イ・ソンギョン＆キム・ヨンデが醸し出す「甘辛バランス」が絶妙...韓国芸能界のリアルな裏事情

グローバルチャートを席巻するK-POPをはじめ、国内外から熱い視線が注がれている韓国のエンタテインメント。世界的ヒットが相次ぐ韓流ドラマ界からも、毎年新たなスター俳優が続々と誕生しているが、そうした韓国芸能界の内幕を描いて話題を集めたドラマが「流れ星」だ。

今年6月に韓国で最終回を迎えたばかりの本作は、韓国の芸能事務所・スターフォースに所属するトップスターと、彼らを陰で支えるスタッフが織り成すドタバタコメディ。制作発表会では「実際の芸能界とのシンクロ率は95％」とキャストも口にするなど、まさに業界の裏事情をのぞき見しているような気分が味わえる作品だ。

メインカップルも旬な顔ぶれ。ヒロインのオ・ハンビョルを演じるイ・ソンギョンは、「恋のゴールドメダル～僕が恋したキム・ボクジュ～」(2016年)ではナム・ジュヒョク、「浪漫ドクター キム・サブ2」(2019年)ではアン・ヒョソプと、今をときめく人気俳優との共演でも話題となった人気女優だ。今回の役どころはプライベートを犠牲にして働くスターフォースの広報チーム長。愚痴を吐きながらも度胸と愛嬌でサバサバとトラブルを片付けるハンビョルは魅力的で、女性も憧れるヒロイン像を体現している。

そして、彼女を振り回すスターフォースの看板スター、コン・テソンを演じるのは、「ペントハウス」シリーズ(2020-2021年)で人気急上昇中のキム・ヨンデだ。異常に細かい性格でネチネチとハンビョルに嫌味を浴びせかけたかと思えば、表舞台に立つ場面では瞬時にスターへとチェンジ。世界中にファンを持つスターならではのオーラも十分で、クールに決める姿はさすがイケメン俳優の面目躍如だ。

人気スターの立場をタテに、気に入らないことは絶対に受け入れない頑固さで、ハンビョルをはじめとする事務所関係者を翻弄するテソン。一方で、所属タレントのスキャンダル対応に追われ、お見合いの最中でも容赦なく呼び出されるなど、自分の恋愛すらままならないハンビョル。顔を合わせれば憎まれ口ばかりで、犬猿の仲に見える2人には、実は隠された過去があって――というストーリーが展開する。

本作の最大の見どころは、テソンとハンビョルが醸し出す絶妙な空気感だ。単なる所属タレントとマネジメントの関係性ではなく、実は"くされ縁"だった2人の過去は少しずつ明かされていくのだが、子どものように口ゲンカしたかと思えば、急に顔を寄せ合って耳打ちしたり、テソンがハンビョルに壁ドンしてみたり、時折見せる親密さとの甘辛ギャップがたまらない。

やがて、2人の本当の気持ちが少しずつ透けて見えてくる。ハンビョルに対しては、つれない素振りで冷たくあしらっているはずなのに、どこか嬉しそうなテソン。くされ縁にうんざりしているようで、気がつけばテソンを目で追っているハンビョル...。素直じゃない2人の様子がもどかしくて、次第に目が離せなくなってしまうのだ。

脇を固める共演陣も豪華な本作。キム・ヨンデと「ペントハウス」シリーズでも共演したユン・ジョンフンが広報チームの先輩社員カン・ユソン、CNBLUEのイ・ジョンシンがスターフォースの顧問弁護士ト・スヒョクを演じるなど、華やかな面々が"裏方"を演じている。

また、内幕モノということもあってスターのカメオ出演が多いのも特徴だ。「コーヒープリンス1号店」(2007年)の店員役で日本でも人気を集めるキム・ドンウクのほか、イ・サンヨプ、オム・ギジュンら人気俳優が次々と登場。中でも、テソンの実母で伝説の女優ウン・シウ役でチェ・ジウが登場した際には、韓国でも大きな話題を集めた。

メインカップルの甘辛ロマンスを軸としながらも、キャスティングの妙が光る「流れ星」。豪華な布陣で再現された韓国芸能界の裏側を、存分に堪能してみてほしい。

文＝酒寄美智子