堤真一と石田ゆり子が息子の安否を巡り、すれ違う...事件の真相も気になる映画『望み』

もしもある日、愛する息子が突然、姿を消したら?堤真一と石田ゆり子が戸惑い、苦悩する夫婦を演じたシリアスなサスペンス映画が『望み』だ。原作は映画化され、木村拓哉と二宮和也の共演が話題を呼んだ『検察側の罪人』でおなじみの雫井脩介のベストセラー小説。「TRICK」、「人魚の眠る家」などのヒット作を手がけた堤幸彦がメガホンをとった。
堤が演じるのは建築家の石川一登で、石田は編集者の貴代美を演じる。高校生の長男・規士をドラマ「中学聖日記」や大河ドラマ「青天を衝け」に出演した岡田健史が、高校受験を控えた長女・雅を映画『線は、僕を描く』で横浜流星と共演する清原果耶が演じている。幸せの象徴は父がデザインした自慢の一軒家。4人の穏やかな日々は、膝をケガしてサッカーができなくなった規士の異変によって音を立てるように崩れていく。ある日、父は元気のない息子にサッカー以外に興味があることはないのかと尋ね、「何もしなければ何もできない大人になる」と諭すが規士は反発して、箸を置いて自分の部屋に引きこもってしまう。挫折を経験して落ち込んでいるのだから、これはよくある家庭の光景だろう。事件はこの後に起こる。

©2020「望み」製作委員会
■息子の失踪に動転して我を失う石田と我が子を信じようとする堤
年が明けて頻繁に外泊するようになった規士は心配する母のLINEに「悪いけど、いろいろあってまだ帰れない」と返したきり、消息不明になる。不安になる夫婦の目に映ったのは10代半ばの少年の殺された遺体が車のトランクから発見されたというニュース。不吉な予感がする中、新聞記事を見た長女の雅が兄から被害者の名前を聞いたことがあると言う。ほどなくして警察が来て規士は被害者の友人の1人で、所在が掴めない少年たちがいると聞かされ、夫婦は息子が事件に巻き込まれたか、関わっていると確信する。

©2020「望み」製作委員会
家に直接訪ねてきた週刊誌の記者(松田翔太)に警察が隠していることを知っていると言われ、思わず応対してしまう貴代美。すぐに家にマスコミが押し寄せ、一登は妻に怒り、明るい陽の光が射し込んでいた家はカーテンで閉ざされ、3人は暗がりの中で生活するようになる。進学校を受けるために塾に通っている雅は陰口を言われ、ネットは誹謗中傷で溢れかえる。どんな形であっても息子に生きていてほしいと願う貴代美の顔は見る見る内に生気を失っていき、「なんで信じてやろうとしないんだ?」「どうして死んでいてもいいと思えるの?」と言い争う夫婦。大事な子供を思う気持ちは一緒なのにすれ違っていき、憔悴していく様を体現する堤と石川の演技が生々しくも切ない。
■息子は被害者なのか?加害者なのか?事件の真相は?
息子を信じる態度を貫く一登には心に引っかかっていた出来事があった。失踪する前に部屋から切り出しナイフを見つけ、取り上げたことがあったからだ。
行方不明になっている少年の1人が身柄を拘束されたと聞いた貴代美はそれが規士だということもわかっていないのにお腹が空いているだろうからとスーパーに買い出しに行く。一方、一登は息子が犯人扱いされたことで、落書きされた家を青空の下、呆然と見つめる。息子は事件の加害者なのか?被害者なのか?「もし、お兄ちゃんが犯人だってことになったら、どうなっちゃうの?」と父に問いかける雅。望みはあるのか?救いはあるのか?まるでノンフィクションのようにズシリとくる作品だ。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
望み
放送日時:2022年9月16日(金)7:50~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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