴らしさだけでも筆舌に尽くし難いのだが、信次郎とじょごの関係性の変化を表す2人の芝居は極上!信次郎は御用宿の居候の医者見習い、じょごは男子禁制の寺で修行中の身という互いの立場が故の、言葉などの直接的な表現を用いずに次第に惹かれていく淡い恋愛表現に、いじらしさを感じて思わず応援したくなる気持ちを煽ってくれる。共に、決して口にしない気持ちをオーラのように滲み出る好意だけで表すというのは、大泉と戸田だったからこそ到達した境地だったのではないだろうか。

"訳あり女"たちのそれぞれの人生に触れて笑って泣きながら、大泉と戸田という実力派の俳優同士だからこそ成し得た"芝居を超えた芝居"を堪能してほしい。

文=原田健

放送情報【スカパー!】

駆込み女と駆出し男
放送情報:2022年9月8日(木)17:00~ほか
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

詳しくは
こちら

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