生死を賭けた騙し合い!強烈な世界観の中で横浜流星、白石麻衣らが見せた息詰まる演技

『流浪の月』では恋人に執着するダメ男、『アキラとあきら』では大企業の御曹司、『線は、僕を描く』では水墨画に魅了されていく青年...など、今年もそれぞれカラーの違った作品へのチャレンジ重ねながら、あらゆる表情を見せている横浜流星。そんな中で"キャラ立ち"という意味で印象深いのが、『嘘喰い』の天才ギャンブラー・斑目役だ。
今年公開された『嘘喰い』の原作は「ヤングジャンプ」で連載された人気ギャンブル漫画。主人公となるのは、天才ギャンブラーの"嘘喰い"こと斑目貘。日本の政財界や裏社会をも支配する会員制の闇ギャンブル倶楽部"賭郎"を舞台に、斑目が一流の権力者にして欲望にまみれた凶悪なイカサマ師たちを相手として、「死のババ抜き」「悪魔のルーレット」など、イカサマも殺し合いもなんでもありの超危険なデス・ゲームに挑む姿を描く。

(C) 迫稔雄/集英社 (C) 2022 映画「嘘喰い」製作委員会
漫画の実写化とあってビジュアルの作り込みも重要なポイントとなる。横浜は銀髪に染めて斑目役を演じた。本作のジャパンプレミアでは、カツラでやるという案もあったが実際に銀髪に染めて覚悟を持つことから始めたと明かすなど、原作へのリスペクトを胸にストイックに役作りに励んだ。
そんな横浜は自信に満ちたオーラ、「あんた、嘘つきだね」と決めセリフを放ちながら相手の嘘を見破る時の目力など、天才ギャンブラーとしてのカリスマ性までを体現。さらには賭郎の会員権を剥奪された際の涙、窮地に陥った時の困惑など、非常に豊かな表情を見せており、ビジュアルだけではなく、見事に内面から斑目を表現してみせた。ラストカットの凜とした眼差しも、忘れがたい輝きを放っている。

(C) 迫稔雄/集英社 (C) 2022 映画「嘘喰い」製作委員会
「リング」シリーズや『事故物件 恐い間取り』(2020)といったヒット作を世に送り出すジャパニーズホラーの巨匠・中田秀夫による演出で、超危険なデス・ゲームもスリリングに描かれ、サスペンスフルな展開が待ち受ける本作だが、そんな中でホッとできるのが斑目とバディとなっていく梶(佐野勇斗)とのやり取り。ギャンブルに勝って一緒に笑顔を弾けさせながらガッツポーズする2人の姿は、プライベートでも仲がいいという横浜と佐野だからこそ生み出せた、心地よい空気感に包まれている。
また、白石麻衣が鞍馬蘭子役として新境地を切り開いている点にも注目だ。巧妙なイカサマで客からカネをむしり取る闇カジノのオーナーでヤクザの組長という、イメージはまったく異なる役柄に挑戦した白石。「ふざけんなよ!」「知るかよ」といった強い口調も新鮮で、シーンごとに変わるド派手な衣装や髪型も見どころ。手下を従えた強い女性ながら、斑目の前では乙女の表情を見せる一幕もあり、白石がコメディエンヌとしての魅力も披露している。
横浜のカリスマ性と笑顔のギャップも楽しめる本作。今年は26歳となり、30代に向けて走り出しているが、役者としてパレットにまた新たな色を増やしていることまでを実感できるはずだ。
文=成田おり枝
放送情報【スカパー!】
嘘喰い
放送日時:2022年10月22日(土)13:00~
チャンネル:WOWOWプライム
放送日時:2022年10月22日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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