石橋静河と伊藤健太郎の共演で恋愛ドラマの金字塔をリメイク!令和版「東京ラブストーリー」に再注目

ドラマのリメイク作を見ると、基本的なストーリーや設定が頭に入っている分、キャストの演技に集中しやすい。1991年に織田裕二と鈴木保奈美が共演した名作ドラマ「東京ラブストーリー」(フジテレビ系)も、2020年に配信ドラマとしてリメイクされたが、織田裕二が演じた永尾完治(通称カンチ)を伊藤健太郎が、鈴木保奈美が演じた赤名リカを石橋静河が演じ、オリジナル版に勝るとも劣らないクオリティの高い芝居を楽しめる。
伊藤健太郎は和風な顔立ちのイケメンで、タイムスリップものの「アシガール」、朝ドラ「スカーレット」などで注目された。愛媛で生まれ育ち、就職してから初めて東京に出てきた素朴なカンチ役にはぴったりだ。そんなカンチが、会社の先輩であるリカと愛媛の高校での同級生・関口さとみ(石井杏奈)の間を揺れ動く様を繊細に演じている。後半、リカとの関係が拗れ、穏やかなカンチが変わっていく様も圧巻だ。

(C)柴門ふみ/小学館 フジテレビジョン 撮影:Wing Shya
石橋静河は朝ドラ「半分、青い。」などで印象的な演技を見せた後、この有名なドラマヒロイン、赤名リカ役に抜擢された。1991年版では当時25歳の鈴木保奈美が演じ「美しすぎる」と評判になったリカを演じるのにはプレッシャーがあったはずだが、見事に自分のものにし、緩急のあるセリフ回しと、生き生きした表情で何者にも縛られないリカを体現している。クラシックバレエを本気でやってきた石橋が、ビルの屋上でちょっと踊ってみせるシーンも印象的だ。
基本的なストーリーは、柴門ふみの原作漫画に忠実。東京生まれのリカは愛媛から転勤してきたカンチのまっすぐさに惹かれ、「カンチ、セックスしよ!」という有名なセリフでアプローチ。2人は付き合うことになるが、カンチは昔から好きだったさとみへの思いを断ち切れないでいた。保育士である真面目な性格のさとみは、やはり高校の同級生でプレイボーイの医学生・三上健一(清原翔)と惹かれ合い付き合うことになるが、三上の浮気グセは治らず、さとみは苦しみ、カンチもそんなさとみが気になって、そのどっちつかずの態度がリカとの関係に影響し、複雑な四角関係が展開する。
あらすじだけ読めばドロドロの愛憎劇にも思えるが、二度目のドラマ化だけに人物がより深く掘り下げてあり、人間ドラマとしても充分見応えがある。「ワクワクできないなら、死んだほうがマシ」と言うリカの自由で情熱的な生き方や、優等生タイプのさとみが抱える屈折、女性を傷つける許せない男だが同時に自分自身も傷つけているような三上、そして、恋愛感情に翻弄されながらも誠実さを失わない太陽のようなカンチ。伊藤と石橋だけでなく、清原翔と石井杏奈の演技も素晴らしく、最近の地上波ドラマではなかなか見られない人間の生の感情がぶつかりあう様が見られる。
文=小田慶子
放送情報【スカパー!】
東京ラブストーリー(FODオリジナルドラマ)
放送日時:2022年10月11日(火)12:10~
チャンネル:フジテレビTWO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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